赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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戸惑い

痣 3

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仕方ない・・・と、ノロ ノロと服を脱ぐが誰も早くしろと急かすこと無く 黙って待ってる。そして、ボタンが無限にある訳でもないので最後の1つになってしまった。
やっぱり、脱ぎたくないと 僅かに 手が震えるが、簡単にボタンは外れ中のシャツだけになってしまった。

「「「全部脱ぐ必要はない。」」」

・・・そこまで言うなら見せてくれと言わなければ良いのに。

「いいえ!私はしっかりと見たいので 脱いで下さい」

女性っていざって時は強いってばあちゃん 言ってたけど本当だな。
グダグダしてても 終わらない。明日 神様に全部の責任を取ってもらう!絶対に!!
シャツを持ち 一気に脱ぎ シャツを片手に引っ掛けた。

「ありがとう、見させてもらうわ」

驚いてる男性陣と違って 母親が1人で俺の背中に回ってきた。少しして弾かれたように 動き出した 男性陣も俺の背中に回り込んで来た。
後ろに目がある訳ない。本当なら喜んでるのか、がっかりしてるのか分かるはずないのに、 俺には手に取るように分かってしまった。

そっと触れてきた左側肩甲骨中心よりも少し下を優しく暖かな手が撫でた。
そこに 番の証があると、分かってしまう動作はやめて欲しい。言いたいけどいえなかった。僅かに震える手は母親の手なのだろう。

「やっと、やっとだわ。イオリ 貴方は今は混乱して戸惑ってるだけ。ゆっくりで良いの、ゆっくりと この証の意味を知っていってちょうだい。そして、この 同じ証を持つアルベルトを知って欲しい。勿論、私達もイオリを知っていくわ」

優しく諭す様に語り掛けながら証の部分から、手を離して俺の真正面に来た。

「だからお願い 番の証を貴方の証を否定しないで」

無理です。明日には神様には消して貰います。

「ただの痣です。どこかにぶっつけただけの痣だから少ししたら消えます。絶対に消えますから」

パン と手を叩く音が響き 王様がニコッと笑う。

「まずは 食事にしよう。イオリも腹減ったままでは可哀想だ」

王様がそう言うならとアル達は頷き、俺は脱いだ服を着ることになったけど またもやノロノロしてしまう。先程部屋に戻るとなると あの視線に耐えながら食事をしないと行けなくなる。

「あの、俺 食事はいりません」

「具合が悪くなったか?!食事も出来ないとは、医者を直ぐに呼べ」

直ぐに慌てたのはアルで自分の上着を俺に着せて抱き上げられてしまった。
待て待て待て、何故 お姫様抱っこなんだ!

「いえ!大丈夫です。お腹が空いてないだけなので心配は無用です」

「そうなのか?無理をしてるのではないか?」

「無理はして無いので 下ろしてください」

「腹が減らないとは、今が食べ盛りなのだから遠慮せず食べないと大きく慣れないぞ」

「イオリは小さな子供ではありません。イオリは15歳です」

「まぁ!本当なの?」
「おぉーそうかそうか」
「近い内に時間をとる」

と、声が重なって聞こえるけど 今はそんなことはどうでもいい!

「下ろして下さい!」

「そうだな。部屋を出るにしてもこの格好では出れない。先ずはキチンと服を着せなさい」

王様の言葉で下ろしてくれて 脱いだ服を何故か着せてくれるアルに大人しくしてた。

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