白昼夢の中で

丹葉 菟ニ

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終焉の雨 3

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予定時刻前に廃ビルの屋上に足を踏み入れ タバコに火を付け、1人の男性を待つ。

吸い終わる頃に足音が聞こえる方を観れば待っていた男だ。

「わざわざ こんなところに呼び出さなくても良いろだ。来るだけでも一苦労だ」

「一応 あんたの職業を考えての配慮に感謝されても憎まれ口を言われることは無い筈ですよ」

「約束の金だ。写真の元となるってる物を渡してもらう」

金が入ってる袋を掲げて見せる高嗣はなにを勘違いしてるのか、自分が有利だと言わんばかりの態度にイラつく。

「おいおい、この前勝手に写真を持って帰っただろ?あの写真の代金が2000万だと言ったはずだ。それとも 写真代を踏み倒すつもりか警察官が、ありえないだろ?」

俺は、俺に打ち負かされ 顔を歪める人の顔が最高に好きだ。誰かが俺に敗北を認めた、俺に負けた奴を見ると気分が高揚しこの中で俺様が1番偉いんだと思わせてくれる。

その証拠に、俺の言葉に笑い声を上げるのは俺の仲間だ。高嗣1人だけ悔しそうに顔を歪めるてる姿を見て、最高の優越かに浸った。

「痛い目に会う前にさっさと渡すもん渡して次の金の準備でもしてろよ、お坊ちゃま」

金を無理やりひったくり 腹に1発拳を叩き込み その場で金の確認をする。
帯の付い札束が20束、いい銀行を見つけた気分だ。

「グッフフフ、堪んねぇ~なぁー。ヨシヨシ じゃ次も宜しくお願いしますね 高嗣坊ちゃん」

「おい!次ってなんだ!!」

「あはははは、言葉の通りだ。じゃぁな」

田中鈴を逃したのはでかいが、良くあの時にいい感が働いたもんだ。まさか、高嗣の兄と田中鈴との関係を突き止めれると思ってもなかった。自身の手柄に惚れ惚れするぜ。
その足でもう1件 お気に入りの喫茶店に入り一番奥の席で高嗣の兄を待つ。

暫くすると1人で入って来て 無表情で金を静かにテーブルの上に置いた。
片手で引き寄せて中身を確認すれば約束通りの金額。
金が手に入って嬉しいはずなのに コイツが悔しそうじゃないのが気に食わない。

「次も宜しくお願いしますね。お兄さん」

此方もテーブルの中央に封筒を置けば片手で掴みそのまま席を離れ店から居なくなってしまった。

コレだからα様は嫌いなんだよ、感情ってもんがねぇが、あの澄ました顔がいつ崩れるか見物だな。
冷めてしまったコーヒーを飲み干して席を立った。





「田中鈴の行方はまだわかんねぇのか?」

「それが探しては居るんですが 全く足取りが掴めなくて」

コイツらは人探しが苦手なのな俊の時と同じ言い訳を繰り返すばかりだ。

「言い訳する前に その空っぽの頭を使って田中鈴を探し出せ!」

アイツはきっと売り専をやってる。それも、客筋は金持ちばかりだ。片っ端しから調べあげて俺の金蔓にする、俺にはその権利がある。初めは俺の元でネット配信のキャラクターをやらせて稼がせるはずだったんだ。その為にも、まずは田中鈴を見つけ出さないことには話が進まない。

田中鈴を見つけ出せ。言い訳ばかりしてる奴はどうなるかと 解りやすい方法で見せつけた。
あの澄ました野郎の顔を見た後なのか 拳のキレがいい。頬にもキレイにストレートが入り 顔が歪む瞬間を見れば気分がすっきりする。

「それ以上すると死にます」と、周りから止められるまでやり続けたが後悔はない。それよりも、いつか あの澄ました顔にこの拳を叩き込みたいとさえ思う。

「いいか、なにがなんでも 田中鈴を見つけろ!」

それだけを言い終えると自室に戻り金を金庫にしまう。
たった一日で5000万だ。なかなかの稼ぎに自然と顔の筋肉も緩む。
金の準備も出来た。後は無事に取り引きの日を待つばかりだ。

それにしても 田中鈴はいいカモを引き連れてる。アイツをこちら側に引き込めば まだまだ稼げる。その為にも先ずは 田中鈴を捕まえ無ければ話にならない。

あれだけ見せしめをしたんだ。近い内に田中鈴を見つけ出してくるだろう。

近い内に 錦成組に青葉組あり、本家に負けないだけの実力を見せつけて、一気にトップに駆け上がって 金も名誉もこの手にして、極道なんかになんの旨みも魅力も無いと代替わりの前に 離脱しやがったアイツを見返してやるぜ。




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