白昼夢の中で

丹葉 菟ニ

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一時の休息 2

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ゲーセンを出て直ぐに「夕飯は準備してある、早めに帰宅しろ」と、父さんから連絡が入るが もう少しだけと 軽くお茶を飲んで帰宅すれば兄夫婦と甥と両親までもが揃ってた。

珍しい事もあるもんだ。今日は盆か正月か?と、疑ってしまうが、無粋な連絡もこの為かと納得する。
6歳の甥の徹が 俺に運命の番が見つかったと知って、鈴に会いたいとずっとせがんでたらしい。余りわがままをいう子では無いから親として叶えてやりたかったんだろうな。少しばかり 妙な輩を警戒していて 、どうしても 近いうちにもう1度合わないと行けないと須賀家の兄とこっそり接触し打ち合わせをしていた。やっとコチラの網に引っかかったと連絡が入り、やっと 少しばかり落ち着いたので 家なら安全だと判断しての事だ。表立って目立った行動をしてくれた須賀家の兄に感謝だな。


それに、家の運転手兼ボディーガードに簡単に撒かれてくれる容易いズブの素人は玄人には適わなかった。

織田家はトップ一部しか顔を出してない。メディアからの問い合わせも一切お断りしてる。それなのに なぜ態々ボディーガードを着けるかといえば、気を付けては居るが 情報は何処かで漏れるものだ。そのせいで先祖に数名の誘拐未遂や脅迫を受けてきた教訓からでもある。
その事を踏まえて、鈴にもやっと相応しいボディーガードに当ってもらえる人間が見つかった。選別基準に番もしくは婚約者か既存者が居ることを条件に色々と条件を当て嵌めて行くとコレだという人間がなかなか見つからなかったが、やっと訓練を終えて帰ってくる人材に2名いた。基本 休み等を考慮して入れると3マンセルか4マンセルだけど、今の所この2人が適任しか居ない。2人を主体にあと1人か2人を取り入れて鈴の行動に付き添って貰う事をそれとなく告げたが、「ふ~ん、俺には必要あるのかなぁ?俺なんか魅力ないし 攫われる心配もないから要らないと思うよ」などと 言っていたが、それでも 一応付けるからと兄さんが伝えたが、鈴にはイマイチ分かってない風だった。

それもそうだろうな、目の前で紹介ではなく報告だけだ。訓練を切り上げて帰ってきて欲しいが、社内規則を緊急時でもないのに切り上げて貰うのも良くないと判断して顔合わせは彼らが帰ってきてからになる為に あと一ヶ月後だと父さんと兄さんとで告げたが、鈴は危機感が全く薄いのか、事件に巻き込まれたにも関わらず のほほんと笑って 「ぅーん、要らないと思います」と断ったが、兄さんに怒られ 渋々ながらも頷いた鈴に我々は3人は同時に溜息はこっそりと付いた事に気がついてない鈴だった。

少し早いが家族で夕飯を楽しく取り、その後 素早く子供らしく鈴にまとわりついた徹。子供らしく 細く小さな手を鈴の腕に巻き付け遊ぼうと可愛らしく強請り始めた。

「ねぇねぇ すーず 僕と遊ぼう!このゲームね 敵が強くてなかなか 倒せないんだ!一緒に戦って 倒そう!!」

コノヤロ 鈴は俺だけの唯一無二 運命の番だ!まとわりつくな!
心の声をどうにか押し殺し 能面になりそうな顔を気力を振り絞り笑顔で見つめる。

「あまり やったことないけど このゲームまだあったんだ。俺たちの子供の頃も この格闘技ゲーム 流行ってたな」

鈴 断り方が甘すぎる!隙だらけだ!!

「ホントに!!凄いよ 鉄拳道場破り4ってそんなに昔からあったんだ」

鈴の昔も可愛く愛らしく天使か妖精か。

「昔ってアハ・・・・5・6年?ウーン7年前になるのかな?
リモコンの操作も忘れたから徹君に教えて貰わないとわかんないけど」

7年前か、なら鈴は11歳だ。まだ少年から青年になる段階前。きっと 誰からも愛される少年だったんだろうな。

鈴の腕を引っ張りゲーム機の前に引っ張り動かす徹について行く鈴の後ろに腕を回し幼き日の鈴を思いながらもソファーに座った鈴の横に当然 俺も座った。

テレビに繋げたゲーム機にカセットをセットして 操作を一通り教えて敵に挑んでる鈴は画面を見てリモコンの見てと目が回りそうな顔をしながら 必死に付いていってたが1分たった頃には操作してたキャラクターから 魂が抜けて天使になり空に帰って行った。

「えっぇっ えぇぇぇ~!早くない?ちょっと まだ必殺技も出してないのにぃ」

ふふ、テレビに殆ど目がいってて 手が動いてない鈴にはこの手のゲームはムリだな、鈴と遊ぶのを諦めて子供はさっさと寝ろ。

「すず 大丈夫、もう1回 頑張れば倒せるから」

無理だと理解したくないのか 必死に何度も教えては挑んでるが、リモコンを懸命に操りながら敵を追い詰めても鈴は何もアシスト出来ずに天に帰って行くキャラクター達。

「ごめんね 俺 足でまといになるばかりで。そうだ!晃さんなら出来そう。カッコよく必殺技とか出せそうだ!晃さんと組んでやってみたら!?」

微妙な所だな。徹は確かに俺の甥で特に可愛がってたが今は鈴にまとわりつく1人の男、子供だろうがなんだろうが気に食わない。カッコよく必殺技を出せても喜ばせるのはゲームの先を進める徹だけ、鈴には全く関係ない物には爪の垢ほども興味がないし、そんな物に動力を使いたいとも思わない。
思わないのに、ニッコリと笑顔でリモコンを渡してきた鈴。この時ばかりは、自分が隣にベッタリ鈴の隣りに座ってしまったことに後悔した。

ここで 拒否したら鈴が俺のとこをどう見るか?
考えただけで 最速10数個のパターンが脳裏を駆け巡ったが、どれも 良いものでは無い。
俺に残された道は、差し出されたリモコンを素直に受け取るしか無かった。

鈴の腰に回してた腕を解き脚を組み鈴を笑顔で態と流し見た。

「俺がカッコよくあの敵を倒す所 見ててくれる?」

「ぅン」

耳まで赤くしてく 俯いてしまった鈴は小さな声で返事を返して来た。相手から見て、自分が どう動いたら好意を受けるか知っての行動。
鈴には俺だけを見てて欲しくて態と取った行動だ。一瞬でも目を離して欲しくなくて。子供相手に嫉妬心丸出しで大人気ないと分かっていても 嫌なものは嫌なのだ。
まだ、バース性がハッキリと分かってない年齢では有るが俺には解る。
徹は間違いなくαだ。だからこそ、可愛い甥で6歳の子供だと頭で分かっていても嫌なのだ。

同じ画面を見てたのだし 操作も聞いてた。リモコンの違いは有るが基本は同じ。
徹と協力して倒せなかった敵をあっさりと倒してみせた。

「指が器用に動くもんだね。骨が抜けてたの?」

「すずさ 面白いこと言うよね。指の骨が無くなちゃったらさ、タコやイカだよ。それに、リモコンのボタン押せないよ」

徹の意見に賛同したくは無いが、まちがってないので困り顔で頷いてた。

「そっか~、そうだよね。ぅん!でも凄い、指ってあんなに早く動かせるもんなんだ」

俺の指を見ながらチラチラとテレビを見てた鈴は横目で見てても可愛かった。感想は まぁ、 鈴らしい。
その間にもちゃっかり セーブしてカセットを替える徹は昔からある ブロックを横に当てはめて消して行くゲームと同じ色を4色以上で消していくゲームに迷って鈴に話しかける。
4色で消すゲームの方が得意らしい鈴の意見を聞いて兄さんも混ざり 楽しむ事にした。

「お前さぁ~、子供相手に大人気ない」

こっそりと耳元で兄さんに言われるが 平然と「同じ‪α‬なんですから イヤなものは嫌なんです」と、応えておいた。


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