白昼夢の中で

丹葉 菟ニ

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終焉の雨 2

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あのガキ 田中鈴は元ひかり園で御手洗 俊の後釜として拓也が連れてくるはずだったガキだ。俺の元で稼がせるはずだったガキだ。そのガキが1人の羽振りが良さそうな男性とホテルから出てきた。

その後にあのガキが乗ってた車の運転手が一人の男性と接触し封筒を手渡すと笑顔で車に乗りこみ自ら運転して去っていく。

さっきの男も最近 何処かで見た顔だと直ぐに思いだす。須賀の両親と兄の写真は入手した時に一緒に付いてきた兄の顔だ。

おいおい、まさかと思うが 調べる価値がありそうだな。時間もないが 念入りに調べるように部下に命じて高嗣の兄を追わせ、俺はあのガキを追っていたが 途中で見失ってしまった。

「クソ何してんだよ!せっかくの金蔓を見失ってんじゃねぇ」

着てるものや雰囲気から絶対 金持ちだ。せっかくの金蔓を見逃してしまったじゃねぇか!!
腹立ち紛れに運転手を気が済むまで殴り蹴るを繰り返し動かなくなったヤツを片付けさせてソファーにふんぞり返った。

「高嗣の兄を追っていた奴はどうなった?」

「会社に戻った見たいですね」

「いいか絶対に目を離すなよ。なにか秘密があるに違いないからな」


数日張り込むと何度か 兄弟が接触するも 目立った動きがないまま1週間がたった。

クソ 時間がねえのに

脅せそうなネタが転がってるのに ソレがなんなのか分からない。

そんな時に 高嗣の兄 征一郎がまたあのホテルに向かった 今度はバッチリ証拠を抑える為に 隠しカメラをセットして近づいた。

征一郎はホテルのロビーで時間を確認しながら雑誌を捲ってるが、田中鈴が入って来ると親しげに呼び寄せ肩を抱き寄せ エレベーター乗り込む。他の客に紛れ、後をつけて 一緒ジュニアスイートルームに入って行く姿もバッチリだ。

直ぐに映像に映し出し親しげに抱き合ってる姿や部屋に入って行く姿を写真にして 幾ら引き出せるかと思案した。


まずは 良い獲物を教えてくれた 弟からだと直ぐに接触した。
交番前に立ってる高嗣に近づき、時間と場所を書いたメモを握らせた。




「何の用だ」

先に着いてたのか この前 教えてやった喫茶店の一番奥に座ってた。不機嫌を隠しもしない高嗣の真正面に座り丁寧に挨拶をしてやった。

「お久しぶり 浅嗣のお兄さん」

「・・・」

「邪険にしないで下さいよ。今は 須賀家の次男デスよね。でも 須賀の醜聞が広まれば困りますよね?」

「何が言いたい」

「いやねェ 偶然にも こんな物が取れてしまって」

内ポケットから思わせ振りに取り出した封筒を掴み 須賀に渡すと 直ぐに仲のものを取りだし 驚きの表情を見せる。

「コレは 」

「良く撮れてますよねぇー。まぁ、田中 鈴も隅に置けねぇ~ って事だ。上手いもん食ってヒィーヒィー言って 金もらってんだろうな。おっと 失礼 お兄ちゃんのベッドの中は知りたくもないか。でもなぁ~ お兄さん 結婚してるし 会社も上手く行ってる。そんな 成功してる人間が 男の子を買って遊んでるのは頂けない。しかも ソレを取り締まる立場の弟だ。どうだ そのネガ買わないか?」

「幾らだ」

よっしゃ!!

「2千万だ」

「ちょっと待て!そんなに直ぐには準備出来ない」

「ムリってなら週刊誌にでも持って行くしか無いな」

「・・・分かった 金は何とかする」

「2日 待ってやる」

そのまま 写真を自分の内ポケットに直し 1000円置くとそのまま 出ていったが気にはしない。写真なんて何枚だって作れる。

よしよし 
先ずは 二千万は確保だ。

30分すると 身なりの良い色男が現れた。
コッチだと手を振ると マスターにコーヒーをオーダーすると真っ直ぐに俺の前に座った。

「初めまして 須賀征一郎さん。あんたん所の会社儲かってるねぇー、しかも奥さんも美人だ。そして、君のお父さんも今や有名なセンセイの弟さんだ」

「父と叔父は最後に会ったのが祖母の葬式でなんの関係も無いと証明出来ますよ」

「そうでしょうねぇ~。でも、そんな時だからこそ アンタも自粛するべきだと思いますが。お元気ですよねぇ~」

やべなぁ~、笑いが止まんねぇ~。今は余裕な面してるが、人間誰しも見られたくねぇ、知られたくねぇ もんはある。その証拠を見せると焦って顔色をかえる。その瞬間が堪らずに楽しい。しかもソレが金に変わるんだ、笑が止まらねぇ。

持ってた封筒から写真を抜き出し 態々 目の前に置いてやる

「悪趣味だな」

顔色を変えずに 感想を一言 言ったが 今まで脅してきた奴と全く違う反応だ。

「その子 俺もちょっと知ってる子でね。金持ちの間を渡り歩いてる子だ。あんたも運が無かっただけだ。其の写真3千万で買わないか。今 時の人となってる祠堂の甥っ子が 10代の男の子を買って遊んでるなんて 何処の週刊誌も飛びついてくれると思うんですが」

ここまで話してて 1人で話してるみたいだ。まったく読めない表情で眉1つ動かさねぇ。こんなのと話してるならロボットを相手に話してた方がまだマシだ。

「良いだろ」

「素直な人は好きですよ。3000万でこの写真を買ってくれ。俺は優しい人間なんでね、2日まってやる」

このタイプは苦手だ。どっちが上か思い知らせとかないとな。

「わかった。2日後 同じ時間またここでいいな」

「あぁ いいぜ。話がはやくて助かる」

コーヒー代に1万 置いて出ていった兄に 気味の悪い物でも見る目で見てしまったが 明らかに兄の方が羽振りが良さそうだ。
それにしても これからは甘い蜜を須賀兄弟から吸えると思えば笑いが止まらねぇ~。こんなモン 好きなだけコピーしまくれるからな。



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