白昼夢の中で

丹葉 菟ニ

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黒雨

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やる気に満ち溢れる 捜査の猛者達 
前を取り逃がし 苦い思いをした者は 前の事件の洗い出しをもう一度したいと 態々 自分よりも歳下の俺に頭を下げる言ってるく者には 好きにしろ と鷹揚に頷いてやる。
危ない橋を渡らせること無く、無事に証拠を見つけて帰ってくるのが 分かってるからこそ出来ることだ。持ち帰った 情報を元に次々と証拠固めをするば、捜査員達の自信に繋がる。
滅多にない出来ないチャンスだ、おおいにフル活用して やりたいように動かしてやるのが上の務めだ。





またもやセンチュリー様に乗り 連れて来られたのは看板も無い生地屋さん?

奥から白髪をピッチリと撫で付けているおじいさんが出てきた。

「いらっしゃいませ 織田様」

「こんにちは いつもお世話になっております。息子にやっと見つかりましてね、この子の衣装を2階に頼みたくてね」

「そうですか、おめでとうございます。 どうぞ 2階に御上がり下さい」

御礼をいい そのまま2階に連れてこられて ギョッとする。

「いらっしゃいませ 」女性の声と共に 女性の独壇場と化した場所では、お父さんは 常に いいね 素晴らしいの言葉だけで 否定の言葉は無く、俺は羞恥心と疲労困憊で 帰りの車の中でウトウトと眠りに落ちた





部下からの報告を聞きながらイライラを抑える。両親の勝手な行動を阻めない自分の今の立ち位置が歯痒い。

動けない変わりに抗議の電話も、鈴が喜んでると聞くと両親の悪巧みに乗るのも悪くないと思えるのはただ一途に鈴が可愛いく、鈴の喜んでる姿を思い浮かべるだけで疲れてる筈が ひと時の癒しになる。



佐藤宅から見つかった遺体は腐敗が進みすぎてる為、正確な日時がわからないが、指紋の2人組からは 逃がした佐藤と御手洗の行方を探す為に 家に忍び込んだ事は認めた。更に自分達が行った時には既に 佐藤は死んでいたと供述した為に詳しく話を聞く為にも 頑張って引っ張ってきた4名に労いの言葉を掛けて 取調室に入った。

2人別々に話を聞いたが、正確な時間は覚えてない割には衝撃的な思い出として頭の中にこびり付いてたのか 語る言葉は違うが、ほぼ同じだ。

6月25日、予定の時刻になっても2人が現れず午後6時過ぎ家に行ったが 2人の姿はない。逃げたと思い2人に行方の手掛かりになる物を探してる最中に押し入れを開けて見ると手が見えて 嫌な予感に狩られながら 布団を捲った先に 遺体を発見。
そのことを上には報告すると、御手洗が殺ったに違いないと躍起になって探したが発見には至らない。

「日にちと時間は正確に覚えてたみたいだな」

「報告では 側頭部の傷からハンマーが1番有力見たいですね」

写真の添付を見ると釘抜きがない両面は打ち付ける六角の面になってるハンマーだ。

「誰でも購入可能だな」

防犯カメラの映像が残ってる事を祈り、捜査員達には地味で 大変な作業になるが頑張ってもらわないと犯人にたどり着けない。


そんな中 1つの情報を持って帰ってきた。

今現在の祠堂 浅嗣の本名 有川 迅 現在19歳 両親は町工場を営んでたが 経営が行き詰まって自殺。子供を一時保護され直ぐに 親戚に引き取られたとなってるが その後 自殺。
引き取られた親戚の行方が分からないし、引き取られた先の住所がダム建設地を行ってる場所だ。

「おやおや、なにかの一つ覚えのように。足が着きやすくて楽ですね」

「ダム地の住所を乱用してくれるのは助かる。態々調べる必要がないからな」

それよりも気になるのは、子どもの引き取られた日と鈴が保護された日が1日しか違わない。

「この親の死亡解剖はしたのか?」

「一応 近隣に聞き込みを行って 自殺と他殺の両面から調べてになってますから 残ってます」

「なんでもいい。調べたいな」

「滅多にない大掛かりで やる気に満ちてますからね。多少の無理も通りますよ」

「この手の調査は村田達が得意だろ?」

油断すると暴走しやすい者達が集まってる班だ。少々扱いつらいが こんな時は役にたつ。

「あそこは 鬱陶し程の熱血漢で 無茶をしますからね。普段は抑えるのが難しいと評判ですが、今回は自由にやっても五月蝿く行ってくる所もないから大丈夫でしょう」

「酷いな。一応の抗議は有るだろ、やるならさっさとやれと」

「あぁ、何も知らないから コッチの段取りも考えずに抗議をして来ますからね」

何処からも見放されたなんて知らずに 私達を抑え込みたくて有力な所には話は持っていくだろうな。
何とも滑稽な事だが 当事者としては何とかしたくて悪足掻きしたくて 手当り次第になる。
鬱陶しくなると、早くしろと言わんばかりに 次々と態と情報を分かりやすくしたり、普段は口が堅いのにうっかりと口を滑らせてくれる者まで 現れる。

そうなって来たら 我々も1発目を発砲事件で引っ張りたいのに違う方面から引っ張らないと行けなくなる。

やり方を間違えるとこちらの段取りを無視しなければならなくなる為に、此方も痛手になるが なんとしてでも欲しい情報だ。

「方法はなんでもいい、法的に通用する様に 指紋とDNA鑑定出来る物を持って帰って来い。須賀も連れて行け」

裏を返せば 同意を取ればどんな状況でも良いから2点を持ち帰れ。

「かなり楽しい展開になりそうですね」

「悪趣味だよな。俺は純粋に事件解決の為に進めてるのに」

嫌がるだろう相手に言葉巧みに 追い詰めるのが大好きな如月らしい一言だ。

「それは 失礼しました。多少の刺激がないと 仕事も楽しくないもので」

「なるほど」

如月は蛇みたいにじわじわを真綿を絞める姿を思い出して 自然と眉間に皺が寄るのが分かり 手を振って 部屋から追い出した。
アイツは敵に回したくないタイプだ。味方でいてくれるだけで有難いとこんな時に思う。目を瞑ると直ぐに鈴が現れてくれてほっとした。







目を覚ますと知らない部屋で寝てた。

何処だろ?
キョロキョロと見回すが知らない場所だ。

うーん、身体のあっちこっちを測られて 色々と晃さんのお母さんと店員さんが話あって、車に乗って・・・そこで 寝ちゃったんだ。

ベッドを出て 部屋を出ると 恰幅のいい女性が「若奥様 お目覚めになったんですね」と 手を引かれて晃さんのお母さんの元まで連れてこられた。


若奥様って言った?言ったよね?
晃さん以外の人にハッキリ言われると、恥ずかしくて全身がぐつぐつと沸騰状態になるのがわかった。

「あら、どうしたの真っ赤になって?起きた時に知らない場所で泣いちゃったの」

オロオロと慌てて俺の側に来てくれたお母さんは俺の手を引いてソファーに座らせてくれる。
違うと言いたいが、 じゃ なんで赤くなってるのかと聞かれたら答えづらいので黙って頷くことにした。

「良枝さんは私がこの家に嫁いでからずっと来てくれてる家政婦さんなのよ」

「矢島 良枝と申します」

丁寧な挨拶をしてくれるのは嬉しいがやっぱり名前を言えずに「よろしくお願いします」と 頭を下げるだけに留めた。

「勝手に連れて来ちゃって ごめんなさいね。でも、晃ちゃん 今忙しいって聞いて ずっと一人であの広いお家に居るよりかはいいかもって」

「そうだったんですね。気をつかっていただいてありがとうございます」

ずっと賑やかな場所で育ってきた。
1人になりたい時も1人になれない環境で いざ1人で暮らし始めたら 話したくても話し相手も居らず 静かすぎて 寂しかった。

そんな心を見透かされたみたいで 嬉しくて泣いてしまった。

「男の人って 基本お仕事大好きなのよね。だから 晃ちゃんが忙しくなると 何時でも此処にお泊まりいらっしゃい」

「ありがとうございます」

「私も鈴ちゃんがお泊まりに来てくれると嬉しいもの。愛ちゃんもよく 要君を連れてとお泊まりに来てくれるのよ」

愛ちゃんとは、湊さんの奥さんで 要くんは6歳の孫で、今 2人目がお腹の中に居ると写真を見ながら教えてくれる。晃さんの写真も見せてもらった。
赤ちゃんの時 幼稚園 小学校 中学校 高校 大学 成人式 大人になってからは少なくなり 家族で揃っての写真が主になってくるけど ちゃんと揃ってる。

俺には揃ってる写真がない事に気がついた。

こんな風に家族で写真を取った思い出がない。俺には家族とはなんなのかよく分からない。写真の中に答えが有るかもと 写真を1枚1枚 よく見るが 答えは見つからなかった。








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