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糸雨
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うーん、よく寝た。
そっと 動いてみる。
うん、動けそうだと確認すると 起き上がり時間を確認すると10時だ。
先ずはシャワーを浴びて 洗濯をしようと洗濯籠を覗き込むも何も入ってない。洗濯機の中かと覗いたけど回した形跡がない。
洗濯物 どこに行った?
不思議に思いながら陽の光がよく入り込むリビングのソファーに座り、携帯を手に持ちながら本来の目的とは違う事を思い浮かべる。病院は明日だ、明後日から仕事 復帰しないとな。
俺には普段仕事に行って寝るだけの日常しかない人間・・・後回しにしたくても大した用事も無いので本来の目的になってしまう。いっその事ドタキャンでもいい。でも、あの理不尽な奴は自分の思い通りにならなければ誰かれ当たり散らす。特に可哀想なのが、小さい子達になってしまう。
〈番に許可は貰えない。〉は俺がΩって言ってしまってる。今は番である晃さんが居るから、あんな事にはならない。とは思う。でも、それは俺が生まれた時から田中 鈴と生きてきたならの場合だ。
俺が 名前を偽って生きてきたと知ったら 晃さんの職業上 別れるしかない。
そう思うだけで 苦しいがコレは俺が11年間回りを騙して生きてきた、覆せない事実だ。駄目だ 別れると思うだけで苦しくて泣きたくなる。いま考えるのは 園長息子にどうやって断るかだ。
どうしたら・・・夕飯ではなく昼ごはんは?晃さんが朝岡さんに頼んでるけど 今から断るのもありかな?
他にいい案が浮かばないので お昼ご飯にしてもらうために携帯をタップした。
暫くして 聞きたくない声がスピーカーから流る
「よー、鈴。どうした?」
「う、うん、その、今日の夜は用事が出来て会えないんだ」
「ふざけんな!!コッチがわざわざお前に合わせてやったのに会えないだ?なめてんのか!?」
「だから昼間にしない」
「ァァ?昼間か・・そうだな。しかたねぇな おまえに合わせてやるよ」
「あー、ありがとう」
嫌な笑い声が耳の奥で聞こえる。
俺に合わせるも何も、約束した覚えもない。一方的な約束を取りつけておきながらも、思い通りにならなければ 不機嫌になる。ドタキャンにしなくて良かった。園に居る子達に当たり散らすことも無いだろう。
待ち合わせを決めて 電話を切りフロントに電話をしてお昼を断った。
晃さんにバレたら嫌われるな。 あー、でも1番の隠し事がバレるよりかはマシかな。バレずに別れるなら 俺はまだ生きていける。
着替えて携帯と財布を持ち家を出た。
「おはようございます田中様、コンシェルジュの三村と申します。よろしくお願い致します」
サービスマネージメントじゃないの?
「織田 晃さんのお宅に数日間お世話になっております」
「今からお出掛けですか?」
「はい」
「お昼をキャンセルされたとお聞きしましたが、もし宜しければ、和洋中どれでも田中様が食べたいお店をオススメさせて頂きますが?」
「有難い申し入れですが、人と待ち合わせしてるので」
「そうでございましたか。余計な事を申しあげて申し訳ありません」
「いえ、今度 ぜひ オススメのお店を教えて下さい」
「もちろん、喜んで」
「ありがとうございます」
「お出掛けでしたら、タクシーの手配をさせて頂きますが」
「いえ、大丈夫です」
「そうですか、お気をつけていってらっしゃいませ」
「いってきます」
ふぅ。このマンションは10階から60階迄は住宅だ、フロント係は住人の人相を一人一人覚えてるってすげーなぁー。
電車とバスを乗り継ぎ指定れた公園に辿り着いた。
予定より早めに着いたが園長息子がいた。
「よう、元気してたかって、昨日 あんな所に捕まってて お前も災難だったな」
本当に災難だったよ。でもお前に言われたくないし、嫌な にやけ顔を晒すコイツにうんざりする。もう、帰りたい。
「あー、うん。確かに すぐ帰るつもりだったんだけど補導されて」
「へー、で、アイツは誰だ?優が恋人かもと言ってたが」
優は誰彼かまわずに俺と話した人は恋人にしたがるな?須賀さんのときも直ぐに恋人?なんて聴いてきたし。
「違うよ、あの人は知り合い」
「おいおい、お前は何処にも引き取り手の連絡先を話してないんだろ?それなのに勝手に引き取り手が現れるのはおかしな話だ、俺に隠し事か?」
へぇ~、珍しい事もあるんだ。まともに人の話し聞くことも会ったんだ。何時も思い込みと先入観の塊の癖に。
「あの人は刑事さんで、俺が補導したと聞いてあの人が来てくれたんだ」
ゲラゲラとバカ笑いを始めてしまった。
「刑事って、お前何やって パクられたんだよ。万引きか?それとも食い逃げか?」
パクられたって。やっぱり 思い込みと先入観だな。発砲事件の事は園の方に話がいってないんだ。
「話したくない」
「おいおい 1番面白い所を聞かせろよ、ドジってパクられたんだろ?お前 昔からバカだったからな 最後の爪が甘かったんだろ?」
既にコイツの中で 俺は犯罪者と思い込んでるコイツに何を話しても通じないだろうな。
「話したくない」
「まぁ、そうだよな。ドジってパクられたなんて恥ずかしくて いえねぇーよな。ガハハハ、そんな ちぃせぇ~犯罪、犯罪の内に入んねぇーよ。ま、1度パクられたんなら ハクが付いたンじゃねぇか?な、セコい万引き野郎ってな」
はぁ、なんで犯罪が箔が付くんだよ、完璧な馬鹿だ。迷惑な思い込みだが、勝手に思い込まませとくに限る。食いたくもない飯食ってサッサと帰りたい。
「どこにご飯いきます?」
公園横の駐車場に車が置いてるからと言い出す。
「いや、10分も歩けば飲食店あるじゃん。そこ
「ふざけんな オレが移動するって言ってんだよ!素直に付いてくれば良いだけなんだよ」
「オレも夕方には用事が
「そんなくだらん用事はキャンセルだ。俺の用事を優先させろ」
「美味しいお店 紹介
「そんなくだらねぇ、ほら行くぞ」
「でも、あまり遠くには
「グダグダ うるせぇー!!」
「でも、俺 余り遠くには
「ああ?鬱陶しい!!俺の言うこと聞いてればいぃんだよ!!オラ サッサと歩け!!」
腕を力任せに掴まれ 引きずられながらも「待って」と抵抗をしてるとナイフを脇腹に向けられた。
「フッ、素直に言うこと聞けよ。最高に美味いもん食わせてやるから。その前にケータイ出せよ」
グフフフ
耳元で気持ち悪い笑い声を洩らされ気分が悪くなるが言われた通りに携帯を渡し車まで歩いた。
車に寄りかかった一人の柄の男が待ってた。
サッサと乗れと服越しにナイフの先が皮膚に当たるのを感じ 言われた通りに車に乗り込むと男が隣りに乗りナイフをチラつかせる。
園長息子は運転席に乗り込むなりエンジンを掛け 車を動かし始めた。
「拓也さん コイツか。なるほど、βには全く見えねぇーな」
心臓がドクドクと大きく鳴り妙な汗が吹き出る、脳裏にはあの時の光景と耳の奥はあの時の笑い声と話し声が聞こえる。
「だろ。Ωだって思ってたんだがな、本気でβだもんな。ま、Ωじゃなくても 見た目これだ。タップリが可愛がって貰えるさ」
「これだけの上物ならどっちでもいい。楽しみだよな」
「お前には毎日 美味いちんぽ食わせてやるよ」
「ギャハハハっ。毎日美味いちんぽ食えば、Ωじゃねぇのに雌イキ覚えるんじねぇーの。よかったな 毎日 自分から欲しがるようになるぜ」
「おいおい、嬉しさのあまり 震えてるぜ。気合い入れて客とって来てやるから安心しな」
「・・・ゃ・・ぃゃ・・」
蚊の鳴くような声でも相手に聞こえてたのか ナイフが頬に当たる。
「おやぁ~、ワガママ 言える立場じゃないって、ちゃーんと教えてやらなきゃな」
ヒンヤリした冷たい刃物に脳裏にこびりついてた物が剥がれ、逃げ出さないと 殺されると今の現状が見えてくる。
「おいおい、まだ 傷つけんなよ。価値が下がる」
「嫌がるのを押さえつけて ヤルのが好きな奴も居るしな」
逃げなきゃ 逃げなきゃ 殺される!!
車の外に目をやり自分の位置を知ることが出来れば逃げ出せる。
車は港近くの低層マンション前に止まった。
「下りろ」
腕を引っ張られ無理やり車から引き摺り出された。先ずは2人を油断させないと逃げ出せない。
「腕 離してくれる」
「はぁ~ あんたバカァ?離すわけないだろ」
「そんな物騒なもん持ってる2人に叶うわけないだろ」
「さいこぉ~、この時点でΩなんて ビービー泣きじゃくって面倒臭いヤツばっかだったのにβは気持ちいい位 諦めてくれるんだ。それとも雌イキやってみたいの?」
「へぇー、そうか そうか タップリ 稼がせてやるよ、俺に感謝しろよ」
そんなわけないだろ!虫唾が走るが、コイツらの機嫌よくなって逃げたせるチャンスを作らないと。
「俺にアザなんて残ると価値が下がるんだろ。そんなに力まかせに腕 掴んでて痛いんだけど」
「それもそうだな。妙な気を起こすんじゃねーぞ」
腕から手が離れたが 2人は警戒してる。今逃げ出しても 直ぐに捕まるだろう。
手は離れたが次はどうすればいいか 思考を張り巡らせながら、掴まれてた所が気持ち悪くて自分の手で何度も擦った。
港近くの魚屋が見えた。元々 約束は夜だった。なにか事を起こすにも 俺の急な変更で 俺がここに連れてこられたと思って間違いない。と、思いたい。
「お昼 まだ食べてないんだよね。今からどこかに食べに行くなんてしないだろ。かといって、どこかで買ってきた弁当なんて不味くて食べれない。あそので新鮮な魚でも買って お昼にでもしない?」
「賢治さんも 今からは来られないっていってたしな」
「お前 料理出来るのか?」
引っかかった。コイツらが馬鹿で助かったよ。
「あの魚屋に行きたいんだけど、動いてもいい?」
2人でどうする?と、アイコンタクトを取り合ってるが最後には男が真横に立ちナイフを突きつけられての買い物になった。
「やったね、ぜんごにしては大きいサイズだから フライにしたいけど 小麦子 パン粉 卵 後は サラダが欲しいけど無ければキャベツの千切り 味噌汁 も作りたい。後は米はあんの?」
ナイフを脇腹に当てられて話す話では無いけど、無ければ買いにいくだろう。人間の三大欲求 性欲・食欲・睡眠欲 この欲には敵わないとされてる。腹が減ってるなら尚更 刺激されて堪らないはずだ。
そっと 動いてみる。
うん、動けそうだと確認すると 起き上がり時間を確認すると10時だ。
先ずはシャワーを浴びて 洗濯をしようと洗濯籠を覗き込むも何も入ってない。洗濯機の中かと覗いたけど回した形跡がない。
洗濯物 どこに行った?
不思議に思いながら陽の光がよく入り込むリビングのソファーに座り、携帯を手に持ちながら本来の目的とは違う事を思い浮かべる。病院は明日だ、明後日から仕事 復帰しないとな。
俺には普段仕事に行って寝るだけの日常しかない人間・・・後回しにしたくても大した用事も無いので本来の目的になってしまう。いっその事ドタキャンでもいい。でも、あの理不尽な奴は自分の思い通りにならなければ誰かれ当たり散らす。特に可哀想なのが、小さい子達になってしまう。
〈番に許可は貰えない。〉は俺がΩって言ってしまってる。今は番である晃さんが居るから、あんな事にはならない。とは思う。でも、それは俺が生まれた時から田中 鈴と生きてきたならの場合だ。
俺が 名前を偽って生きてきたと知ったら 晃さんの職業上 別れるしかない。
そう思うだけで 苦しいがコレは俺が11年間回りを騙して生きてきた、覆せない事実だ。駄目だ 別れると思うだけで苦しくて泣きたくなる。いま考えるのは 園長息子にどうやって断るかだ。
どうしたら・・・夕飯ではなく昼ごはんは?晃さんが朝岡さんに頼んでるけど 今から断るのもありかな?
他にいい案が浮かばないので お昼ご飯にしてもらうために携帯をタップした。
暫くして 聞きたくない声がスピーカーから流る
「よー、鈴。どうした?」
「う、うん、その、今日の夜は用事が出来て会えないんだ」
「ふざけんな!!コッチがわざわざお前に合わせてやったのに会えないだ?なめてんのか!?」
「だから昼間にしない」
「ァァ?昼間か・・そうだな。しかたねぇな おまえに合わせてやるよ」
「あー、ありがとう」
嫌な笑い声が耳の奥で聞こえる。
俺に合わせるも何も、約束した覚えもない。一方的な約束を取りつけておきながらも、思い通りにならなければ 不機嫌になる。ドタキャンにしなくて良かった。園に居る子達に当たり散らすことも無いだろう。
待ち合わせを決めて 電話を切りフロントに電話をしてお昼を断った。
晃さんにバレたら嫌われるな。 あー、でも1番の隠し事がバレるよりかはマシかな。バレずに別れるなら 俺はまだ生きていける。
着替えて携帯と財布を持ち家を出た。
「おはようございます田中様、コンシェルジュの三村と申します。よろしくお願い致します」
サービスマネージメントじゃないの?
「織田 晃さんのお宅に数日間お世話になっております」
「今からお出掛けですか?」
「はい」
「お昼をキャンセルされたとお聞きしましたが、もし宜しければ、和洋中どれでも田中様が食べたいお店をオススメさせて頂きますが?」
「有難い申し入れですが、人と待ち合わせしてるので」
「そうでございましたか。余計な事を申しあげて申し訳ありません」
「いえ、今度 ぜひ オススメのお店を教えて下さい」
「もちろん、喜んで」
「ありがとうございます」
「お出掛けでしたら、タクシーの手配をさせて頂きますが」
「いえ、大丈夫です」
「そうですか、お気をつけていってらっしゃいませ」
「いってきます」
ふぅ。このマンションは10階から60階迄は住宅だ、フロント係は住人の人相を一人一人覚えてるってすげーなぁー。
電車とバスを乗り継ぎ指定れた公園に辿り着いた。
予定より早めに着いたが園長息子がいた。
「よう、元気してたかって、昨日 あんな所に捕まってて お前も災難だったな」
本当に災難だったよ。でもお前に言われたくないし、嫌な にやけ顔を晒すコイツにうんざりする。もう、帰りたい。
「あー、うん。確かに すぐ帰るつもりだったんだけど補導されて」
「へー、で、アイツは誰だ?優が恋人かもと言ってたが」
優は誰彼かまわずに俺と話した人は恋人にしたがるな?須賀さんのときも直ぐに恋人?なんて聴いてきたし。
「違うよ、あの人は知り合い」
「おいおい、お前は何処にも引き取り手の連絡先を話してないんだろ?それなのに勝手に引き取り手が現れるのはおかしな話だ、俺に隠し事か?」
へぇ~、珍しい事もあるんだ。まともに人の話し聞くことも会ったんだ。何時も思い込みと先入観の塊の癖に。
「あの人は刑事さんで、俺が補導したと聞いてあの人が来てくれたんだ」
ゲラゲラとバカ笑いを始めてしまった。
「刑事って、お前何やって パクられたんだよ。万引きか?それとも食い逃げか?」
パクられたって。やっぱり 思い込みと先入観だな。発砲事件の事は園の方に話がいってないんだ。
「話したくない」
「おいおい 1番面白い所を聞かせろよ、ドジってパクられたんだろ?お前 昔からバカだったからな 最後の爪が甘かったんだろ?」
既にコイツの中で 俺は犯罪者と思い込んでるコイツに何を話しても通じないだろうな。
「話したくない」
「まぁ、そうだよな。ドジってパクられたなんて恥ずかしくて いえねぇーよな。ガハハハ、そんな ちぃせぇ~犯罪、犯罪の内に入んねぇーよ。ま、1度パクられたんなら ハクが付いたンじゃねぇか?な、セコい万引き野郎ってな」
はぁ、なんで犯罪が箔が付くんだよ、完璧な馬鹿だ。迷惑な思い込みだが、勝手に思い込まませとくに限る。食いたくもない飯食ってサッサと帰りたい。
「どこにご飯いきます?」
公園横の駐車場に車が置いてるからと言い出す。
「いや、10分も歩けば飲食店あるじゃん。そこ
「ふざけんな オレが移動するって言ってんだよ!素直に付いてくれば良いだけなんだよ」
「オレも夕方には用事が
「そんなくだらん用事はキャンセルだ。俺の用事を優先させろ」
「美味しいお店 紹介
「そんなくだらねぇ、ほら行くぞ」
「でも、あまり遠くには
「グダグダ うるせぇー!!」
「でも、俺 余り遠くには
「ああ?鬱陶しい!!俺の言うこと聞いてればいぃんだよ!!オラ サッサと歩け!!」
腕を力任せに掴まれ 引きずられながらも「待って」と抵抗をしてるとナイフを脇腹に向けられた。
「フッ、素直に言うこと聞けよ。最高に美味いもん食わせてやるから。その前にケータイ出せよ」
グフフフ
耳元で気持ち悪い笑い声を洩らされ気分が悪くなるが言われた通りに携帯を渡し車まで歩いた。
車に寄りかかった一人の柄の男が待ってた。
サッサと乗れと服越しにナイフの先が皮膚に当たるのを感じ 言われた通りに車に乗り込むと男が隣りに乗りナイフをチラつかせる。
園長息子は運転席に乗り込むなりエンジンを掛け 車を動かし始めた。
「拓也さん コイツか。なるほど、βには全く見えねぇーな」
心臓がドクドクと大きく鳴り妙な汗が吹き出る、脳裏にはあの時の光景と耳の奥はあの時の笑い声と話し声が聞こえる。
「だろ。Ωだって思ってたんだがな、本気でβだもんな。ま、Ωじゃなくても 見た目これだ。タップリが可愛がって貰えるさ」
「これだけの上物ならどっちでもいい。楽しみだよな」
「お前には毎日 美味いちんぽ食わせてやるよ」
「ギャハハハっ。毎日美味いちんぽ食えば、Ωじゃねぇのに雌イキ覚えるんじねぇーの。よかったな 毎日 自分から欲しがるようになるぜ」
「おいおい、嬉しさのあまり 震えてるぜ。気合い入れて客とって来てやるから安心しな」
「・・・ゃ・・ぃゃ・・」
蚊の鳴くような声でも相手に聞こえてたのか ナイフが頬に当たる。
「おやぁ~、ワガママ 言える立場じゃないって、ちゃーんと教えてやらなきゃな」
ヒンヤリした冷たい刃物に脳裏にこびりついてた物が剥がれ、逃げ出さないと 殺されると今の現状が見えてくる。
「おいおい、まだ 傷つけんなよ。価値が下がる」
「嫌がるのを押さえつけて ヤルのが好きな奴も居るしな」
逃げなきゃ 逃げなきゃ 殺される!!
車の外に目をやり自分の位置を知ることが出来れば逃げ出せる。
車は港近くの低層マンション前に止まった。
「下りろ」
腕を引っ張られ無理やり車から引き摺り出された。先ずは2人を油断させないと逃げ出せない。
「腕 離してくれる」
「はぁ~ あんたバカァ?離すわけないだろ」
「そんな物騒なもん持ってる2人に叶うわけないだろ」
「さいこぉ~、この時点でΩなんて ビービー泣きじゃくって面倒臭いヤツばっかだったのにβは気持ちいい位 諦めてくれるんだ。それとも雌イキやってみたいの?」
「へぇー、そうか そうか タップリ 稼がせてやるよ、俺に感謝しろよ」
そんなわけないだろ!虫唾が走るが、コイツらの機嫌よくなって逃げたせるチャンスを作らないと。
「俺にアザなんて残ると価値が下がるんだろ。そんなに力まかせに腕 掴んでて痛いんだけど」
「それもそうだな。妙な気を起こすんじゃねーぞ」
腕から手が離れたが 2人は警戒してる。今逃げ出しても 直ぐに捕まるだろう。
手は離れたが次はどうすればいいか 思考を張り巡らせながら、掴まれてた所が気持ち悪くて自分の手で何度も擦った。
港近くの魚屋が見えた。元々 約束は夜だった。なにか事を起こすにも 俺の急な変更で 俺がここに連れてこられたと思って間違いない。と、思いたい。
「お昼 まだ食べてないんだよね。今からどこかに食べに行くなんてしないだろ。かといって、どこかで買ってきた弁当なんて不味くて食べれない。あそので新鮮な魚でも買って お昼にでもしない?」
「賢治さんも 今からは来られないっていってたしな」
「お前 料理出来るのか?」
引っかかった。コイツらが馬鹿で助かったよ。
「あの魚屋に行きたいんだけど、動いてもいい?」
2人でどうする?と、アイコンタクトを取り合ってるが最後には男が真横に立ちナイフを突きつけられての買い物になった。
「やったね、ぜんごにしては大きいサイズだから フライにしたいけど 小麦子 パン粉 卵 後は サラダが欲しいけど無ければキャベツの千切り 味噌汁 も作りたい。後は米はあんの?」
ナイフを脇腹に当てられて話す話では無いけど、無ければ買いにいくだろう。人間の三大欲求 性欲・食欲・睡眠欲 この欲には敵わないとされてる。腹が減ってるなら尚更 刺激されて堪らないはずだ。
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