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94話

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国際空港の出発ロビーで待っているのだが周りはみなカップルばかり、1人で待ってるとかなり気まずい、新婚旅行の定番であるハワイだとこうなるのか、何をして時間を潰そうか

別に他の人が俺を見ているわけではないのがわかっては居るのだがみんなが俺を見て

(あの人ハワイに1人で行くのね、かわいそう)

とか

(新婚旅行で予約して逃げたれたからひとりなのね)

とか、思われているのではとあらぬ想像をかき立てられる、ちゃんと俺も相手が居て、それも2人もだぞ、と聞かれてもないのに言いたくはなる、ただ俺にとっての強みとしては周りに居る人たちの大半はエコノミーでたまにビジネスがいるぐらいだろう

俺はファーストクラスだ、往復100万円も掛かったが3人で100万円と考えるとかなりリーズナブルだ、航空券は1人分で良いが宿泊券は3人分なのでパックで申し込むことはできなかった、そんな客居ないだろうからな

ヒルダとテレサは今は居ない、向こうで会う予定だ、テレサにファーストクラスを味わわせてやりたいのだがそれは無理な相談だ、座席も食事も最高だ、こんな良いのなら世界一周ずっと飛行機に乗っていたいぐらいだ、目的もなくただ鉄道に乗っていたい鉄オタの気持ちが理解できる

今回も荷物は本来なら麻の服のポケットに全部入るのだがダミー用トランクだけ用意した、こちらには服しか入っていないが、麻の服には拳銃や戦車、ヘリコプターまで入っていて、いつでもテロを起こせる、もちろんしないが

現金の持ち出しって上限があるはずだから30万円ぐらいにしておいた、いざとなればスイス銀行クレカも使えるし、問題ないだろう

目的地に無事に着くと予約していた高級ホテルでチェックインを済ませる、チェックインの際にパスポートの提示を求められた、まさか飛行機だけでなくホテルでも求められるとは知らなかった、余りホテル現地で用意した所に泊まるだけでパスポート出したことなかった

これは予定を変更しなくては、ホテルは3人分の料金を払い、別でコンドミニアムを1ヶ月分借りることにした、これなら俺だけで泊まることにして外部の人間は入ってこず、料金も一棟借りなので何人で使っても料金は同じだ

急遽借りたコンドミニアムだったのでかなり高くついた、ホテルも借りてコンドミニアムまでも借りて、なんか無駄に払うお金が多すぎる気がする、一棟借りでなんと1ヶ月100万円1週間しか滞在しないのに随分と足元を見られたものだ

コンドミニアムの部屋に着くとバッグからドアをだして壁に立て掛けた、かなり重いが1人で持ち上がらない大きさでもない、帰りもまた仕舞わなければいけないのだが立て掛けたままで収納できるので片付けの方が楽だ

ドアを開けると王都で待機してもらっていたテレサとヒルダが居る

「お待たせ、こっち来てもいいよ」

「ドキドキしますね」

ヒルダが通れるか少し心配したが無事通り抜けることが出来て安心した

「ここはハワイという地域で日本人が大好きでよく新婚旅行で来る場所なんだよ、観光地だから色々なことが出来るけど何がしたい?」
テレサ
「ナオト様 シルキーにパンケーキを持って帰ってあげたいのですが」

最初に人のこと考えられるなんて改めて良い子だなと思った、前にネットで一緒に見ていていつか来たいと思っていたらしい、新婚旅行が終わって帰ったとしても1ヶ月は借りられるのだからフレイヤとシルキー、他のみんなも連れてきてもいいかも知れない

「もちろんいいとも、後で一緒に食べに行ってシルキーの分はテイクアウトしよう」

「ヒルダはどこに行きたい?」

因みにヒルダと呼び捨てにするように言われた、ヒルダさんと呼ぶとまるでヒルダの方が偉いみたいに見え、表向きは夫の方が偉いと考えられているため、ダメな家庭と見えるようだ、実際は俺なんて奴隷のようなものだが

「私は服とか見たいですね、異世界のファッションに興味あります」

宝石だけはなるべく見せたくない、ダイヤの価値に気付けば俺がやっている商売のこともばれてしまう怖れがある、もっとも異世界のダイヤとこちらのダイヤではカットの関係で輝きが全く違うためばれる可能性は少ないが

「ここは海も綺麗な所だから泳ぐのもいいかも知れないが2人は泳げるのかな?」
テレサ
「泳ぐってなんですか?」
ヒルダ
「泳げませんよ」
ああそこからか、海が近くになかったとしても川ぐらいはある気がするのだが、おまけにインターネットでいくらでも調べられると思うのだが

「水の中で自由に動くことを言うんだよ」
テレサ
「それは溺れるってことと同じでしょうか、それをやるとおいしいんですよね?」

バラエティ番組の影響だろうな、テレビも規制かけないと間違ったもの見てしまう、今度から国営放送以外はチャンネルが替えられないようにしておこう

ヒルダの方は海がまず近くにないこと、川はあるが泳ぐような危険な行為はしようとも思わなかったらしい、確かに川に入らなければ溺れることは皆無だからな

でも向こうって堤防とかないから洪水なんて起こったらどうするんだろう

「川が決壊したらどう処理するの?洪水とか危険じゃない?」

「その時は水魔法使いが処理するので問題ないです」

異世界と言っても俺が余りにも魔法に縁がなさすぎてその存在自体は抜けていた、普段使っているのもマジックバッグって魔道具なのに

「それじゃまずはパンケーキ、その後はショッピングして海に行こう」

ど定番を楽しむことにした。
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