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72話

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準備を始めて数日が経った。

アステル達ドワーフの柵は最低ラインの3重を超え4重で作ることが出来た、シルキーの落とし穴も何百人は落とすことができる規模ぐらい物が出来ていた

暴風の疾駆者もなんとか砲台の向きを変えることや2.30メートルぐらい先の的に当てることが出来るようにはなってきた

俺は才能がないのか、10メートルの的を当てるのが精一杯だ、後数日で帝国軍が到着する、今日は全員作業は止めてゆっくりと街の中で静養する。

城壁の上の物見櫓から帝国軍が来たらすぐに知らせが走るようになっている

「みんな大変だったな、今日はゆっくりと休んでくれ」

帝国軍が来たときに動いてもらうのは暴風の疾駆者、フレイヤのみなので、他の者の仕事はもう終わりだ、ご褒美としてシルキーにはプリン、アステル達にはお酒を渡す、テレサは物で釣られるような子じゃないので何もなし

数時間後に櫓から報告があり、帝国軍が見える位置まで来たことを教えてもらった、急いで城門に行き、王国軍も集結している、今まで王国軍って何してたんだろう、役に立たないにも程がある、全軍の先頭に立ち

「止まれーそのまま突入してくるならばこれを見ろ」

と合図をする、それを見て大砲を的に撃つ

「ドカーン」

「この威力を見たかっ今度はお前たちにお見舞いするぞ」

的が木っ端微塵になる様を見て行軍を一旦止める、帝国軍からどよめきが聞こえてくる、そして砲身を帝国軍に向けると慌てて動線上から避けていくが、大砲は全部で5台ある、全部の砲台から逃げる術はない

「構わず撃てー」

帝国軍の号令の元放物線を描き火の玉が飛んでくる、何発か戦車に当たるがびくともしない、それはもちろん検証済みだ、次に弓矢が飛んでくるがそれでもなんともない

打つ手がなくなれば停戦交渉に入ることが出来ると思ったが、諦めることはなく、撃ち続けた、人間に向けて撃てば間違いなく死者が出る、死人が出れば交渉がし辛くなる、そのまま引き返してくれたら良いのに

帝国軍の攻撃が全く戦車に通用しないことがわかると弓矢や火の玉が止まり、予想外のことが起こった、帝国軍の後ろの方から雲の子を散らすように逃げて行った、ギリギリだったな、なんとか停戦できると思ったが

数百人単位の騎馬がこちらに突っ込んでくる、そのままどんどんと落とし穴に落ちていく、落ちた騎馬は這い上がることができず 卑怯だー とか叫んではいるが殺してないだけ甘いと言えよう

「ハルクそろそろ行ってくれ」

「はい」

帝国軍が乱れた処で1台の戦車が突進する、槍を突き立てる騎馬兵だったが跳ね返されるのみ、全く歯が立たないとみるや逃げ出していく、向かってくる敵軍にのみ向かっていき、敵の戦意を奪っていく、最早軍隊とは呼べないぐらいバラバラになった処で戦車の上に立ち

「降伏しないとこのまま帝都に攻め込み火の海とするぞ、まだ無駄な戦いをしたい者がいるか」

拡声器で大声で叫んだ

「お前たちの大事な家族に会えなくても良いならこのまま行軍するぞ、降伏するなら全員武器を捨てて投稿しろ」

そのまま逃げていく者、武器を捨ててその場で膝を折る者、こちらに向かっている者は誰もいなくなっていた

俺の仕事は終わった、後は何も起きないことを願いつつ待機していた、停戦交渉は俺が出る幕はない、王国軍と帝国軍の間で話し合いがされることだろう

(早く帰りたい)

でもどう落ち着くのだろう、両軍怪我人は出たが死人は誰も出ていない、賠償金とかどっちがどっちに請求するのだろう、勝者が敗者に請求する者だがどちらもいない、王国軍は出動はしたが動いてもないし、帝国軍にしたって逃げてはいるが全軍無事だ

帝国軍が撤退すると同時に俺も帰った、今回の感想を一言で表すとしたら

(時間を掛けた茶番だ)

俺はかなりの金を使った、帝国軍は時間と食料を浪費した、なんか後味が悪い結果となってしまった、美味しい物でも食べて気分をスッキリさせたい、帰りはスピードをぶっ飛ばして帰ろう。

「テレサ、ハルクに運転させてトラックにみんなを乗せて帰ってきてくれ、俺はやることあるから先に帰るから」

「かしこまりました」

こっちには警察も居ないので取り締まられることはない、制限速度気にせずに帰ろう。
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