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#6 ワンコの交尾のお膳立て。
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週末の、昼を少し過ぎた頃、約束のファーストフード店で待っていると、
「ちょっと遅れちったー。ごめーん」と言いながらやつがやって来た。
相変わらず元気で、ちょこちょこ動き回る子犬のようなやつだ。
子供の頃に飼っていた愛犬を思い出して、
「おせーぞー!!!」と言いながら頭をワシャワシャっとしてやった。
いつ見ても愛犬の子犬時代のコロコロしていた頃を思い出させるので、
俺は心の中で密かにこいつの事を『犬っころ』と呼んでいる。
この犬っころは「ちょっと注文してくるーーー」と言ってレジに走っていき、
暫くしたらバーガー2個とLサイズの大きなドリンクを持ってきた。
食欲旺盛だな。20歳は流石に若い。(俺もまだ22だが。。)
そして「ほんでほんで?俺はどうしたら先輩とSEXできるの?」と、
ドリンクに挿したストローを咥えながら顔を覗き込んできた。う、、あざとい。
上目遣いで見てくるもんだから少しドキッとしたが、
少し深めに呼吸をして落ち着いた所で、予定していたHIVについてのレクチャーを始めた。
「HIVが感染する経路としては、①血 ②精液(女性は膣分泌液) ③母乳だ。
これらに気を付ける必要がある。だから、注意する事としてはこんな感じだ。」
・出血を伴う怪我をした場合、可能な限り本人以外は血に触れない。
本人以外が傷口や血に触れる場合は、手袋やビニール袋等を着用すること。
・SEXでは必ずゴムを使う。フェラもバックも。キスでは伝染らない。
但し、HIV陽性者が口内に出血を伴う傷がある場合はキスもダメ。
・最近では抗HIV薬の継続的な服用で、条件次第で生でのSEXも可能らしい。
(男同士の場合は、子供を作るという目的がないので、やはり生は避けた方が良い。)
「それ以外に、陽性者本人の注意事項としてはこんなところだ。
流石に本人は知っているだろうけど、これから付き合ってくならお前も覚えておいて、
一緒に居る時は気を付けてやった方が良い。」
・日常生活には特に支障がない。通勤・通学も可能だし、運動の制限もない。
・酒、たばこ、ペットは禁止ではないが、極力避けた方が良い。
特に動物は色んな菌を持っているので、もしペットを飼うなら医者の指導を仰ぐこと。
・薬の影響で健康な人より生活習慣病にかかりやすいので、食事や運動に気を付ける。
・食べる物に気を遣う。薬の効果を弱めるものはダメだし、体調が悪い時の生モノもダメ。
・市販薬やサプリメントを使用する場合は医者に聞く。
「つまり、普通に生活してる分には特に問題ないけど、
『本人は口にするもの、菌に感染しそうな状況にならないよう気を付ける』
『周りの人は血とか精液(女性は膣分泌液)に気を付ける』
って事だな。」
要点をメモに書きだし、犬っころに渡すと、
やつは「フムフム」と言いながらハンバーガーを頬張り、
口をモグモグしながら暫くメモを見ていた。
そして、口の中のハンバーガーをドリンクで流し込むと、急に大きな声で言った。
「おし、これで先輩とSEXできるぞ!!!」
おいおい、恥ずかしいから大きな声でSEXとか言うなよー。
俺は背中を小さく丸めながら、できるだけ顔を隠し、「大声出すなよ」と軽く諫めた。
「お前、そんなにSEXSEX言ってると、それだけが目的だと思われるぞ!」
犬っころは「えーーーーっ」と言いながら、
「だって、すっごいすっごい好きな人だったら、SEXしたいじゃん!!!
俺、誰とでもSEXできる人とかわかんないもん。好きな人とだけSEXしたい!!!」
そんな真っ直ぐなキラキラした目でSEXSEX言うなよ、と思いながら、
俺は「はいはい」と、このキャンキャン吠える犬っころを宥めるのだった。
「ちょっと遅れちったー。ごめーん」と言いながらやつがやって来た。
相変わらず元気で、ちょこちょこ動き回る子犬のようなやつだ。
子供の頃に飼っていた愛犬を思い出して、
「おせーぞー!!!」と言いながら頭をワシャワシャっとしてやった。
いつ見ても愛犬の子犬時代のコロコロしていた頃を思い出させるので、
俺は心の中で密かにこいつの事を『犬っころ』と呼んでいる。
この犬っころは「ちょっと注文してくるーーー」と言ってレジに走っていき、
暫くしたらバーガー2個とLサイズの大きなドリンクを持ってきた。
食欲旺盛だな。20歳は流石に若い。(俺もまだ22だが。。)
そして「ほんでほんで?俺はどうしたら先輩とSEXできるの?」と、
ドリンクに挿したストローを咥えながら顔を覗き込んできた。う、、あざとい。
上目遣いで見てくるもんだから少しドキッとしたが、
少し深めに呼吸をして落ち着いた所で、予定していたHIVについてのレクチャーを始めた。
「HIVが感染する経路としては、①血 ②精液(女性は膣分泌液) ③母乳だ。
これらに気を付ける必要がある。だから、注意する事としてはこんな感じだ。」
・出血を伴う怪我をした場合、可能な限り本人以外は血に触れない。
本人以外が傷口や血に触れる場合は、手袋やビニール袋等を着用すること。
・SEXでは必ずゴムを使う。フェラもバックも。キスでは伝染らない。
但し、HIV陽性者が口内に出血を伴う傷がある場合はキスもダメ。
・最近では抗HIV薬の継続的な服用で、条件次第で生でのSEXも可能らしい。
(男同士の場合は、子供を作るという目的がないので、やはり生は避けた方が良い。)
「それ以外に、陽性者本人の注意事項としてはこんなところだ。
流石に本人は知っているだろうけど、これから付き合ってくならお前も覚えておいて、
一緒に居る時は気を付けてやった方が良い。」
・日常生活には特に支障がない。通勤・通学も可能だし、運動の制限もない。
・酒、たばこ、ペットは禁止ではないが、極力避けた方が良い。
特に動物は色んな菌を持っているので、もしペットを飼うなら医者の指導を仰ぐこと。
・薬の影響で健康な人より生活習慣病にかかりやすいので、食事や運動に気を付ける。
・食べる物に気を遣う。薬の効果を弱めるものはダメだし、体調が悪い時の生モノもダメ。
・市販薬やサプリメントを使用する場合は医者に聞く。
「つまり、普通に生活してる分には特に問題ないけど、
『本人は口にするもの、菌に感染しそうな状況にならないよう気を付ける』
『周りの人は血とか精液(女性は膣分泌液)に気を付ける』
って事だな。」
要点をメモに書きだし、犬っころに渡すと、
やつは「フムフム」と言いながらハンバーガーを頬張り、
口をモグモグしながら暫くメモを見ていた。
そして、口の中のハンバーガーをドリンクで流し込むと、急に大きな声で言った。
「おし、これで先輩とSEXできるぞ!!!」
おいおい、恥ずかしいから大きな声でSEXとか言うなよー。
俺は背中を小さく丸めながら、できるだけ顔を隠し、「大声出すなよ」と軽く諫めた。
「お前、そんなにSEXSEX言ってると、それだけが目的だと思われるぞ!」
犬っころは「えーーーーっ」と言いながら、
「だって、すっごいすっごい好きな人だったら、SEXしたいじゃん!!!
俺、誰とでもSEXできる人とかわかんないもん。好きな人とだけSEXしたい!!!」
そんな真っ直ぐなキラキラした目でSEXSEX言うなよ、と思いながら、
俺は「はいはい」と、このキャンキャン吠える犬っころを宥めるのだった。
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