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392 妖刀
しおりを挟む宝石加工が出来ないので、小さい宝石をシアに渡して好きな物を作ってもらう事にした。
そして今、セギラを訪ねて倉庫にあった刀を見てもらっている。
セギラ»「国王様、この刀は血を吸いすぎておる様子ですので処分した方がよろしいかと。」
ユーリ»「狐さんが使ってた刀じゃないのかな?」
セギラ»「それは解りません、セイワ刀を好んで所持する者は居ますので。」
ユーリ»「私もセイワ刀は好きだよ。」
セギラ»「有難うございます、ですがこの刀は良いとは言えませんな。」
ユーリ»「呪いの刀みたいな?」
セギラ»「そう思って頂いて差し支えない代物かと。」
ユーリ»「シアが気持ち悪いって言ってたのアタリなんだ。」
セギラ»「この刀を気持ち悪いと言った方が居られるので?」
ユーリ»「人間の女性なんですけど、なんか気持ち悪い感覚があったみたいなんですよ。」
セギラ»「人間の女性が…。」
ユーリ»「なにか関係あるんですか?」
セギラ»「それは分かりません、人間を怨む者の怨念が憑依した刀かも知れませんな。」
ユーリ»「憑依…。」
セギラ»「この刀は倉庫に長年に渡り保管されていたと思うのです、ですが錆びていない所か青み掛かった刀身など見た事が御座いません。」
ユーリ»「妖刀なのか。」
セギラ»「なにかしらの影響が出てはいけませんので、この刀は処分を提案いたします。」
ユーリ»「私には何も感じないのよね…綺麗な色の刀だと思う、それに手入れの必要ないっての楽ぢゃね?」
セギラ»「…なんだか気に入ってらっしゃるのでは?危険な刀かも知れないのですよ?」
ユーリ»「ヤバかったら溶かすよ、とりあえず私が使ってみる事にする、ありがとセギラさん。」
セギラの家を出て刀を自室に起き執務室でお茶タイム。
その後は何も無く寝る時間になった。
なぜか刀が気になり、サヤから刀を抜いてみた所、魔力が刀に吸われている感覚があった。
刀をサヤに戻すと握っていても魔力を吸われる感覚は無い、何度か繰り返して試してみると、抜くと魔力を吸われるみたいだ。
リーゼ»「お姉様?」
ユーリ»「ん、大丈夫、なんともないよ。」
リーゼ»「その刀が気になるのですか?」
ユーリ»「この子、私に使えるかな…。」
リーゼ»「お姉様は武器を使えないのでは?」
ユーリ»「うん、武器なんて必要ない世界に居たからね。」
リーゼ»「どんな世界なのですか?」
ユーリ»「そうだなぁ、人間が人間を決まり事で支配してる世界?」
リーゼ»「息苦しそうです。」
ユーリ»「そうだね、この世界に居ると戻れないね。」
雲で霞んだ感じの月を見ながら話しをして、また刀を抜いて魔力を送ってみた。
リーゼ»「お姉様ッ!!」
ユーリ»「大丈夫だよ、魔力を吸わせてるだけ。」
リーゼ»「すごい光ってますけど、魔剣じゃないですかそれ…。」
ユーリ»「魔剣かな?妖刀かな?刀だから魔刀?まぁいぃか、朧月、妖刀朧月、私の愛刀になってくれたら嬉しいな。」
刀を収めて眠りについて夢を見た。
刀を持った狐が傷つきながら必死に魔族と戦って村を守っている夢、苦しくても仲間を守る為に倒れられない狐、辛く苦しい夢だった。
この刀の持ち主だったのかな…。
次は私が皆を守るよ。
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