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冥界の事柄
勇気ある主人公
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「ふぁ~……今日も平和だなぁ」
神子は神社から外へゆっくりと出てくる。もう時刻は昼時だ。
とても暖かい春の陽気で、神子は思わずあくびが出るほど眠くなる。
ここは蛇護幻派閥。美しい神秘的な派閥で神社の裏に全ての派閥と通じている滝があることで有名だ。
そしてこの蛇護幻神社の神子をしているのがこの見た目は女性の神霊、慈影 蛇慮。
上半身は女性、下半身は男性というちょっと変わった姿をした神霊と影族である。
神力は『六色の札を扱う能力』。二つ名は『六色の才札を持つ神子』。とにかく呑気で面倒臭がり。
だが、世界に何かあるとどんなことがあろうと、ひとっ飛びで駆けつけて解決する、不思議な性格の神子だ。派閥は蛇護幻に所属している。
「ま、平和で何よりだよね」
そう言いながら神子は箒を持ちくるくると回しながら空を見上げる。
「眩しっ……ま、いっちょ掃除、片付けますか!その後お昼寝しよっと」
神子は楽しそうにそう言うと、鼻歌を歌いながら掃除を始めた。
「おや、蛇慮今日は随分張りきっておられますね」
「あ、守秘ちゃんおはよう……て言ってももう昼時なんだけどね」
この神秘的なオーラを放ちながら神社から出てきたこの男の名は、蛇護幻 守秘叶好。
この世界の創造神であり三神の一人。そしてその母性の強さは凄まじく男性だが、よく世界の母と呼ばれ、男女関わらず魅了する。
神力は『影からありとあらゆるものを生み出す能力』。派閥は蛇慮同様蛇護幻に所属している。二つ名は『永久に忘れ去られし花嫁』である。
「蛇慮、今日、ご予定はありますか?」
その言葉を聞いた途端、蛇慮の動きはピタリと止まる。
「……何も無いけど?まさか事柄?」
「……えぇ、起こりそうなのです。ですから、蛇慮、貴方に事前の調査を任せたいのですが」
そう守秘叶好が言うと、蛇慮は明らかに不機嫌な顔になる。
「せっかく今日はお昼寝しよう思ってたのに~」
「世界を平和に保つものの運命ですよ」
拒否権がないことを告げられ物凄く落ち込んだ様子を見せる蛇慮。
「ですが、一人で行けとは言っておりません」
「え?何で?いつもなら一人ででも行かせるのに」
そう、蛇慮が言うと、守秘叶好は少し顔をしかめる。
「今回の御相手は、かなりの強敵なのです」
「!?え、マジ……?」
「えぇ、ですが」
そう言うと、守秘叶好は蛇慮を抱きしめ頭をゆっくり撫でる。
「貴方ならきっと出来ると思いまして……いずれは母を超える神になって欲しいのです」
(相変わらず胸筋柔らかいしでかい……なんかもう一生このままでいいやぁ)
蛇慮はにやけきった顔で顔をさらに守秘叶好の胸筋に埋める。
守秘叶好はゆっくりと蛇慮の頭を撫でる。
「うん、分かったぁ、僕頑張るねぇ」
「全く、貴方もですけど私も影族であることをお忘れですか?心読めるのですよ?……もう、スケベさんなんですから」
守秘叶好はその後蛇慮を甘やかし続け、結局今は外で影から守秘叶好が作ったベッドで守秘叶好の膝枕を蛇慮が堪能している状態である。
「やっぱママの膝枕一番好き~」
「それは良かったです」
そう言っていると、背後から申し訳なさそうに一人の男がやって来る。
「あ、あの、ごめん、ね?遅れ、ちゃって」
「!」
蛇慮は飛び起きその声の主目掛けて俊敏に飛びつき、力強く抱きしめる。
「兄ちゃん!おかえりぃ」
「!じ、蛇慮、ただ、いま」
いきなり飛びつかれて驚いたものの、しっかり蛇慮を受け止め、抱きしめ返す。
蛇慮に兄と呼ばれた男性の名は、戦神。
三神の一人であり、かつては神界を支配したことがあるほど力のある神。だが、今は話すのが苦手なオドオドしている気弱な神である。
神力は『言霊で全てを支配する能力』だが、元の性格はとても優しいが故に自分の能力をかなり恨んでいる。
そして彼は耳が良すぎるが故に、ずっとイヤホンや耳栓などしていないと人の数百倍よく聞こえてしまう。
だが、今はとある人から貰ったブルートゥース式のイヤホンのおかげで声を出しても人を操ったりしなくて済むようになり話せるようになった。
耳もそのイヤホンのおかげで人並みの聴力になった為、かなり過ごしやすくなった。二つ名は『語り継がれし伝説の戦神』。派閥は無所属だが、大体蛇護幻にいる。
「てか、何で兄ちゃんが来たの?珍しいじゃん」
「す、守秘叶、好に、呼ばれ、て……」
「えぇ、私が呼びました」
守秘叶好は影から作ったベッドを消し、二人の前へ歩み寄る。
「蛇慮、戦神様、二人で行ってきてくださいませ」
「え、兄ちゃんと!?」
「え?どういう、こと?」
「あ、何も知らないのね、兄ちゃんは」
「う、うん、何も、知らない……」
本当に何も知らない様子の戦神に、蛇慮は呆れた様子で守秘叶好を見る。
「そんくらい軽くでいいから教えてあげなよ」
「おや、それは申し訳ございませんでした……」
「まぁいいよ、僕が教えてあげる実はね兄ちゃん……」
蛇慮は、何も知らない戦神に今回かなり厄介な事柄が起こりそうだからその事前調査を守秘叶好に頼まれたことを伝える。
「!?す、守秘、叶好、僕、そんなこと、できな」
「いいえ、貴方なら出来ます」
戦神の言葉をさえぎり、守秘叶好はそう言いながら、戦神の手を優しく握る。
「そ、そんなこと、言うなら、君が、行けばいい、のに」
「構いませんが、私が死んだらこの世界なくなってしまうのですが、よろしいですか?」
「君、が倒され、ること、は」
「守秘叶好が倒されることは」
「「それは絶対にない」」
あまりに守秘叶好がすっとんきょんなことを言うため、蛇慮と戦神は思わずツッこむ。
「おや?何故ですか」
「……まぁいいよ、自覚ないなら。んで?今回のその相手って誰なの?」
「舞台は……冥界でございます」
「め、冥界って……ま、さか」
「心蝶魂・ラストプレス……!?でも、なんであの派閥が」
「分かりません……が」
そう言いながら、守秘叶好は真剣な眼差しで二人を見つめる。
「どんな手段を使ってでも、私を殺す気のようです」
「!?」
「そ、そんな……どうして」
「分かりません。ですが、私が直接行って解決できるとは、私到底思えず……それで、貴方達に頼みたいと思ったのです」
そう言うと、静かに目を伏せる。
「兄ちゃん、もうやるしかないっしょ」
「そう、だね……僕らの、母を、殺されちゃ、たまった、もんじゃ、ない」
「ふふ、貴方達ならそう言ってくださると思っておりました……愛しの我が子達」
そう言うと、守秘叶好は優しく二人を抱きしめる。
「や、やめて、よ、恥ずかし、い」
「えへへ、守秘叶好にそう言って貰えて僕も嬉しい~」
そう照れて言う二人の我が子の頭を優しく撫でる。
「……それでは、よろしくお願い致しますね」
守秘叶好は二人の頭から手を離し優しく背中を押す。
「うん!!行ってくるね……守秘叶好は絶対外出ちゃダメだよ?心配だからね」
「ふふ、分かりました」
「ぜ、絶対、だよ」
「かしこまりました、そんな心配しなくとも、私は貴方達が帰ってくるまで外には出ませんよ」
「ならよし!……それじゃあ行ってきます!」
「い、行って、きます」
「行ってらっしゃいませ……愛しの主人公達」
蛇慮と戦神は神社の裏にある滝から冥界へ近い村、『刻永村』へ向かう為に飛び降り、そのまま下っていく。
守秘叶好は二人の主人公の背を見えなくなるまで見送るのだった。
神子は神社から外へゆっくりと出てくる。もう時刻は昼時だ。
とても暖かい春の陽気で、神子は思わずあくびが出るほど眠くなる。
ここは蛇護幻派閥。美しい神秘的な派閥で神社の裏に全ての派閥と通じている滝があることで有名だ。
そしてこの蛇護幻神社の神子をしているのがこの見た目は女性の神霊、慈影 蛇慮。
上半身は女性、下半身は男性というちょっと変わった姿をした神霊と影族である。
神力は『六色の札を扱う能力』。二つ名は『六色の才札を持つ神子』。とにかく呑気で面倒臭がり。
だが、世界に何かあるとどんなことがあろうと、ひとっ飛びで駆けつけて解決する、不思議な性格の神子だ。派閥は蛇護幻に所属している。
「ま、平和で何よりだよね」
そう言いながら神子は箒を持ちくるくると回しながら空を見上げる。
「眩しっ……ま、いっちょ掃除、片付けますか!その後お昼寝しよっと」
神子は楽しそうにそう言うと、鼻歌を歌いながら掃除を始めた。
「おや、蛇慮今日は随分張りきっておられますね」
「あ、守秘ちゃんおはよう……て言ってももう昼時なんだけどね」
この神秘的なオーラを放ちながら神社から出てきたこの男の名は、蛇護幻 守秘叶好。
この世界の創造神であり三神の一人。そしてその母性の強さは凄まじく男性だが、よく世界の母と呼ばれ、男女関わらず魅了する。
神力は『影からありとあらゆるものを生み出す能力』。派閥は蛇慮同様蛇護幻に所属している。二つ名は『永久に忘れ去られし花嫁』である。
「蛇慮、今日、ご予定はありますか?」
その言葉を聞いた途端、蛇慮の動きはピタリと止まる。
「……何も無いけど?まさか事柄?」
「……えぇ、起こりそうなのです。ですから、蛇慮、貴方に事前の調査を任せたいのですが」
そう守秘叶好が言うと、蛇慮は明らかに不機嫌な顔になる。
「せっかく今日はお昼寝しよう思ってたのに~」
「世界を平和に保つものの運命ですよ」
拒否権がないことを告げられ物凄く落ち込んだ様子を見せる蛇慮。
「ですが、一人で行けとは言っておりません」
「え?何で?いつもなら一人ででも行かせるのに」
そう、蛇慮が言うと、守秘叶好は少し顔をしかめる。
「今回の御相手は、かなりの強敵なのです」
「!?え、マジ……?」
「えぇ、ですが」
そう言うと、守秘叶好は蛇慮を抱きしめ頭をゆっくり撫でる。
「貴方ならきっと出来ると思いまして……いずれは母を超える神になって欲しいのです」
(相変わらず胸筋柔らかいしでかい……なんかもう一生このままでいいやぁ)
蛇慮はにやけきった顔で顔をさらに守秘叶好の胸筋に埋める。
守秘叶好はゆっくりと蛇慮の頭を撫でる。
「うん、分かったぁ、僕頑張るねぇ」
「全く、貴方もですけど私も影族であることをお忘れですか?心読めるのですよ?……もう、スケベさんなんですから」
守秘叶好はその後蛇慮を甘やかし続け、結局今は外で影から守秘叶好が作ったベッドで守秘叶好の膝枕を蛇慮が堪能している状態である。
「やっぱママの膝枕一番好き~」
「それは良かったです」
そう言っていると、背後から申し訳なさそうに一人の男がやって来る。
「あ、あの、ごめん、ね?遅れ、ちゃって」
「!」
蛇慮は飛び起きその声の主目掛けて俊敏に飛びつき、力強く抱きしめる。
「兄ちゃん!おかえりぃ」
「!じ、蛇慮、ただ、いま」
いきなり飛びつかれて驚いたものの、しっかり蛇慮を受け止め、抱きしめ返す。
蛇慮に兄と呼ばれた男性の名は、戦神。
三神の一人であり、かつては神界を支配したことがあるほど力のある神。だが、今は話すのが苦手なオドオドしている気弱な神である。
神力は『言霊で全てを支配する能力』だが、元の性格はとても優しいが故に自分の能力をかなり恨んでいる。
そして彼は耳が良すぎるが故に、ずっとイヤホンや耳栓などしていないと人の数百倍よく聞こえてしまう。
だが、今はとある人から貰ったブルートゥース式のイヤホンのおかげで声を出しても人を操ったりしなくて済むようになり話せるようになった。
耳もそのイヤホンのおかげで人並みの聴力になった為、かなり過ごしやすくなった。二つ名は『語り継がれし伝説の戦神』。派閥は無所属だが、大体蛇護幻にいる。
「てか、何で兄ちゃんが来たの?珍しいじゃん」
「す、守秘叶、好に、呼ばれ、て……」
「えぇ、私が呼びました」
守秘叶好は影から作ったベッドを消し、二人の前へ歩み寄る。
「蛇慮、戦神様、二人で行ってきてくださいませ」
「え、兄ちゃんと!?」
「え?どういう、こと?」
「あ、何も知らないのね、兄ちゃんは」
「う、うん、何も、知らない……」
本当に何も知らない様子の戦神に、蛇慮は呆れた様子で守秘叶好を見る。
「そんくらい軽くでいいから教えてあげなよ」
「おや、それは申し訳ございませんでした……」
「まぁいいよ、僕が教えてあげる実はね兄ちゃん……」
蛇慮は、何も知らない戦神に今回かなり厄介な事柄が起こりそうだからその事前調査を守秘叶好に頼まれたことを伝える。
「!?す、守秘、叶好、僕、そんなこと、できな」
「いいえ、貴方なら出来ます」
戦神の言葉をさえぎり、守秘叶好はそう言いながら、戦神の手を優しく握る。
「そ、そんなこと、言うなら、君が、行けばいい、のに」
「構いませんが、私が死んだらこの世界なくなってしまうのですが、よろしいですか?」
「君、が倒され、ること、は」
「守秘叶好が倒されることは」
「「それは絶対にない」」
あまりに守秘叶好がすっとんきょんなことを言うため、蛇慮と戦神は思わずツッこむ。
「おや?何故ですか」
「……まぁいいよ、自覚ないなら。んで?今回のその相手って誰なの?」
「舞台は……冥界でございます」
「め、冥界って……ま、さか」
「心蝶魂・ラストプレス……!?でも、なんであの派閥が」
「分かりません……が」
そう言いながら、守秘叶好は真剣な眼差しで二人を見つめる。
「どんな手段を使ってでも、私を殺す気のようです」
「!?」
「そ、そんな……どうして」
「分かりません。ですが、私が直接行って解決できるとは、私到底思えず……それで、貴方達に頼みたいと思ったのです」
そう言うと、静かに目を伏せる。
「兄ちゃん、もうやるしかないっしょ」
「そう、だね……僕らの、母を、殺されちゃ、たまった、もんじゃ、ない」
「ふふ、貴方達ならそう言ってくださると思っておりました……愛しの我が子達」
そう言うと、守秘叶好は優しく二人を抱きしめる。
「や、やめて、よ、恥ずかし、い」
「えへへ、守秘叶好にそう言って貰えて僕も嬉しい~」
そう照れて言う二人の我が子の頭を優しく撫でる。
「……それでは、よろしくお願い致しますね」
守秘叶好は二人の頭から手を離し優しく背中を押す。
「うん!!行ってくるね……守秘叶好は絶対外出ちゃダメだよ?心配だからね」
「ふふ、分かりました」
「ぜ、絶対、だよ」
「かしこまりました、そんな心配しなくとも、私は貴方達が帰ってくるまで外には出ませんよ」
「ならよし!……それじゃあ行ってきます!」
「い、行って、きます」
「行ってらっしゃいませ……愛しの主人公達」
蛇慮と戦神は神社の裏にある滝から冥界へ近い村、『刻永村』へ向かう為に飛び降り、そのまま下っていく。
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