浮気されたので。我慢する事をやめました。

弌壱弐撥

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この度、俗に言う〝異世界転生〟せず幽霊になりました。4

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❇︎✴︎❇︎✴︎❇︎ 久々の出会い ✴︎❇︎✴︎❇︎✴︎


「ん…んん…」

目を覚ますと、真っ青な青い空…えっ?外?
通信で大学を卒業した私の最近の楽しみは〝悪役令嬢に〟とか〝天下無敵の〟とか…所謂、転生モノのマンガや小説、アニメにハマり始めていた(世間ではオタク入門?)

「流石に現実は二次元てことには行かないかぁって私は今どこにいるの?」

辺りを見回すと懐かしい風景。

「ここって…」

「あれ?もしかして真波ちゃん?」

声がする方へ振り向く。私は嬉しさのあまりに涙する。

「大治郎さん…てあれ?私は確か会社の階段から落ちたんだけど、何でここにいる?」

その場所は私が3年間通い、大治郎さんと過ごした高校の近く。

「て事は私は死んだの?えっ?でも大治郎さんには私が見えてる…………え?」

「そんな事、どうでもいいじゃ無いか。すっかり大人っぽくなって。元から美人さんだったけど、綺麗になって男なんて引く手数多じゃ無いのかい?」

「はははは(苦笑)残念ながら出会いは無いですよ」

「見る目がない男が多いって訳だ…勿体無い…いや恐らく、態と出逢わないんじゃ無いのかな?」

「大治郎さん、遠方の家族さんと暮らしていたんじゃ無いんですか?」

「あぁ。やっぱり退屈でな。帰ってきたんだ。こっちにも、息子達や曾孫も居て」

「曾孫?お可愛いんでしょうね。曾孫さん」

「可愛い何て遠の昔の話さ。すでに成人して図体ばかりデカくて 嫁さん貰ってもおかしく無い歳だよ」

「ええ?そんなに曾孫さん大きいんですか?」

「俺も、息子も、孫も早くに結婚したから」

「そうなんですね……」

他愛ない話に互いに会えなかった時間を埋める。日はどっぷりと暮れた。

「真波ちゃん。また会おう」

大治郎さんは笑顔で幽霊になった私に手を振り家路に帰る。

1人になった私は、実家に行き、自分の事で家族の様子を見る気もなく、幽霊になったんだから空を飛べる?などと家族の事に対し目を逸らす。

「漫画にも出ていた…空を飛ぶ事をイメージしたら飛べるかも?それとも、ヒーローみたいに地面を蹴ったら高く飛べるかな?」

なんて一人で構想しながら私な軽く目を閉じ近くにある銀杏の木に乗るイメージする。

「おぉ♪」

ふわりと空を舞う自分に驚く。

「もしかしたら、スーパーマンみたいに早く飛べる?」

だけど、そんなに都合良く幽霊の体は便利にはできていなかった。

幽霊になって最近の、お気に入りは、近くの公園の湖で寝そべる事。

月が無い日は夜の闇と湖が一体化して、それがとても綺麗で、このまま溶けて無くならないかなと考える。

「また会ったな。真波ちゃん」あれから何日経ったか分からないけど、大治郎さんが声を掛けてきた。

「大治郎さん」

「どうしたんだい?浮かない顔して」

「うーん。私ってですよ、もしかしたら地縛霊になってしまうのかなって」

「おかしな事を言うんだね。君は、まだ死んでないと思うよ。あの、丘の上の病院に行くといい」

「丘の上の病院…」

何故か大治郎さんに手を引かれ幽霊なのにバスに一緒に乗り、病院に着く。

「ここだよ」

そう大治郎さんに病室を案内された。

ーーーーーーーー 

「先生、峠を過ぎて2週間以上経ちますけど、娘…真波は、何時いつ目を覚ましますか?」

疲れ切った顔の両親が先生に尋ねているが、その側には白水主任と直属の上司。

「まだ、あの子は25歳なんです。私達の為に自分を犠牲にして頑張ってきたんです。何で、こんな目に遭うの?あの子が何かした?」

涙ながらに訴えている両親の姿に胸が苦しくなる。

「お父さん、お母さん…」

私の方にポンと大治郎さんが触れ「今日は、ここで過ごしなさい」と言われる。

「大治郎さん?」

すでに彼の姿はいなかった。

そっと自分が入院している病室に入ると、いかにも頭を怪我したと分かるようにネットが被さられ、あちこち包帯巻きされて、たくさん点滴を打たれている。

自身の体に触れた途端に全身に痛みが走る。

「痛っ‼︎」

あまりの痛さに驚くと1人の男性が入って来た…

「嵯峨嶋課長?」

彼は私の手を両手で包み愛おしそうに祈るように額に当てる。

待てるこっちが恥ずかしく顔が熱くなる。

「田所さん、聞こえる?君が転落してから、内部調査を始めて、まだまだ出てくるかと思うけど、君の立案したプロジェクト以外でも、岩岡さんの〝お願い〟で白水主任が画策していたことが発覚したんだ。その他にも彼女以外からも出てきて…会社の膿を出す事できたよ。感謝する …岩岡さんの件だけど、事故と過失どちらにするかは君が目覚めてからにするよ」

会社が大きいと何かとあるんだなぁと彼が話している事に耳を傾ける。

課長に就任してからの愚痴や私が教育係として一緒に過ごした話をしたりして、私は「そうそう、そんな事もあったね」と共感して懐かしむと面会時間が、あっと言う間に終わる時間に差し掛かる。

彼は帰る前に普段より甘く低い声で呟く。

「なぁ。真波って呼んでいい?」

手を片手に握り返し私の髪を優しく梳く。

「本当はさぁ…俺、入社前から真波の事知っててさ、教育係として現れた君を見て一目惚れと確信したんだよね…目が覚めたら、改めて告白するから、いい返事くれよ」

そう言って額に唇を当て彼は退室した。

触れた感覚は無いが私は自分の額を抑え、へなへなと座り込んだ。

「えっ?ええ〰︎〰︎〰︎うそぉ。嵯峨嶋課長がぁ?私を?嘘でしょ?」

今まで肩肘張って生きてきた私は彼の告白を聞き(盗み聞き)今まで感じた事ない感情に支配されゲシュタルト崩壊してしまう。

戻るにしても、あの激痛を味わうのはイヤだし…告白された事を思い返し、顔が熱くなったりを繰り返し繰り返し考えているうちに1日が終わる。


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