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人は、こうして浮気するのかしら?まぁ先に裏切ったのは貴方ですが…2

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夫の浮気現場を目撃した日、私は何事もなかったかの様に過ごした。

あれから数日経ち、道芝さんが職場に訪ねてきた。

「須本さん、こんにちは」

「道芝さん、先日はどうも…」

「須本さん、都合の良い日ありますか?出来れば先日いらした、お友達ご夫婦も一緒だと嬉しいですが」

「すみません、気を遣わせてしまいまして…連絡してみますね」

そう言って道芝さんと連絡交換した。

「須本さん、もし宜しければ、少しお時間戴けませんか?」

「少しなら離れても大丈夫ですが…」

エレベーターまで送りがてら話し込む。

「何で貴女が、我慢する必要があるのか、私は考えてしまいました」

エレベーターの扉が開き送り出そうとしたら手を引かれる。

「私は貴女が心配です。貴女を守りたいと思ってしまう自分が居るんです」

熱を帯びた目で見つめられ胸が騒つく…
彼はハッとして握った手を離す。

「すみません。感情的になってしまって」

「いいえ…」

夫以外に手を握られた事がない私は顔が熱くなる。

「私が、こんな事したら、ご主人と変わらないですね…すみません…では連絡を待ってます」

そう告げると道芝さんは出て行く。

私は今日の出来事をふと考える…
弱っている所に、1番欲しい言葉や態度を与えられると人は移ろいやすくなるんだなと。

もし、あの時、彼の気持ちを直ぐに受け取ってしまったら浮気している夫と何ら変わりない事を私はしていたと思う。

次の日曜日に私は友人夫婦と道芝さん、そして…

私はもう1人の男性を連れて来た。

「初めまして、真由美の夫で朝陽あさひの父親の高木です。義姉あねから事情は聞きました」

「ごめんなさい。私、どうしても、真由美さんの事が許せなくて…あんな小さな子供を夜中1人にさせるなんて」

「今日、あっちゃんは?」

「あぁ、ウチの両親が動物園に連れて行ってくれてるんですよ。自分は〝仕事が入った〟と言ってでて来ました」

私達は先日、夫の浮気現場を目撃した店で待ち合わせる。

「まさか、真由美が自分の夜勤の時に子供を置いて遊びに行くなんて…」

高木さんはショックを隠せないでいた。
シーンとした空気の中、道芝さんが口を開く。

「…実は私、婚約者に浮気され別れたんですよ」

道芝さんの衝撃の告白に一斉に視線を向かわせる。

「始めはマリッジブルーからのものと思っていたんですが…私と結婚間近に控えながら会社の上司と不倫していたんです」

「でも、どうやって証拠を掴んだんですか?」

「興信所を使って証拠写真と映像を結婚式の映像決めに婚約者と互いの両親に見せました(爆笑)」

意外と大胆な事をした道芝さんに私達はびっくりした。

「もう、何年も前の話です。もちろん、結婚は白紙、向こうの両親から謝られましたが」

「その元?婚約者さんは?」

「さぁ?風の噂では、あの後、会社にもバレたみたいですが先のことは分かりません」

「大変な苦労されたんですね…」

「何言ってるんですか?須本さんの方が、ずっと辛い立場じゃないですか?」

今まで1人で立ち向かっていた問題が今は協力者がいて心強く感じている。

友人夫婦が他の友人を伝い夫の浮気相手が特定される。

どうやら取引先の受付けの娘の事。

「須本さん、高木さん、スマホ以外にタブレットとかPCをプライベートで持ってますか?」

「私は持ってます」

「自分はスマホだけです」

「そうですか…興信所に頼むにしても、少し纏まった金額を要します。なので…」

道芝さんの話だと、遠隔操作機能を使用して相手の行動が画像だけでなく映像も見られるとか…

私は夫のスマホとノートPCを私のスマホやタブレットに設定する事にした。

高木さんは真由美さんのスマホを….

夫はノートPCを持ち運び仕事をするがウィンドウを開けっぱなしが多い。

何度か注意したが直す気がない。

私は道芝さんが教えてくれた様に夫が、お風呂に入っている隙に遠隔操作の設定を行った。

パスワードがかかっていたが、すんなり解除する…

夫の詰めの甘さに感謝なのか呆れた方が良いのか微妙な気持ちになる。

「単純な人…」

高木さんも真由美さんが寝ている隙を狙い、真由美さんのスマホを遠隔操作設定とGPSで居場所の特定の設定をしたと聞いた。

ーーーーーーーー

「行ってくる」

私の最終決戦は夫の出張日…

週末のデートやホテルの睦言の証拠は数々と揃っている。

この3日間の出張は確かにあるみたいだが、不倫相手も休みを取りチケット予約している事も確認済み。

私の肌には何年も触れてないくせに、飢えた獣みたいに貪り合いながら私を罵り、快楽に堕ちていく2人の姿をはらわたが煮え繰り返す思いに耐える。

高木さんはと言うと、真由美さんのスマホに設定したGPSとSNSの転送機能を使い調べてるらしい。

高木さんには、あっちゃんがいるから心配になる。

「離婚になっても朝陽の親権は渡しませんし、夜中1人、子供に留守番させる女に朝陽を会わせません」

幸い、私の友人夫婦が協力しているので着々と証拠は揃っているとの事。

ーーー三日後ーーー

「おい。帰ったぞ」

浮気して偉そうに…と思う気持ちを飲みこむ。

「出張、お疲れ様。お風呂沸いてるわよ」

「わかった」

夫とすれ違う時に、ふわりとフローラル系の甘い香りが鼻腔をくすぐる。

「あら、いい香りが一瞬したけど気のせいかしら?」

「知らん」

そう言って浴室まで早歩きで向かっていった。

「馬鹿な人」

私は夫が、お風呂に入っている隙に遠隔操作で入手した不倫旅行の一部始終をバックアップと夫が使うUSBと同じ物に保存して、仕事用の分を入れ替える。

浮気相手の女性の会社に内容証明を送る準備を済ませる。

「落ち着くのよ私…」

逸る胸を落ち着かせる様に深く深呼吸をした。

週末、出掛けようとすると、姑がまた、あっちゃんの子守りを頼みに来る。

「ねぇ貴女。明日また、あっちゃんをお願いして良いかしら?」

「何度も言いますが…」

「良いじゃない。貴方達に子供はいないんだから毎日、夫婦水いらずなんだし…真由美も高木さんと2人で、たまには過ごしたいんだって…ね?」

相変わらず自分勝手な姑に呆れながら、引き受ける。

「あっちゃん、こんにちは」

「とんにちわぁ」

ニコニコ顔のあっちゃんに、夫に対して、ささくれた心は癒される。

あっちゃんを連れ友人夫婦達に会いに行くと、高木さんがいた。

「あっ。ぱぱ」

「高木さん、真由美さんと?えっ?」

「朝陽…お義姉さん?すみません…真由美…」

苦虫を噛む表情。
とうとう、真由美さんは夜だけの逢瀬では飽き足らず、互いの両親を出し抜くまでして…

(まぁウチは子守りを私に押し付けてるけど)

「高木さん、良いのよ。私も、あっちゃんとのいた方が良かったから」 

「ぱぱぁ」
 
小さな手をいっぱいに広げ、高木さんに、甥っ子は抱きつく。

高木さんは、あっちゃんに、わかりやすい様に話しかける。

「朝陽、パパと、ここにいる、みゆきさんの、お友達と大事な話があるから、朝陽は、たっくん家ににお泊まりするけど良い?」

たっくんとは、高木さんの、お姉さんのお子さん。

不安そうな顔をして小さな頭をコクンと頷く。
こんな小さな子供を大人の都合で振り回し胸が痛む。

「朝陽、もしかしたら、もうママに会えなくなるかもしれないけどいい?」

「ママにあえなくなゆの?…あっちゃん、よゆ、ひといでねんねちない?」

「朝陽…パパが忙しい日は、隣のじい、ばあの家に行くから1人で寝なくて大丈夫だよ」

「パパと、じいたん、ばあたんがいるから、ママがいなつてもだいどうぶだよ」

「朝陽…」

高木さんはあっちゃんをぎゅっと抱きしめた後、お姉さん夫婦に迎えを頼むと、10分後にやって来て、あっちゃんを連れ行く。

何となく事情を察した、高木さんのお姉さんは、彼の肩を軽く叩き笑顔で別れた。

「お待たせしてしました。行きましょう」

そう言って、真由美さんのスマホに設定したGPSを頼りに、私達は探しに行った。
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