上 下
11 / 33

何事も「ごめん」で済む訳ではない。【閑話】それぞれの転生者の視点2

しおりを挟む
❇︎ ボンバー ❇︎

キラキラと眩く歓声止まぬステージに私は1人たった。

「♬みんなぁ楽しんでる?
☆ショーパブ〝Balon〟のムードメーカー
ボンバーちゃんよ‼︎よろしくねっ☆
それではBalonアイドルユニット〝チェリーガール〟の歌とダンスを楽しんでね♬
あと、お知らせですが暫く、私お休みしちゃいます。ボンバーちゃんの事忘れないでね〰︎」

「「ボンバーちゃん帰ってきてよ!」」

「みんなぁありがトーマスっ♬」

お客様たちと賑やかに楽しい時間を過ごした。

ーーーーーーー

「今週ぅも、ありがとぅ」

「「「「「お疲れちゃーん」」」」」

ここは、ニューハーフ ショーパブ〝Balonバロン〟お客様たちを夢の国から現実世界へお送りした後、仲の良い同僚達と〝お疲れちゃん会〟をする。

「ねぇねぇボンちゃん、マジで両方の除去手術するの?止めときなって‼︎」

「〝こんなんじゃなかった〟って思って自ら生命を絶った子を見て来たから心配なの!ねっ?考え直してよぉ。ボンちゃん」

「ホルモン剤だけでも、ほら、あたし、おっぱい出てきたし安全が一番よ」

性同一性障害の診断が降り、戸籍上〝女性〟を私は獲得した。

意外と大変のよぉ。
裁判所行ったり様々な手続きするから。

だけど、どうしても私はを心だけで無く身体もしたかった。

「心配し過ぎよぉ…でも、ありがと♡」

初めて、自分に〝性の違和感〟を感じたのは10歳の時…

レンジャーやライダーより魔法少女や恋に悩む女子のテレビが好きだったし。

〝カッコいい〟より〝かわいい〟が大好きだった。

それが事と気付いていながら態と自分自身に嘘をついて知らないフリをしていた。

思春期に入り気持ちは苛立ちに変わり、気付いたら非行に走り暴走族の総長まで、のし上がってしまった。

を隠すかの様に女の子達を食い散らかした時期もあったわ…

いくら、お互い割り切った関係だったにしても、今振り返るとアゼイルクズより酷かったかもね…

そんな自分と訣別したくて、大学を中退して、ありったけのお金を持って上京して私は〝Balonこの店〟のママに拾われた。

「ボンちゃんがウチに来て7年過ぎるのねー早いわぁ…で名前は何に変えたの?」
 
「名前はそのままにしました。規矩きくだけ変えようかと思ったんですけど、初めて親から頂いた名前プレゼントだから」

「そうなのねー」

「さっ明日は休みだから、みんな呑み明かすわよ」

これが私のBalonで過ごした最後の思い出…

私はタイヘ飛び、手術を受けた。

〝本当の性を取り戻す〟その一心に痛みも耐えたが、なかなか熱が下がらない、いつの間にか意識を手放したら、見た事ない顔ぶれのパーティーで、いきなり知らない男が女を片手に抱き寄せ婚約破棄を言い放っていたのだ…

も〰︎ここ、どこよぉ!
ーーーーーーーー

⌘  メイナ視点 ⌘

「この、泥棒猫‼︎」

白昼の最中、私は盛大に涙で泣き腫らした女に平手打ちを喰らった。

「ハッ!取られる、あんたが悪いんじゃ無いの?カレ、言ってたわよ、つまんない女だって…ハハハ」

「……ねぇ…しゅうくん、それ本当?」

バツが悪そうな顔をして彼女の男しゅうくんは頷く。

更に女は泣き出し別れを告げ去って行った。

「これで俺達、堂々と付き合えるよな?」

「はぁ?何で私が、あんたと付き合わなきゃいけないの?私は、あんたのオンナにバレたら終ー了ってわけ。じゃあバイバーイしゅうくん♪」

ーーーーーーー

「っクソ‼︎マジほっぺ痛い」

「自業自得でしょ(笑)あんたさぁ、その悪癖、直しなよ‼︎マジ、仕舞いには刺されるよ」

「っさいなぁ、どうしても、やめられないし、他人のものを奪った瞬間の、あのゾクゾクする高揚感が堪らないの♡」

自慢じゃ無いけど、私にと自負している。

見た目も多少自信はあるが、相手を惹きつけるか、本能的にわかる。

「歪んでるねー。どうなっても知らないよ」

「ご忠告どうも」

呆れ顔で友人は去って行った。

「あーあっ。なんか面白い事ないかな?この間はマジ面白かった。「この人チカンでーす」って言ったらみんな信じて、すぐに捕まって(笑)相手から示談金貰えて超ラッキーだった♪」

「やっぱり、アレはウソだったのね…」

地下鉄に向かう階段を降りようとしたら、声が聞こえた。

「貴女の悪ふざけで、あの人は命を絶ったのよ」

背中を押された感覚があったと思ったら私は階段から真っ逆さまに落ちて行った。

最期に目にしたのは大きなお腹を抱えた女性の姿だった。

ーーーーーーーー

「メイナ、貴女は可愛いから求婚の相手には困らないわね」

はぁ?メイナっ誰よ。
意味がわかんないんだけど…

見慣れない部屋に普段なら絶対着ない服装。

鏡を見たら〝小聡明いあざとい〟と言葉が似合う10歳くらいの少女の姿。

ヤッバ。
私。転生したんだ…。

私は、あの階段の転落で18歳の人生に幕をじた事を知った。

友達が言う様に後ろからしなかったが

だっさ。
自分の最期のダサさに呆れた。

「メイナ パンジーって聞いたことある名前ね、何だったっけ?」

暫く考えても、思い出せず、私は考えを放置した…理由は面倒だから。 

数年が経ち、学園生活を送り、見た目が好みで婚約者持ちの男が居れば、片っ端から弄び、傷ついた彼女達の顔を見て、快感を味わった。

結局、前世の友人にと言われた悪癖は生まれ変わっても、治らなかった。

だって落ちた男と、それを見す見す見逃したが悪いんじゃん、そんなに大事なら首に縄でも付けろっつーの。

そんな私に注意する、お節介な女が現れる。
ルリエラ ザイゼル公爵令嬢。
私とは対照的に目を引く美貌に見事なプロポーションに控えめな性格。

私は顔は可愛い部類で小聡明さをふんだんに活かし、マナーなんて面倒だから自由奔放。
スタイルはルリエラに比べたら、つるぺたスレンダー

至極真っ当に言う、この、お節介女ルリエラに腹いせしたくて、私は彼女の婚約者の王太子に近付いた。
ドジっ子を演じて、耳当たり良い言葉を適当に並べると、簡単に落ち、私に入れ上げる…ってか、チョロい。チョロすぎて逆に、こんなのが国の王になるって先がヤバいだろ(笑)

そして、王太子この男が婚約者に、婚約破棄宣言して、自分が転生したか思い知るのだった。

ーーーーーーーー

「今、此処で私、レクシェル王国、王太子アゼイル フェン レクシェルはザイゼル筆頭公爵令嬢、ルリエラ ザイゼルと婚約破棄を宣言する‼︎そして、メイナ パンジー子爵令嬢と婚約する」

んん?何か聞いたことあるぞ、このセリフ…

ーーーーーーーー

「もう、随分昔の漫画ですが〝子爵令嬢の私が王太子妃になるまで〟に出てくる悪役令嬢のルリエラ ザイゼルは本当に〝悪役〟だったのかな?って疑問に思っちゃうんですよね〝ノーブレス•オブリージュ〟?って言うんですか?彼女は自分の役目を全うしただけなんじゃないかなって…」

懐かしのアニメやコミックを題材にした番組で人気タレントの一言で騒ついた作品。

〝子爵令嬢の私が王太子妃になるまで〟今でこそ異世界転生だ悪役令嬢って手を替え品を替えと沢山あるが、この漫画は先駆けに近い物だったらしい。

子供の頃に、この漫画を見て育った大人達が集結してクラウドファンディングを募り、数量限定で、ゲームを販売する。

クラウドファンディングに投資者限定でアナザーストーリーチケットやラノベ2冊と非売特典があった。

私は、この作品を知っている。
プレイはした事ないが友人が親子でハマっていたらしく、ラノベを借りて読んだ。

対して突き刺さるものはなかったが2がメイナのハピエンとバッドエンが書かれていた。

ハピエンはまぁ所謂でメイナファンが満足するものだった。

問題はバッドエンの方…
国外追放されたルリエラは国を出る途中で盗賊に襲われて死亡されたと流れるが10年以上、王妃教育を受け、全てを知り尽くしている彼女ルリエラは消される…
それを知ったザイゼル公爵家は有りと有らゆる権力を使い、反旗を翻し王家を潰すのだ。

もちろん泣いて詫びるアゼイル、メイナは公開処刑。

メイナに至っては皆の前で陵辱されるのだ…

其れだけは絶対に避けたい私は、婚約破棄宣言後、暫くしてルリエラに許しを乞う様に唆す。

王太子妃なんてイヤ‼︎
楽して遊びたいし…

「イルくぅん。私は側室でも構いません。貴方の、傍に居るだけで幸せですから….イル君が王太子になる為にはルリエラさんが必要なんですよ」

「あぁ愛しいメイナ…君はなんて控えめなんだ…君が言うなら、仕方ないからルリエラあの女に謝ってやるよ」

私に口付けして母親側室の部屋にスキップしてアゼイル頭が軽い王太子は部屋を出たのだ。

アゼイルがチョロいヤツでよかったとマジで思う。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

【完結】さようなら、王子様。どうか私のことは忘れて下さい

ハナミズキ
恋愛
悪女と呼ばれ、愛する人の手によって投獄された私。 理由は、嫉妬のあまり彼の大切な女性を殺そうとしたから。 彼は私の婚約者だけど、私のことを嫌っている。そして別の人を愛している。 彼女が許せなかった。 でも今は自分のことが一番許せない。 自分の愚かな行いのせいで、彼の人生を狂わせてしまった。両親や兄の人生も狂わせてしまった。   皆が私のせいで不幸になった。 そして私は失意の中、地下牢で命を落とした。 ──はずだったのに。 気づいたら投獄の二ヶ月前に時が戻っていた。どうして──? わからないことだらけだけど、自分のやるべきことだけはわかる。 不幸の元凶である私が、皆の前から消えること。 貴方への愛がある限り、 私はまた同じ過ちを繰り返す。 だから私は、貴方との別れを選んだ。 もう邪魔しないから。 今世は幸せになって。 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 元サヤのお話です。ゆるふわ設定です。 合わない方は静かにご退場願います。 R18版(本編はほぼ同じでR18シーン追加版)はムーンライトに時間差で掲載予定ですので、大人の方はそちらもどうぞ。 24話か25話くらいの予定です。

最近様子のおかしい夫と女の密会現場をおさえてやった

家紋武範
恋愛
 最近夫の行動が怪しく見える。ひょっとしたら浮気ではないかと、出掛ける後をつけてみると、そこには女がいた──。

(完結)戦死したはずの愛しい婚約者が妻子を連れて戻って来ました。

青空一夏
恋愛
私は侯爵家の嫡男と婚約していた。でもこれは私が望んだことではなく、彼の方からの猛アタックだった。それでも私は彼と一緒にいるうちに彼を深く愛するようになった。 彼は戦地に赴きそこで戦死の通知が届き・・・・・・ これは死んだはずの婚約者が妻子を連れて戻って来たというお話。記憶喪失もの。ざまぁ、異世界中世ヨーロッパ風、ところどころ現代的表現ありのゆるふわ設定物語です。 おそらく5話程度のショートショートになる予定です。→すみません、短編に変更。5話で終われなさそうです。

(完)「あたしが奥様の代わりにお世継ぎを産んで差し上げますわ!」と言うけれど、そもそも夫は当主ではありませんよ?

青空一夏
恋愛
夫のセオは文官。最近は部署も変わり部下も増えた様子で帰宅時間もどんどん遅くなっていた。 私は夫を気遣う。 「そんなに根を詰めてはお体にさわりますよ」 「まだまだやらなければならないことが山積みなんだよ。新しい部署に移ったら部下が増えたんだ。だから、大忙しなのさ」 夫はとても頑張り屋さんだ。それは私の誇りだった……はずなのだけれど?

(完結)お姉様を選んだことを今更後悔しても遅いです!

青空一夏
恋愛
私はブロッサム・ビアス。ビアス候爵家の次女で、私の婚約者はフロイド・ターナー伯爵令息だった。結婚式を一ヶ月後に控え、私は仕上がってきたドレスをお父様達に見せていた。 すると、お母様達は思いがけない言葉を口にする。 「まぁ、素敵! そのドレスはお腹周りをカバーできて良いわね。コーデリアにぴったりよ」 「まだ、コーデリアのお腹は目立たないが、それなら大丈夫だろう」 なぜ、お姉様の名前がでてくるの? なんと、お姉様は私の婚約者の子供を妊娠していると言い出して、フロイドは私に婚約破棄をつきつけたのだった。 ※タグの追加や変更あるかもしれません。 ※因果応報的ざまぁのはず。 ※作者独自の世界のゆるふわ設定。 ※過去作のリメイク版です。過去作品は非公開にしました。 ※表紙は作者作成AIイラスト。ブロッサムのイメージイラストです。

(完結)親友の未亡人がそれほど大事ですか?

青空一夏
恋愛
「お願いだよ。リーズ。わたしはあなただけを愛すると誓う。これほど君を愛しているのはわたしだけだ」  婚約者がいる私に何度も言い寄ってきたジャンはルース伯爵家の4男だ。 私には家族ぐるみでお付き合いしている婚約者エルガー・バロワ様がいる。彼はバロワ侯爵家の三男だ。私の両親はエルガー様をとても気に入っていた。優秀で冷静沈着、理想的なお婿さんになってくれるはずだった。  けれどエルガー様が女性と抱き合っているところを目撃して以来、私はジャンと仲良くなっていき婚約解消を両親にお願いしたのだった。その後、ジャンと結婚したが彼は・・・・・・ ※この世界では女性は爵位が継げない。跡継ぎ娘と結婚しても婿となっただけでは当主にはなれない。婿養子になって始めて当主の立場と爵位継承権や財産相続権が与えられる。西洋の史実には全く基づいておりません。独自の異世界のお話しです。 ※現代的言葉遣いあり。現代的機器や商品など出てくる可能性あり。

恋人に捨てられた私のそれから

能登原あめ
恋愛
* R15、シリアスです。センシティブな内容を含みますのでタグにご注意下さい。  伯爵令嬢のカトリオーナは、恋人ジョン・ジョーに子どもを授かったことを伝えた。  婚約はしていなかったけど、もうすぐ女学校も卒業。  恋人は年上で貿易会社の社長をしていて、このまま結婚するものだと思っていたから。 「俺の子のはずはない」  恋人はとても冷たい眼差しを向けてくる。 「ジョン・ジョー、信じて。あなたの子なの」  だけどカトリオーナは捨てられた――。 * およそ8話程度 * Canva様で作成した表紙を使用しております。 * コメント欄のネタバレ配慮してませんので、お気をつけください。 * 別名義で投稿したお話の加筆修正版です。

処理中です...