上 下
9 / 33

何事も「ごめん」で済む訳ではない。3

しおりを挟む
「そうよ。私は転生者よ。この世界とは全く違うところからの…そういう殿下も転生者?」

「違うよ。俺じゃなくて母親が転生者」

「えっ?王妃様がぁ?」

何か違う設定のストーリーになってないかしら?

あっ!でも王妃様が〝転生者〟ならこの世界が乙ゲーか小説か正体がわかるわね。

「ねぇ。王妃様に謁見できないかしら?出来れば、で」

「俺の一存じゃ無理だから時間をくれ」

「分かったわよ。良い返事ちょうだいね♡フロイド殿下」

少しは道が拓けたんじゃなぁい?

流石にゲームか小説か全く分からない世界に来ちゃったから、私1人では、どうする事出来ないし….

本来ならアゼイルバカ太子メイナ腹黒ちゃんに関わらない事が1番だけど、私はルリエラちゃんの仇を取りたい。

あんなに良い子で、一生懸命、皆の為に頑張っていた娘を貶し陥れて壊したんだから‼︎

この訳の分からない世界が許しても、この私ボンバーが許さないんだからねっ‼︎

私は片足を椅子に乗せ、力強く握りしめ拳を作る。

「おい!お前、すでに令嬢が執る仕草じゃねーぞ」

「っさいわね!お黙んなさい‼︎」

私は決意を固めた…

ーーーーーーーー

皆さんこんにちは。
ニューハーフ ショーパブ〝Balonバロン〟のムードメーカーポジのボンバーちゃんの事改め、2週間前から、筆頭公爵令嬢ルリエラ ザイゼルにジョブチェンジした、矢車規矩やぐるまきくです。

さて、問題です。
私はどこにいるでしょうか?

        正
        解
        は

「ルリエラ嬢、アゼイルがバカなことを言って、ごめんなさいねー。一時的な気の迷いよアゼイルにはルリエラ嬢が必要なんだから♪ほほほほほ~」
          
はい。
バカ太子の母親カリエス側室の部屋でしたぁ。

もぅなぁに?この女…ピーチクパーチク煩い…笑い声も本っ当耳障りっ‼︎

「アゼイルが、どうしても!って言ったらメイナ嬢を〝側室〟にしなさいって言ったから‼︎だからアゼイルの言葉を真に受けないで!」

この人、何言ってるのかしら?
自分自身も〝側室〟なのに、〝王太子の母〟イコール王妃にでもなったつもりの口調…不愉快だわぁ。

まぁ〝真実の愛〟とやらに酔いしれ婚約破棄宣言下らない茶番劇する息子より立場を理解しているから、私に取り入るのに必死なわけよね。

〝国王の子供を産んだ〟以外、カリエス彼女の、立場は使用人と何ら変わらないし。

国王はフロイド殿下の母親であるミシャル王妃陛下を心から愛している。

現に、ミシャル王妃との間には5人の子供がいるが、カリエス側室にはアゼイルバカ1人…

と揶揄されるカリエスとしては、〝ルリエラの選択舞い降りたチャンス〟を逃すわけにはいかない…だから私に必死に取り繕っているわけね。

可哀想と思うけどだけで同情は無いわ。

カリエス側室は文官を務める伯爵家の娘として育てられ、我が儘放題に育つ。

当時、王太子だった現国王のを欲しがり婚約者候補を獲得したが、当時、国王は現王妃陛下の出身国、インディシア外交で滞在していた。
そこで出逢ったのがインディシア王女、ミシャル様…国王は彼女を一目見て息する事を忘れるくらいに心を奪われる…要は一目惚れね。

国王は滞在期間中、ミシャル様に何度も何度も告白するけど袖にされる…

異国の方を嫁に迎えるなんて国交の理由でのが殆どだしぃ〝お妃様〟の席であっても〝側室〟と変わらないからね。

しかし諦めきれない国王の出した答えは自国の婚約者候補を全て解消してミシャル様を〝王太子妃〟として迎える事が出来ないなら〝国を捨てる〟と言う大胆な事を言い出したの。

心底、惚れてるのねぇ…羨ましいわっ。
女って〝〟だからね♡

しかし〝貴族〟とは厄介な生き物なのね…
自国の令嬢を妃に迎えるのが慣習って考える凝り固まった頑固ちゃん達ばかりがいるから…

言い方を悪く言えば
〝異国から王太子妃迎える代わりに純国産の王子を産んでね〟

とばかりにカリエスを差し向けたの。

あ〰︎貴族ってこわいっ。

カリエス様自身は〝王太子妃〟の座じゃないから不満はあるけど、国王も愛する女を守る為に〝国王の義務〟としてカリエス様を側室として迎えアゼイルが生まれたわけ…

ルリエラちゃんが、お茶会でアゼイルを見染めたから何としても〝側室〟から脱却したいわけよね。

だけど、この人、全く公務に携わらず、好き放題しているからアゼイルバカ王太子として国の顔になっても、面汚しにしかならないと私は思うけど?

私からしたら、国王陛下と王妃陛下が可哀想だわ。

「……エラ嬢…ルリエラ嬢、私の気持ち、お分かり頂ける?」

あらヤダ‼︎カリエス側室この人の声が耳障りだったから色々、考えたら話の殆ど聞いてなかったわ。

「返事し兼ねます」

あっぶなぁい。勝手に返事したら、ルリエラちゃんが味わった事を、今度は私がする所だったわ(汗)

私は身体に残るルリエラちゃんの記憶とフロイド殿下から話し方を教わり自己研鑽したおかげで今の所、誰にも疑われていない。

やっぱり勉強は大事だわ…そう思った矢先に勢い良く扉が開き、挨拶も無しにアゼイルバカが入って来た。

「アゼイル、いくら親子でも先触れ無しに来るなんて失礼じゃなくて?」

「ルリエラが来ていると聞いて、居ても立っても居られなく、お許しを…母上…」

うわぁ…2人して演技かかってるぅ。

「ルリエラ…先日のパーティーでは悪かった…どうか、どうか愚かな私を許してくれないか」

眉をハの字に下げ許しを請う様な瞳で私の髪を1掬い取り口付けした…

い''ゃあ"~~~‼︎
ん"あ''あ''あ''
気持ちの悪いものを見たように、ゾクゾクと鳥肌が立つ…

さらにアゼイルバカは私の手を取り満面の笑みで取った私の手を自分の頬に当て微笑みかけた。

私はアゼイルバカいやクズだわ‼︎
脳内で、このクズをタコ殴りする所を想像して冷静を装う。

「アゼイル様、皆様が見ています、おやめください…」

密林の奥地で原住民から芋虫を貰って初めて口にする様な気持ち悪さっ。
コレ分かるぅ?

顔が良かろうと気持ち悪いって事‼︎

顔面蒼白になり倒れそうになった。

「あ…アゼイル様っ申し訳ございません。急に具合が悪くなりましたので帰らせていただきます」

「ルリエラ?」

「カリエス様、先程のお話は、聞かなかった事にします」

私はハンカチを口で抑え馬車に乗り込み家路に着いた。

あ"〰︎〰︎堪んないわっ‼︎
しょっ消毒しなくちゃ‼︎
私は侍女に着ていたドレスを捨てさせ湯浴みを依頼する。

何回も何回もクズが触った所を念入りに洗った。

物には罪はないけど、外的要因は排除しないとダメダメ☆

もうルリエラちゃん、で絆されたの?

しかしアゼイルクズの態度を見る限り、カリエス様の他にメイナ腹黒ちゃんのアドバイスを真に受けて慌てて来たんだろう。

「やっぱり、金太郎飴みたいにクズは、どこを切ってもクズなわけね」

早くミシャル王妃陛下に会いたいと私は願った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

【完結】さようなら、王子様。どうか私のことは忘れて下さい

ハナミズキ
恋愛
悪女と呼ばれ、愛する人の手によって投獄された私。 理由は、嫉妬のあまり彼の大切な女性を殺そうとしたから。 彼は私の婚約者だけど、私のことを嫌っている。そして別の人を愛している。 彼女が許せなかった。 でも今は自分のことが一番許せない。 自分の愚かな行いのせいで、彼の人生を狂わせてしまった。両親や兄の人生も狂わせてしまった。   皆が私のせいで不幸になった。 そして私は失意の中、地下牢で命を落とした。 ──はずだったのに。 気づいたら投獄の二ヶ月前に時が戻っていた。どうして──? わからないことだらけだけど、自分のやるべきことだけはわかる。 不幸の元凶である私が、皆の前から消えること。 貴方への愛がある限り、 私はまた同じ過ちを繰り返す。 だから私は、貴方との別れを選んだ。 もう邪魔しないから。 今世は幸せになって。 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 元サヤのお話です。ゆるふわ設定です。 合わない方は静かにご退場願います。 R18版(本編はほぼ同じでR18シーン追加版)はムーンライトに時間差で掲載予定ですので、大人の方はそちらもどうぞ。 24話か25話くらいの予定です。

最近様子のおかしい夫と女の密会現場をおさえてやった

家紋武範
恋愛
 最近夫の行動が怪しく見える。ひょっとしたら浮気ではないかと、出掛ける後をつけてみると、そこには女がいた──。

(完結)戦死したはずの愛しい婚約者が妻子を連れて戻って来ました。

青空一夏
恋愛
私は侯爵家の嫡男と婚約していた。でもこれは私が望んだことではなく、彼の方からの猛アタックだった。それでも私は彼と一緒にいるうちに彼を深く愛するようになった。 彼は戦地に赴きそこで戦死の通知が届き・・・・・・ これは死んだはずの婚約者が妻子を連れて戻って来たというお話。記憶喪失もの。ざまぁ、異世界中世ヨーロッパ風、ところどころ現代的表現ありのゆるふわ設定物語です。 おそらく5話程度のショートショートになる予定です。→すみません、短編に変更。5話で終われなさそうです。

(完)「あたしが奥様の代わりにお世継ぎを産んで差し上げますわ!」と言うけれど、そもそも夫は当主ではありませんよ?

青空一夏
恋愛
夫のセオは文官。最近は部署も変わり部下も増えた様子で帰宅時間もどんどん遅くなっていた。 私は夫を気遣う。 「そんなに根を詰めてはお体にさわりますよ」 「まだまだやらなければならないことが山積みなんだよ。新しい部署に移ったら部下が増えたんだ。だから、大忙しなのさ」 夫はとても頑張り屋さんだ。それは私の誇りだった……はずなのだけれど?

(完結)親友の未亡人がそれほど大事ですか?

青空一夏
恋愛
「お願いだよ。リーズ。わたしはあなただけを愛すると誓う。これほど君を愛しているのはわたしだけだ」  婚約者がいる私に何度も言い寄ってきたジャンはルース伯爵家の4男だ。 私には家族ぐるみでお付き合いしている婚約者エルガー・バロワ様がいる。彼はバロワ侯爵家の三男だ。私の両親はエルガー様をとても気に入っていた。優秀で冷静沈着、理想的なお婿さんになってくれるはずだった。  けれどエルガー様が女性と抱き合っているところを目撃して以来、私はジャンと仲良くなっていき婚約解消を両親にお願いしたのだった。その後、ジャンと結婚したが彼は・・・・・・ ※この世界では女性は爵位が継げない。跡継ぎ娘と結婚しても婿となっただけでは当主にはなれない。婿養子になって始めて当主の立場と爵位継承権や財産相続権が与えられる。西洋の史実には全く基づいておりません。独自の異世界のお話しです。 ※現代的言葉遣いあり。現代的機器や商品など出てくる可能性あり。

恋人に捨てられた私のそれから

能登原あめ
恋愛
* R15、シリアスです。センシティブな内容を含みますのでタグにご注意下さい。  伯爵令嬢のカトリオーナは、恋人ジョン・ジョーに子どもを授かったことを伝えた。  婚約はしていなかったけど、もうすぐ女学校も卒業。  恋人は年上で貿易会社の社長をしていて、このまま結婚するものだと思っていたから。 「俺の子のはずはない」  恋人はとても冷たい眼差しを向けてくる。 「ジョン・ジョー、信じて。あなたの子なの」  だけどカトリオーナは捨てられた――。 * およそ8話程度 * Canva様で作成した表紙を使用しております。 * コメント欄のネタバレ配慮してませんので、お気をつけください。 * 別名義で投稿したお話の加筆修正版です。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

処理中です...