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ずっと貴女だけ好きでした。

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⌘ 和彦視点 ⌘

就職も決まり、大学学校を卒業するまでを指折り数えるが、ずっと女性達に付き纏われ、ウンザリしていた。

知り合いの店長がいる店でも〝誰が行く〟だの〝配膳を変われ〟や紙ナプキンに自身の携帯の番号を渡す人も…

流石に、のらりくらりと躱すにしてきたが、限度を超えていた為、店長に女性達に渡された連絡先の紙を渡し愚痴る。

「俺、寛ぎに来てるのに迷惑」

「和彦すまん。俺からも注意するから」

こんなやり取りは日常茶飯事。

もう行くのをやめて新しい店を探そうかと思い始めた時に香子と出会った。

他の店の女の子達とは違い俺を特別視しない…凛とした表情に何か翳りがある彼女に興味を唆られた。

「仲尾さんモテますねー(棒)」

「君だけだよ香子ちゃん♪〝お客さん〟としか見てないのは」

軽口を叩いてみるが安定のスルー。

「見た目が、どうであれ、お金を落としてくれる方達は等しく〝お客様〟でしょ?特別を求める事自体理解できない」

「相変わらず面白いね君」

他の女の子達と違い、俺を異性と見てない彼女との他愛ない会話が楽しみになっていた。

偶には、静かにゆっくり過ごしたいと思い、近所の図書館に行くと、制服姿の彼女を見かける。

店では、あどけなさがあるものの、妙に大人びた彼女〝本当に高校生なんだ〟と思っていたら、既に声を掛けてしまった。

図書館ここで勉強?」

「はい。家じゃ出来ないから」

「そうなんだ。希望の大学がっこうとか何か将来、考えているの?」

「特に…大学は行きません。高校卒業したら就職して早く家から離れたいんです。就職しながら先々の為に資格取得したい希望はあるんですよね…」

「偉いね」

「仲尾さんは何故、図書館に?大学卒業間近で就職も決まられたんでしょう?」

「俺の情報詳しく無い?」

「だってほら、バイト先の子達がよく仲尾さんの話をしているから嫌でも耳にしますよ」

「俺、人気があるね」

「自惚ですか?」

「ハハハハハ。あっ、だったら香子ちゃん、俺が勉強教えようか?」

「滅相もありません。何とします」

「まあまあ知り合いのよしみで」

自身でも気付かないうちに、彼女との繋がりを求めてしまっていた。

香子の家庭は少し複雑で母親を亡くして間も無くして父親が再婚。

まぁ闘病中している妻が居るのに新しい女と宜しくしていて亡くなった居なくなった理由で直様再婚。

香子自体が父親を始め新しい家族を毛嫌いしており、今は学生で、世話になっていること事態、彼女は苦痛らしい。

早く自立したい気持ちが強く現れていた。

彼女に勉強を教えていく内に次第に俺の中で香子の存在が〝気になる子〟から〝ずっと一緒に居たいひと〟に変わっていく。しかし、俺はまだ就職したての社会人。そして彼女は女子高生…5歳しか離れてないが〝世間的〟な部分で葛藤し想いを伝えるべきか散々悩み、玉砕覚悟で想いを伝えた。

「ねぇ香子ちゃん。俺が君の拠り所になれない?…大事にするから、俺の傍に居て」

締まらない告白だったが彼女はクスリと笑って受け入れてくれた。

程なくして香子の妊娠が判り喜んだが彼女は〝未成年〟であり家庭環境も良くない、家を飛び出したと連絡が来て俺の両親と一緒に彼女を探し回る。

お袋が先に見つけたが寒空の下、父親に顔を張られ赤くなった頬に薄着で裸足の姿、涙で目を腫らした香子を見て俺は胸を痛めた。

香子を一旦、俺の実家に預け彼女の自宅へ行く。

謝罪と今後の事、彼女の気持ちを伝えた。

香子は子供を産みたいし、俺自身も産んで欲しい気持ちと、彼女が家族に対して思っている事、家から離れたい気持ちを伝えた…父親と新しい家族となった女はしばらく黙り込んだ…

「確かに私達は香子からしたら母親を裏切った人間にしか見えてないのは分かっていたが、そこまで拒絶されていたとは…親として失格ですね…香子の気持ちは分かりました…仲尾さん。あの子の気持ちを優先してください…娘の事を宜しくお願いします」

香子を託され、俺は独身寮に入ったばかりだった為、出産して落ち着くまでの間は俺の実家で暮らす事に決まる。

また学校との話し合いで退学する事なく香子は卒業を迎えるまで学生生活を送ることができた。


ーーーーーーーー

〝おぎゃーおぎゃー〟

「「「産まれたぁ」」」

高校卒業して春から夏に変わる頃に翔真が生まれた。

それから2年後に今度は佑真が誕生。

いつまでも幸せは続くと信じていたが、俺がをしてしまい、地獄が始まった。

「こんばんは。仲尾さん」

接待の帰りに突然、学生と思われる女性に声を掛けられた。

「えっと…君は誰だっけ?」


「えぇ?忘れちゃったんですかぁ?香子さんの友人の平山知美です。ご無沙汰してます」

「あぁ。思い出したよ」

「もし、迷惑でなければ一杯だけ付き合ってください」

「…一杯だけなら」

平山知美の言葉に乗らなければ…しかし選んだのはと後悔の日々を送る事になる。

目が覚めたらホテルのベッドで全裸で寝ていた。

ベッド横には無造作に脱ぎ散らかされた衣類が2人分…

「和彦さん目が覚めましたか?あの後、酔い潰れてしまって、このホテルには行ったのですが和彦さん、私を〝香子〟間違えて押し倒したんですよ。でも、私は、香子の旦那さんと知っていながら、ずっと憧れていた和彦さんに抱かれ嬉しい」

絶望するしかなかった…酒飲んで潰れること事態、初めてだった…俺は〝した感じ〟は無い…しかし、知美は〝事後〟を主張する。

互いに全裸の状態で覆せない…俺が色々考えていると〝関係の継続〟を知美を言い出した。

程なくして香子にバレてしまい正直、嬉しかった…そして俺は本音を吐露した。

初めて過ごした時、既成事実を作られ、それを理由に関係を迫られ、仕方ないとは言え、自ら継続してる自身の愚かさを…

香子は顔色一つ変えずに〝これから〟について条件を出した。

①離婚はしない。
②香子とは夫婦の営みはしない。
③必ず避妊し相手からの避妊具は受け取らない。
④二世帯住宅を俺の実家に建て一緒に暮らす。

「香子?」

「和彦さん私は怒っているんですよ。何故、強要に応じたんですか?私達は夫婦なんですよ。貴方がモテるのは昔からなので覚悟はしているんですから…話して欲しかった…それに貴方は詰めが甘い所があるから、迷ったら〝しない〟を心掛けてください‼︎以上。この件は終わり」

スパッと話を切った。

「今は翔真も佑真も私達を見て育っている時期なんですよ…子どもに悪影響は与えたく無いですから」

「おかしゃ、ゆーま、おちたよ」

パタパタと小さな足音を立てて翔真が香子を呼びに来た。

「翔、佑真が起きたのね。教えてくれて、ありがとう。さっすが、お兄ちゃんね。おいで」

「香子…」

「後は和彦さん次第よ」

翔真を抱き上げ香子は去っていった。








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