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減れば増やせば良い
しおりを挟む「みんなして何なのよもぅ‼︎して欲しい事を、ただ言ってみただけじゃない。〝行動〟したのは彼らじゃないの‼︎私はなんにもしてないし悪くないわ‼︎」
もちろん、私自身も全く反省してなかった。
プクっと頬を膨らませ拗ねて見せる。
「最近、〇〇令息が話してくれなくて、つまんないっ!◎◎令息だって避けるし…もぅ!」
「仕方ないよアマリリス。〇〇も◎◎も婚約者の家との繋がりを大事にしないといけないから」
「何それ?」
「その内、婚約しないといけなくなったら、嫌でもわかるよ…で言う僕も、そうだけど…ごめんアマリリス。また時間を見つけて会いに来るよ」
1人の令息が私にも解りやすく教えてくれたが周りの目があるのか慌てて、私の元を離れた。
「△△…も〰︎。△△まで!今まで、一緒に遊んでくれたのに…あ〰︎あ。つまんない」
リジイアの仲介後、何人かの令息達は私との距離をあからさまに置き始めたり、また婚約者達の目を盗んで交流を続ける者、変わり無く続ける者と三者三様に別れた。
今まで学園生活も、何不自由無く好きなようにしていたが、〝お願い〟を聞いたり、私を愛でる人が減り、私は苛立ちを募らせながら次の教室に向かうと、中庭のベンチで額に手を置き俯く美しい男性が目に入る。
〝彼の方は確か、王太子殿下じゃなかったかしら?〟
私を愛でてくれる子息達が減り、私は新たな開拓をしていた。
最近、仲良くなった近衛騎士団団長の息子、メルロウ ブランとシャルダン殿下の側近、ソアーベ ポート。それと宰相の息子、ピノワール メドック。
きっかけは、メルロウ ブランとの出会いだった。
◇
◇
◇
「キャッ!」
教室の移動時、廊下を走ろうとして私は足がもつれてしまい、転びそうになった。
「危ない‼︎」
そこへメルロウが、咄嗟に私の体を支えてくれた。
「あ…ありがとう」
「騎士団長の息子として当然の事をしたまでだ」
〝なぁんか堅物そぅ〟第一印象はそれだった。
私は彼を見かける度に手を振り近付き声を掛ける。
「メールロっ♪何を読んでいるの?」
「コーラル令嬢…」
「んもぅ!アーマーリーリースって呼んでって言ったじゃない」
上目遣いで口を尖らせ拗ねてみせると、寡黙な彼は耳まで赤くして俯く。
「はぁ。メルロウと居ると落ち着くわ。だって、みんな私の事を目の敵にするの。やんなっちゃう」
「アマリリス…俺が、傍に居るから」
「ありがとぉ♪メルロウ貴方だけよ理解してくれるのは」
彼の両手を握り胸に当て微笑むと、ほらね簡単に落ちた。
ーーーーーーーー
「君がアマリリス コーラル男爵令嬢かい?」
「貴方は?」
「いきなり声を掛け、失礼。メルロウ ブランと僕は幼い頃からの付き合いで、寡黙なアイツが女性の名が出たから、つい気になって…僕の名はソアーベ ポート。シャルダン殿下の側近をしているんだ」
「殿下の側近?貴方、凄いのね。私には出来ないわ」
「そんな事無いよ。殿下もメルロウ同様、幼い頃からの付き合いだから、なんて言うのかな?〝気心知れてる仲〟ってもの?」
「ふふふっ。貴方って〝貴族らしく〟無いのね。元々、お母様が後添えに迎えられるまで、私平民だったから、とても話しやすいわ。だって〝お貴族様〟の言葉って全く分んないんですもの」
口元に人差し指を当て拗ねてみせる。
「確かに言い回しは難しいよな」
「私達、気が合うわね♪ソアーベと話すと気を使わず楽しいわ」
「アマリリス…僕も、君の心からの笑顔を独占できるから嬉しいよ」
そう言ってソアーベは私の手を取り指先に唇を落とした。
ーーーーーーーー
「アマリリス、紹介するよ。彼の名はピノワール メドック」
ソアーベが紹介した男性はこの国の宰相の息子。
メガネを掛け、他の男性より長髪で髪を一つ結びに纏めて〝マジメ〟って見るからに分かる男性。
「初めまして♪アマリリス コーラルと言います。よろしくね」
「見るからに頭が軽そうな令嬢だな」
第一印象は最悪だったが、父親であるメドック宰相の右腕になりたく、日々、努力しているのは分かっていた。
「ピノワールは凄いのね。いつも他人の事を第一に考えて…だけど、私は貴方の事が心配よ。周りを優先して、貴方自身は、どうするの?自分を大事しにしなくっちゃ…ね♪」
労いの言葉に〝そんな貴方が心配〟と言っただけで「君だけだよコーラル嬢。私の事を心配してくれるのは」第一印象は悪かったが、今は私の事を優先に考えてくれる。
◇
◇
◇
「ねぇ♪ソアーベ。この間、中庭で王太子殿下を見かけたんだけど、何か思い悩んでる様子だったの。心配だわ…だってソアーベは王太子殿下の側近だから…」
敢えて最後まで話さず、瞳を潤ませ、ハの字に眉を下げ〝とても貴方のことが心配なの〟と表情で演じ訴える。
「あぁ。やっぱり優しいな アマリリス。君だから話せるんだけどーーー」
本当、男って簡単に〝君だから〟と特別感を出してペラペラ喋るんだから。
どう、相手が思おうと勝手であり、私が気持ちを汲んでる態度を示しながらも、絶対に私から愛を囁かない。あくまで、友達以上恋人未満のラインを保つ。
何故かしら、諍い無く、均衡を保っているのは、彼等が貴族で紳士だからと私は熟知していた。
ーーーーーーーー
シャルダンを見かけてから数日経ち、私は教室移動で中庭が見える廊下を通ると、またシャルダンがベンチに腰を下ろし考え込んでいた。
「あの…具合が悪いんですか?私が医務室の先生をお呼びしましょうか?」
彼の前にしゃがみ込み顔を覗く。
「あ…いや…済まない。具合が悪いわけじゃ無いんだ」
「病気じゃなくて良かったぁ♪先日も、こちらのベンチに座って俯いていた姿を見ましたので気になっていたんですよぉ♪」
私はシャルダンの目を見つめ、淑女とやらが絶対しない微笑みを向ける。
「っっ!」
「どうなさったんですか?本当は具合が悪いのを無理してませんか?」
「いやっ。何でもない」
シャルダンは照れた表情を隠す。彼も私に〝落ちた〟と確信する。
ーーーーーーーー
シャルダンと急接近すると婚約者のリジイアより私のと約束やパーティでのパートナーを優先するようになるに連れ、リジイアがシャルダンを呼び出し話す風景が目に入り込む。
「殿下がどの令嬢と心通わすのは構いませんが、まだ早すぎます。もう少し、ご自身の立場をお考えください」
「学園を卒業したら結婚すると決まってだから構わないだろう‼︎先日のパーティでエスコートしなかった事に腹を立ててるのか?」
「そういう訳ではございま…」
「シャールぅみーっけ♪」
私は2人の会話に割り込みシャルダンの腕に絡みつく。
「あぁ今日も可愛いな。アーリー」
「コーラル男爵令嬢、私が今、殿下と話をしている最中と言う事が分からなくて?しかも、婚約者である私の前で腕を組む行為は失礼かと思うのですが」
口元だけ微笑んで冷たく言葉を放つリジイアを見て私は「リジイアさん、こーわーいっ。私がシャルと仲良しだからって意地悪な言い方しないでください…」態と俯くとシャルダンが「アーリーを虐めるな」と庇う。
フゥッと溜息を吐き「私は何もしておりません。ただマナーを守ってと言っただけです。これじゃあ、話になりません。殿下、先程私が言った件、お考えください」
洗練されたカテーシを取りリジイアは去って行く。
「ねぇーシャル、何の話をしていたの?」
「済まない。アーリー…私はこれでも〝王太子〟だから話せない事もあるんだよ」
「けちぃ」と言って拗ねると、困った顔をして「拗ねた君の顔は堪らないけど、これだけは…」
「分かってるから大丈夫よシャル♡」
私達は更に愛を深め、体を重ねる関係にまで至る。
「ねぇシャル?卒業したらリジイアさんと結婚するの?」
「アーリー?」
「私、シャルの事を愛してるから〝乙女〟を捧げたのに」
「私だって君と離れたく無いさ」そう言ってシャルダンは暫く考え「私に〝良い考え〟がある」と自信有り気に話す。
その〝良い考え〟が学園最後の夜会でリジイアに婚約破棄宣言して私との婚約発表する事となる。
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