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不動産に勤める後輩「伊藤(仮名)」の話
自称「霊感が強い」クレーマー。 終 ~本章 之ニテ幕引キ也~
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あれから数日。
私は知り合いの葬儀に参列していた。
とてもではないが、誰かと話そうなんてそんな気持ちにはなれず。
ただ只管に、葬儀が終わり行くのをボケーっと呆けていたと思う。
葬儀が終わった後、数日も正直
どう過ごしていたか、あまり記憶にない。
後に、我に返り
普段使用しているPCを確認した所
私の師「X氏」へ数件のメールを送り、やり取りしていた事を確認している。
その内容を見た当初
「何の話だ?コレ・・・。」というのが印象だった。
「~君(私)、メールを拝見しました。
僕が考えるに、それはアレだ。
そもそもの始まりは『その人』が気付いてなかった。っていうのが大きいと思うんだよね。」
・・・『その人』とは誰の事だ?
直近に送った私のメールを見返した。
「Xさん、こんばんは。ご相談があり連絡しました。
以前、お話した件なのですが・・・やはり『連れて来てしまった』ようで・・・。
どうすれば良いでしょうか?
そもそも『彼』は何処から来たんでしょうか?」
イマイチ、要領を得ない。
更に前のメールを読み返す。
「興味深い話ではあるね。
様子は逐一見て置かないと、大変な事になるかも知れないね。
・・・僕が思うに、十中八九『憑かれてる』と思うのね。
でも、良く気付いたよ。
やっぱり、センスは良かったみたいだね。
とにかく、何か変化があればまた連絡を。」
ここまで読んでも何のことかサッパリだ。
私は、数日前の履歴を一気に遡り読み返す・・・。
そこで、私が呆けていた数日間の理由が分かった。
結論を語ろう。
私が参列した葬儀の主役は・・・「伊藤」だった。
居酒屋での顔合わせ以降
彼は仕事を病欠するようになり、とうとう無断欠勤になった。
ソレを心配した上司が、従業員を彼の部屋に向かわせたそうだ。
そこで・・・首を吊って亡くなっていた・・・。との事だ。
同時期に、私も彼と連絡が取れなくなり
客を装い、彼の務める不動産屋に向かった。
・・・そこで件の「専務」と出会う。
伊藤に相談を持ち掛けられていた事を話すと、彼は奥の応接間へと私を通し
事の経緯を全て話してくれた。
「最近、伊藤君・・・人が変わったみたいに話してて驚いてた所なんです・・・。
そう、まるで『彼』みたいだった・・・。」
「彼?」
「以前ここで働いていた・・・」
「宇敷!?」
「そ・・・そうです。宇敷君とそっくりだった・・・。まるで覇気がないと言うか。」
伊藤の病欠理由。
それは「鬱」だった可能性が高い。
「専務さん、伊藤は・・・自称『霊感が強い』とかいうクレーマーに悩まされていた様なのですが
・・・確か名前は重田さん?・・・伊藤の担当だったんですか?」
「いやいや、そんなまさか!重田さんの担当は別の者が行っておりまして
『その方』から連絡が来たら、直ぐに担当者に繋げる手筈です。
それに、伊藤君は重田さんの連絡を一度しか取り次いでいないハズですから・・・
そこまで悩むような事は・・・。」
気付けなかった。
たった一度の接触で・・・
まさか『彼』を『連れ歩く様になる』なんて・・・。
その謎を、X氏に解明して貰うべく送ったメール。
メールを読み返し、搔い摘んだ鑑定結果を記す。
・そもそもの始まりは「重田さん」が「宇敷さん」を鬱に追い込んだ事が始まり。
・その後「宇敷さん」は思い悩んだ末、亡くなった。
・「彼」の念は、間違いなく「重田さん」へ飛んだに違いない。
・「重田さん」は期せずして「望まぬ同居人」を手に入れてしまった。
・そして、ある日「伊藤」が「重田さん」の電話を取る。
・だが「重田さん」は「伊藤」に対し、電話の終盤「嫌悪感」を覚え電話を切った。
・なぜなら「その時点」で「伊藤」に「彼」の念が移ってしまっていたからだ。
その結果
居酒屋であった「伊藤」は「彼」の念と共にまるで「二重人格」のような状態になっていた。
X氏がいう所の「憑かれている」という段階だ。
そして、私が
伊藤が連れていたのは『宇敷』なのだと理解したのは
全てが終わった後・・・伊藤が亡くなり、専務から話を聞いた後の事だった。
正直な所、この出来事については
今でも「時系列がぼんやり」していて、上手く説明できる自信がない・・・。
だが、全てを悟った時
「伊藤の為にも、なんとか理由を探らねば!」と・・・行動した結果なのだと
私は思っている・・・。
私は知り合いの葬儀に参列していた。
とてもではないが、誰かと話そうなんてそんな気持ちにはなれず。
ただ只管に、葬儀が終わり行くのをボケーっと呆けていたと思う。
葬儀が終わった後、数日も正直
どう過ごしていたか、あまり記憶にない。
後に、我に返り
普段使用しているPCを確認した所
私の師「X氏」へ数件のメールを送り、やり取りしていた事を確認している。
その内容を見た当初
「何の話だ?コレ・・・。」というのが印象だった。
「~君(私)、メールを拝見しました。
僕が考えるに、それはアレだ。
そもそもの始まりは『その人』が気付いてなかった。っていうのが大きいと思うんだよね。」
・・・『その人』とは誰の事だ?
直近に送った私のメールを見返した。
「Xさん、こんばんは。ご相談があり連絡しました。
以前、お話した件なのですが・・・やはり『連れて来てしまった』ようで・・・。
どうすれば良いでしょうか?
そもそも『彼』は何処から来たんでしょうか?」
イマイチ、要領を得ない。
更に前のメールを読み返す。
「興味深い話ではあるね。
様子は逐一見て置かないと、大変な事になるかも知れないね。
・・・僕が思うに、十中八九『憑かれてる』と思うのね。
でも、良く気付いたよ。
やっぱり、センスは良かったみたいだね。
とにかく、何か変化があればまた連絡を。」
ここまで読んでも何のことかサッパリだ。
私は、数日前の履歴を一気に遡り読み返す・・・。
そこで、私が呆けていた数日間の理由が分かった。
結論を語ろう。
私が参列した葬儀の主役は・・・「伊藤」だった。
居酒屋での顔合わせ以降
彼は仕事を病欠するようになり、とうとう無断欠勤になった。
ソレを心配した上司が、従業員を彼の部屋に向かわせたそうだ。
そこで・・・首を吊って亡くなっていた・・・。との事だ。
同時期に、私も彼と連絡が取れなくなり
客を装い、彼の務める不動産屋に向かった。
・・・そこで件の「専務」と出会う。
伊藤に相談を持ち掛けられていた事を話すと、彼は奥の応接間へと私を通し
事の経緯を全て話してくれた。
「最近、伊藤君・・・人が変わったみたいに話してて驚いてた所なんです・・・。
そう、まるで『彼』みたいだった・・・。」
「彼?」
「以前ここで働いていた・・・」
「宇敷!?」
「そ・・・そうです。宇敷君とそっくりだった・・・。まるで覇気がないと言うか。」
伊藤の病欠理由。
それは「鬱」だった可能性が高い。
「専務さん、伊藤は・・・自称『霊感が強い』とかいうクレーマーに悩まされていた様なのですが
・・・確か名前は重田さん?・・・伊藤の担当だったんですか?」
「いやいや、そんなまさか!重田さんの担当は別の者が行っておりまして
『その方』から連絡が来たら、直ぐに担当者に繋げる手筈です。
それに、伊藤君は重田さんの連絡を一度しか取り次いでいないハズですから・・・
そこまで悩むような事は・・・。」
気付けなかった。
たった一度の接触で・・・
まさか『彼』を『連れ歩く様になる』なんて・・・。
その謎を、X氏に解明して貰うべく送ったメール。
メールを読み返し、搔い摘んだ鑑定結果を記す。
・そもそもの始まりは「重田さん」が「宇敷さん」を鬱に追い込んだ事が始まり。
・その後「宇敷さん」は思い悩んだ末、亡くなった。
・「彼」の念は、間違いなく「重田さん」へ飛んだに違いない。
・「重田さん」は期せずして「望まぬ同居人」を手に入れてしまった。
・そして、ある日「伊藤」が「重田さん」の電話を取る。
・だが「重田さん」は「伊藤」に対し、電話の終盤「嫌悪感」を覚え電話を切った。
・なぜなら「その時点」で「伊藤」に「彼」の念が移ってしまっていたからだ。
その結果
居酒屋であった「伊藤」は「彼」の念と共にまるで「二重人格」のような状態になっていた。
X氏がいう所の「憑かれている」という段階だ。
そして、私が
伊藤が連れていたのは『宇敷』なのだと理解したのは
全てが終わった後・・・伊藤が亡くなり、専務から話を聞いた後の事だった。
正直な所、この出来事については
今でも「時系列がぼんやり」していて、上手く説明できる自信がない・・・。
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私は思っている・・・。
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