続・骸行進(裏怪談)

メカ

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師「霊視鑑定人X氏」の禁話

邪の道 1

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皆さん「蛇の道は蛇」という言葉をご存じだろうか?

詳しい意味や由来については、ここでは割愛するが・・・。
今回、お話する「私の師」の話は正しく「コレ」だ。

事の始まりは、ある家族からの依頼だったそうだ。

中年夫婦と若い娘。
母は体を悪くしたようで、娘によって車いすを押されながらやって来た。

そして、夫が語る。

「私たちは、地方からある県へ移り住んだ者です。
最初は、家族共に何事もなく生活していました。
ですが、ある時期を境に妻の容態が見る見る悪くなり、今では介助なしには
生活もままならない。
悪い事が起きているのであれば、是非・・・力をお借りしたく・・・。」

絞り出すように状況を説明する夫。
しかし、それだけでは今一要領を得なかった。

「奥様に異変が起きた時期に、何か生活に変化が?」

「・・・それが・・・その。」

夫は口籠った。
態度を見るに、事態を今一把握していない様子だ。
夫に代わり説明に出たのは娘だった。

「お母さん、呪われてるんだよ。」

「呪われてる?」

「そう、近所の人に。」

見た目からも、中高生程の若い娘だ。
このご時世に声高々に「呪いだ」などという子がまだ居たのか。
X氏はそう思ったそうだ。

「引っ越ししてから、お母さんは近所の人と良く話もしてた。
家にも上げてお茶とかしてた事も有る。
でも、何が有ったのか知らないけど、途中から近所の人と上手く行かなくなったの。
それ位の時から、お母さんの具合が悪くなったの。」

入り口はほんの些細な「ご近所トラブル」。
何処にでもある話だ。
人の業とは恐ろしい物だ。
恨み・辛み・嫉みだけで一人の人間をここまで追い込めるのだから。

「旦那さん、もう既に行った事かもしれませんけどね?
こんな所に来る前に、然るべき場所(病院)などに奥さんを連れて行くのが先では?」

「も、もちろん!考え付くだけの手は尽くしました。
・・・でも、妻は・・・もう何もしゃべらなくなってしまった・・・。」

一言を絞り出す事を、これ程まで苦しそうに涙しながら語る家族を前に
奥さんは何を思っていたのだろうか・・・。

X氏が見た「奥さん」は既に「廃人」のようなものだった。
顔色一つ変わらない。
何処か一点をぼーっと見つめて、何も語らない。

「ちょっと、失礼」

X氏は、奥さんの顔を下から覗き込んだ。

完全に焦点が合わない。

「娘さんに2,3聞きたい事があるんですがいいですか?」

「・・・はい。」

「お母様が一番親しくしていたご近所の方について、もう少し詳しく聞きたいです。」

「・・・確か、お母さんが趣味のガーデニングで庭に出ていた時に
偶々、話が弾んだとかで親しくなったと聞いてます・・・。」

「・・・なるほど。ではもう一つ・・・。」

幾つかの質問の末、X氏は現地の「家族宅」を訪れる事を決めたという。
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