続・骸行進（裏怪談）

触れると解かる占い師の友人「ざっちん」の話

有名人からの依頼 終

事の顛末を先に記そう。

とある有名人（以下スターさん）から依頼を受けたざっちんと
それに合流した私は、スターさんから見せられた「物品」について
強烈なダメージを受ける事となった。

あの後、ざっちんは1週間程
正体不明の高熱に魘される事となり
私に至っては、突然の鼻血や耳鳴りといった現象に悩まされる事となった。

互いに体調が復活した後
我々は互いに、「あの物品」について意見を交換した。

・・・そして、その間に・・・。

スターさんは「亡くなった」。

私がソレを知ったのは、報道番組だった。

その後、マネージャーよりざっちんの元に連絡が入る事となるのだが・・・。

そこでも、ざっちんは「あの物品」を酷く恐れマネージャーとの面会を嫌がっていた。

が・・・。

実に恐ろしきは「物品の一部」である。


その「一部」を語る前に、私が耳にした「声」について話そう。

あの時、私が耳にしたのは「独りの人物」が相反する二つの単語を囁いていた事。
「愛している」「でも許さない」

先に語った、羨望や嫉妬、応援や批判とは明らかに違う。
「愛憎」だ。

その念は酷く強いモノで、囁いているにも拘らず
ハッキリと聴き取れ、耳に残る単語であった。

もし、こんな事が本人に知れたらどうだろうか。
ストーカー騒ぎなどで一面を飾っても可笑しくないだろう。

その反響が本人に与えるダメージは計り知れない物だ。

だからこそ・・・「言えなかった」。

だが、その結果待っていたのは、当人の「死亡」だった・・・。

だが、我々は何もしないのはマズイだろうと
当人にもマネージャーにも「お祓い」を強く勧めていた。

一回目の面会の後、当人がどうしたのかは我々には分からないが・・・。
「結果」がソレを「物語っている」だろう。

半ば「売れていた」だけに
時間が取れなかった。というのは言い訳にしたって重い意味を持つだろう。
我々の面会も、本当に大変な中
何とか時間を作って・・・という感覚であったのはよく覚えている。

先に綴った「面会時」の話も
実の所15分もなかったのだから。

・・・そして「あの物品」についてだが・・・。

スターさんが亡くなった後、二回目のマネージャー単独での面会。

とんでもない事実が発覚する。

「あの物品」こと「自作のフィギュア」だが・・・
フィギュアの頭髪に使われていたのは「人毛」であったのだ・・・。
・・・それも「亡くなった人間の」。

例のファンについても、時間が経ってしまった事もあり
足取りは掴めていないそうだ・・・。

とんでもない呪物を、愛する相手に送る・・・。

正気の沙汰とは思えない「奇行」だ・・・。