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フリーターの青年 「芦屋(仮名)君」の話。
ポスティング
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今回も芦屋君はあるバイト中に、恐怖体験をした事があると話してくれた。
タイトルにある通り「ポスティング」のバイトだ。
なぜ、少し間を開けてのお披露目になったのか、私は尋ねた。
「あの出来事は、僕にとっては『恐怖体験』ではなく『不思議体験』だったんですよ。
なので、ホラーという趣旨とは少しズレてしまう。と思って・・・。」
という回答であった。
だが、場所が場所であった為に「公開する事」を選択したという。
とは言え、今回は「その場所」については公言する事を控えて置く。
ただ一言、私の口から言えるとすれば・・・その舞台は「住宅街」であった事だけだ。
芦屋君は、数多くのバイトを経験している。
その中でも、ポスティングはある種
気分転換に。と始めた仕事なのだそうだ。
小型マンションを目的にしたチラシ配布だったそうだ。
最初の頃は、自宅周辺や遊び慣れた街を転々としていたそうだが
配布会社の都合で、一度配った街には数ヶ月配れない。というルールがあったそうだ。
次第に、彼は見慣れない街への配布が増え
地図を片手に、目的の建物を探す苦労が増えて行った。
そんな時だ。
とある町の一角で・・・小型マンションが密集する場所があった。
「っお!入れ食い状態じゃ~ん。」
などと、彼は浮かれてしまった。
その場所を配り終えた時、彼は地図を凝視して棒立ちだった。
先に説明しておくが、彼は決して地図が苦手な訳ではない。
にも拘らず、彼は自分の居場所が分からなくなったそうだ。
そして、もう一つ。
念のため、記すが
彼は訪れた建物にマーカーを記す徹底ぶりだったそうだ。
それ故に、自分がどのように歩いたか一目瞭然の地図だった。
「大体この辺に居るだろう」という当たりも付けられる。
その「当たり」を頼り、周辺の特徴ある建物を目指しても
自分の位置の特定には至らなかった。
・・・なぜなら、居場所を特定する為、目指した「特徴ある建物」すら見つからなかったからだ。
「おかしいな。」
いよいよ、これが異変だと気付いたのは
迷ってから20分間、彷徨ってからの事だ。
人に道を尋ねようにも、視界に人が映らない。
閑静な住宅街。
次に彼が頼ったのは、携帯によるナビ機能だ。
先ほど、目印にしようと目標を立てた建物(スーパーだったそうです)の住所を
ナビに入力。
音声ガイドにて、目的地を目指そうとした。
だが・・・。
音声ガイドから放たれた第一声は
「住所が正しくありません。」という一言だった。
「はぁ?」
芦屋君は、何度か確認を行った上で再度試したそうだが
結果は変わらなかった。
途方に暮れながらトボトボと歩いて居た時
住宅街の片隅で
小さな祠を見つけたという。
その祠の中には、地蔵が一体奉納されていたという。
藁にも縋る思いだった・・・。
「お地蔵様さぁ、今手持ちにあるものってこれだけなんだけど
どうにかしてくれよぉ・・・。」
鞄から取り出した小さな飴玉二つ。
彼は、お供えとして地蔵の前に差し出した・・・。
何かが変わるかとその場でしばらく待っていたが・・・変わる訳もなく
彼は歩みを進めた。
その二分後だった。
「ここを左です。」
十字路に差し掛かった時、辞めた筈のナビが勝手に起動し道案内を始めたのだという。
・・・そうして、彼は無事帰路に着いたとの事だった・・・。
タイトルにある通り「ポスティング」のバイトだ。
なぜ、少し間を開けてのお披露目になったのか、私は尋ねた。
「あの出来事は、僕にとっては『恐怖体験』ではなく『不思議体験』だったんですよ。
なので、ホラーという趣旨とは少しズレてしまう。と思って・・・。」
という回答であった。
だが、場所が場所であった為に「公開する事」を選択したという。
とは言え、今回は「その場所」については公言する事を控えて置く。
ただ一言、私の口から言えるとすれば・・・その舞台は「住宅街」であった事だけだ。
芦屋君は、数多くのバイトを経験している。
その中でも、ポスティングはある種
気分転換に。と始めた仕事なのだそうだ。
小型マンションを目的にしたチラシ配布だったそうだ。
最初の頃は、自宅周辺や遊び慣れた街を転々としていたそうだが
配布会社の都合で、一度配った街には数ヶ月配れない。というルールがあったそうだ。
次第に、彼は見慣れない街への配布が増え
地図を片手に、目的の建物を探す苦労が増えて行った。
そんな時だ。
とある町の一角で・・・小型マンションが密集する場所があった。
「っお!入れ食い状態じゃ~ん。」
などと、彼は浮かれてしまった。
その場所を配り終えた時、彼は地図を凝視して棒立ちだった。
先に説明しておくが、彼は決して地図が苦手な訳ではない。
にも拘らず、彼は自分の居場所が分からなくなったそうだ。
そして、もう一つ。
念のため、記すが
彼は訪れた建物にマーカーを記す徹底ぶりだったそうだ。
それ故に、自分がどのように歩いたか一目瞭然の地図だった。
「大体この辺に居るだろう」という当たりも付けられる。
その「当たり」を頼り、周辺の特徴ある建物を目指しても
自分の位置の特定には至らなかった。
・・・なぜなら、居場所を特定する為、目指した「特徴ある建物」すら見つからなかったからだ。
「おかしいな。」
いよいよ、これが異変だと気付いたのは
迷ってから20分間、彷徨ってからの事だ。
人に道を尋ねようにも、視界に人が映らない。
閑静な住宅街。
次に彼が頼ったのは、携帯によるナビ機能だ。
先ほど、目印にしようと目標を立てた建物(スーパーだったそうです)の住所を
ナビに入力。
音声ガイドにて、目的地を目指そうとした。
だが・・・。
音声ガイドから放たれた第一声は
「住所が正しくありません。」という一言だった。
「はぁ?」
芦屋君は、何度か確認を行った上で再度試したそうだが
結果は変わらなかった。
途方に暮れながらトボトボと歩いて居た時
住宅街の片隅で
小さな祠を見つけたという。
その祠の中には、地蔵が一体奉納されていたという。
藁にも縋る思いだった・・・。
「お地蔵様さぁ、今手持ちにあるものってこれだけなんだけど
どうにかしてくれよぉ・・・。」
鞄から取り出した小さな飴玉二つ。
彼は、お供えとして地蔵の前に差し出した・・・。
何かが変わるかとその場でしばらく待っていたが・・・変わる訳もなく
彼は歩みを進めた。
その二分後だった。
「ここを左です。」
十字路に差し掛かった時、辞めた筈のナビが勝手に起動し道案内を始めたのだという。
・・・そうして、彼は無事帰路に着いたとの事だった・・・。
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