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24話 灰の街 2
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「提案なんだがね、ここの商品・・・提供してくれないかねぇ?」
「いやいや・・・それは困りますよ。上に相談しないと・・・。」
「これだから最近の奴は・・・言われた事しか出来んのか?自分で考える頭は無いのかね。」
「こちらも商売業ですから。それに、現場の監督ってだけでそういう権限は・・・」
「緊急事態に!・・・権限もへったくれもあるか!」
ヤマさんの怒号と共に、現場は静まり返った。
相変わらず、外の景色は一色だった。
だが、呆然とする一同に更なる異変が襲うのだ。
バツンッ。
コンビニの電気が一斉に落ちた。
コンビニ内部は闇そのものとなる。
直後
航や紗代、コンビニ店員らは慌てて携帯のライトで周囲を照らす。
「コウちゃん、何これ!」
「もぉ~!一々騒がないでよ、姉ちゃん!見りゃ分かるだろ、停電だよ。」
「ったく、文無しに渡す支給品はねぇってのかい!」
「いえ、ですから・・・私の一存では。と申し上げているだけで・・・。」
「っち!お宅さん。どこぞの受付のロボットですかい?それしか言えねえのかい!?」
コンビニが停電になろうが、ヤマさんとバイトリーダーとのやり取りは続いていた。
なぜ、ヤマさんが此処まで焦り、決着を付けようとしているのか
彼の原稿を持っている今なら分かる。
・・・この先、当面の間は我々がまともな食事にありつけるかどうかの瀬戸際だ。
彼の原稿には今後の事が記されている。
恐らく、灰に飲まれた街は少しの間、外出が出来なくなるだろう。
少しとは言え、ほんの数時間程度の事だ。
・・・だが、人はその非日常を眼前にした時、パニックを起こすだろう。
調和の取れなくなった人心は、すぐさま独善的な行いに走る。
だが、それが決定的となるのは「灰の雨」が降ってからだろう。
噴煙や灰、それらが空気中に霧散し視界が戻った後
それらの異物が我々の遥か上空から、より一層その被害範囲を増やしながら降り注ぐだろう。
黒く濁った雨が降る。
道に積もった灰と水分が混ざり、外は泥沼の様な景色へ変貌する事だろう。
それはまるで、雪山の様に
多数のスリップ事故などを齎し、多くの命を奪うだろう。
・・・そして、灰の混じった雨は多くの物を汚染する。
畑の作物、ダムの水、生活用水、そして海や川。
物流は少しずつ途絶え、少ない配給をバーゲンセールの様に奪い
買い叩き、買い占め、引きこもる。
明日喰う飯すら困る時・・・人はケダモノに変わる。
これが、彼の予想している最悪の流れだ。
現に我々は、噴煙や灰に視界を奪われた。
なればこそ、彼の読みは大筋通りの動きを見せるだろう。
・・・そうなれば、時期にコンビニやスーパーからは物が消え失せる。
そういった食料や資材を『買い込む』事は我々には出来ない。
そもそも、そんな資金が無いからだ。
他所の土地で金もない。そんな我々が「バーゲンセール」をどうやって生き抜く?
・・・先んじて「出し抜く」しかないのだ。
だからこそ、ヤマさんは「今」必死なのだ・・・。
「いやいや・・・それは困りますよ。上に相談しないと・・・。」
「これだから最近の奴は・・・言われた事しか出来んのか?自分で考える頭は無いのかね。」
「こちらも商売業ですから。それに、現場の監督ってだけでそういう権限は・・・」
「緊急事態に!・・・権限もへったくれもあるか!」
ヤマさんの怒号と共に、現場は静まり返った。
相変わらず、外の景色は一色だった。
だが、呆然とする一同に更なる異変が襲うのだ。
バツンッ。
コンビニの電気が一斉に落ちた。
コンビニ内部は闇そのものとなる。
直後
航や紗代、コンビニ店員らは慌てて携帯のライトで周囲を照らす。
「コウちゃん、何これ!」
「もぉ~!一々騒がないでよ、姉ちゃん!見りゃ分かるだろ、停電だよ。」
「ったく、文無しに渡す支給品はねぇってのかい!」
「いえ、ですから・・・私の一存では。と申し上げているだけで・・・。」
「っち!お宅さん。どこぞの受付のロボットですかい?それしか言えねえのかい!?」
コンビニが停電になろうが、ヤマさんとバイトリーダーとのやり取りは続いていた。
なぜ、ヤマさんが此処まで焦り、決着を付けようとしているのか
彼の原稿を持っている今なら分かる。
・・・この先、当面の間は我々がまともな食事にありつけるかどうかの瀬戸際だ。
彼の原稿には今後の事が記されている。
恐らく、灰に飲まれた街は少しの間、外出が出来なくなるだろう。
少しとは言え、ほんの数時間程度の事だ。
・・・だが、人はその非日常を眼前にした時、パニックを起こすだろう。
調和の取れなくなった人心は、すぐさま独善的な行いに走る。
だが、それが決定的となるのは「灰の雨」が降ってからだろう。
噴煙や灰、それらが空気中に霧散し視界が戻った後
それらの異物が我々の遥か上空から、より一層その被害範囲を増やしながら降り注ぐだろう。
黒く濁った雨が降る。
道に積もった灰と水分が混ざり、外は泥沼の様な景色へ変貌する事だろう。
それはまるで、雪山の様に
多数のスリップ事故などを齎し、多くの命を奪うだろう。
・・・そして、灰の混じった雨は多くの物を汚染する。
畑の作物、ダムの水、生活用水、そして海や川。
物流は少しずつ途絶え、少ない配給をバーゲンセールの様に奪い
買い叩き、買い占め、引きこもる。
明日喰う飯すら困る時・・・人はケダモノに変わる。
これが、彼の予想している最悪の流れだ。
現に我々は、噴煙や灰に視界を奪われた。
なればこそ、彼の読みは大筋通りの動きを見せるだろう。
・・・そうなれば、時期にコンビニやスーパーからは物が消え失せる。
そういった食料や資材を『買い込む』事は我々には出来ない。
そもそも、そんな資金が無いからだ。
他所の土地で金もない。そんな我々が「バーゲンセール」をどうやって生き抜く?
・・・先んじて「出し抜く」しかないのだ。
だからこそ、ヤマさんは「今」必死なのだ・・・。
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