東京が消えたなら。

メカ

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20話 続く微動

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酷暑の公園。
荷車を押す大の男たちは、今にもへたれ込み
意識を飛ばしそうだ。

「ヤマさん、もういい加減この辺で腰据えようよ・・・皆へばってるよ。」

「・・・ん~・・・ダメだ。もう少し、もう時間がないんだ。」

「でも!」

「航君!」

小さく縮こまっている老人に、食って掛かる若者。
そして、それを堰止める中年。

「小坊主、俺達には時間がない。・・・だが一日、時間を置こうじゃないか。」

「良いんですか?ヤマさん。」

「まぁ、ジョージ君も聞きや。小坊主のいう事も一理ある。
ここで病院にでも送られたら、それこそ足止めを食らう。それは本心で望まん。」

鶴の一声で簡易テントが作られ、皆一様に休憩を取る。

だが・・・。
その間にも「余震」が続く。
震度にしてみれば1~2程度の物だ。
それ故、道行く一般人も気にも留めない「微動」である。

しかし、ヤマさんだけは・・・その「微動」に過敏な反応を示していた。

そして・・・翌日。

「あぁ!居たぁ!」

「!!」

「もう!探したよぉ!」

公園内に響く甲高い声、一行は何事かと視線を揃えた。

其処には、スーツ姿の女が此方を指さしながらズカズカと歩み寄って来る。

「・・・さ、紗代姉ちゃん!?」

「こんな所で何してるのよ!」

「いや、それはこっちのセリフ・・・。」

「はぁ!?アンタを探しにきたに決まってるでしょ!」

「小坊主、この人が探しに行こうとしてた・・・?」

「え、えぇ・・・そうです。」

「生きてたじゃないか!良かったなぁ~、航君!」

「そもそも、なんでこの人たちと行動を共にしてるの!?」

「そ、それは・・・話すと長い・・・けど、恩人だから・・・かな。」

群がって来るホームレスを他所に、紗代は続けて話す。
その勢いに、航は少し押される形となった。
だが、航の放った「恩人」という言葉に、ホームレス達の強張った表情が和らいだ。

「お、おい。航君よぉ!照れるじゃねぇの。おっさん達をからかうなよぉ?」

「いえ、本心ですよ。皆さんが居なかったらどうして良かったか・・・。」

その掛け合いを見た紗代は、口を閉じた。
これまでの航の行動が、目に浮かぶ。
きっと彼は「乗り掛かった舟だ」と彼等と共に行動していたのだろう。
そして、持ちつ持たれつの中でここまでやって来たのだろう・・・。

「ね、ねぇ。ヤマさん。紗代姉ちゃんも一緒に行動していいかな?」

「・・・ヤマさん・・・?」

「あぁ、構わんさ。まぁそっちの嬢さんが来るって言うならな。」

「ありがとう、ヤマさん。」

「航君、ヤマさんって?」

「このメンバーのリーダーだよ。昔、有名な占い師だったらしいよ。
そんで、地震の合った日、俺の帰り道で事故が起きるってピタリと当てた。凄い人だよ。」

「事故!?」

「あぁ、幸い俺はヤマさんに引き留められたから無事だった。けど
あの時、そのまま帰ってたら・・・多分、死んでた・・・。」

「・・・ヤマさん・・・占い師・・・。」

「姉ちゃん?」

紗代は、何かを考える様に、再び黙り始めた・・・。
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