東京が消えたなら。

メカ

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18話 追走 1

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都内某所。

相変わらずの凄惨さを残す街だが
一部、落ち着きを取り戻しつつある。

連日連夜報道される被害状況のニュース。
関係のない県や街の人間達は最早、見飽きたであろう。

だが、現実を知ってしまうと・・・そうも言って居られない。

「・・・どういう事。これ・・・。」

眼前に広がるは、とあるアパートの一室。
しかも、その部屋は空き巣にでも入られたのかと見間違う荒れようだった。

無理もない、この現場で
必死に生きようと考えれば、火事場泥棒の様な人種が居ても不思議じゃない。

「そんなぁ。コウちゃん・・・何処行ったのよぉ~・・・。」

有れた部屋にへたれ込むスーツ姿の女性。
その部屋の表札は「成瀬」だ。

「ケガでもして病院に運ばれた?・・・外も酷い有り様だったし、有り得るかなぁ。
でも、連絡も取れないし・・・まさか、死・・・いや無いわ。それは無い。
なら、何処に行ったのよぉ!」

「あのぉ・・・。」

部屋の中でオロオロと騒ぐ女性に、外から声が掛かる。

「へ?」

「成瀬さんなら、何処かに行きましたよ・・・。」

「無事なんですか!?・・・どういう事ですか、教えてください!」

「あ、いや・・・だから。何処かに行ってそのまま戻って来てません・・・。」

女性は、隣に住んでいる者だと語る青年から話を聞いた。

男が語るには地震の直後、複数の男と忙しなく物を持ち運び
その後、消えたのだという。
その複数の男たちが何者であるかは知らず、何をしていたのかまでは分からない。

しかし、その男たちと部屋に出入りしていた事は間違いなく
地震直後も無事であったことは確認が取れていた。

「・・・そうですか・・・。所で、それは?」

「あぁ、配給で貰っている食料など諸々ですね。」

この近くにある市役所で、定期的に配られている配給。
男の話では、「成瀬」もその配給を受け取っていたという。

その話を聞き終えると、スーツの女は立ち上がり
部屋を後にした。
向かうは市役所に設けられた配給所だ。

こうなれば自棄だ。
その配給所に張り込んで、コウちゃんの情報を探す。
何日かかろうとも知っている人を探し出し、聞き出す!

女は携帯を取り出し、役所までの道のりを調べた。
このような状況ゆえ、携帯のバッテリーは重要だ。
ネットニュースから情報を得ている以上、バッテリー切れなど起こせば
目も当てられない。

女は極力、携帯を見ないよう努め、役所へと辿り着く。

「あの!この人知りませんか!」

「は、はい?・・・いま、少し手が離せない状況なのですが・・・。」

「そんな事、分かってるわよ!・・・知ってるの!?知らないの!?どっち!」

到着早々、女は役所のカウンターへ赴き、一枚の写メを職員に見せる。
慌ただしく動き回る職員たちに、一人ずつその質問を投げていった・・・。
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