東京が消えたなら。

メカ

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16話 津波 3

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首都直下の地震の僅か後
報道を騒がせるより先に、津波が未明の千葉を襲った。

地震によって、無理やりに叩き起こされた者達は
頻発する災害に備え、逃げ支度をする者も少なくはなかった。

だが・・・。

蓋を空ければ
その津波によってもたらされた被害は甚大なものであった。

濁流によって変わってゆく街の景色は、地獄絵図さながらだ。

多くの者が波に攫われ、状況も分からないまま
助けを待つしかない。

堤防を見に行った者は帰らず
決壊を知り慌てて逃げ出し、堤防決壊を触れ回りながら逃げ果せる者
その声を聞き、一目散に逃げだす者
自由の利かない身内を抱え、行動を起こす者

それら一切合切の差別なく
波は多くの者を飲み込んだ。

空が明るくなり、太陽が真上に上る頃
漸く被害の全貌が見え隠れし始めた。

津波によって直接の被害を被った人数は400世帯を超えた。
そして、人的被害においても
死者35名
行方不明者128名
怪我人44名、内重症者13名
という結果となった。

その大部分が、避難しようと高台を目指す最中、津波に襲われた。

これはあくまでも、一つのケースに過ぎないが
救助された大部分の人間が
『自宅の2階以上で救援を待っていた。』

津波が押し寄せている。という中
無暗に外に出てはいけない。

先の投稿でも語ったように
人体の構造的に見ても、「膝がつかる程度の水」で人は「進めなくなる」のだ。

幾ら地の利が味方に付いていても
パニックを起こした脳で、外を歩き回るのは得策とは言えない。

皆、覚えが無いだろうか?
津波の中に合って、平然と佇んでいる家屋が。

確かに、津波によって家屋が倒壊するリスクも十分に考えられる事だ。
しかし、そのリスクは
外に出て波に攫われるリスクと同等の危険度だろうか?

家屋倒壊まで至る条件として

・そもそも建物が古い。
・津波の急流地帯に位置。
・倒木や瓦礫による損壊から芋ずる式に・・・。

などなど、幾つかの条件が重なった事で起こりうる。
それらのリスク点数がキャパをオーバーした時、家屋倒壊が始まる訳だ。

所が、生身で外に出た場合、津波に攫われるリスクとして

・高台に到達しなければならない
・津波の速度より早く移動しなければならない。
・地形を把握しておく必要がある。

と言う風に、いずれか一つだけでも
即、生命に関わる重大なリスクとなる。

ここまでで、何が言いたいのかを纏めると

「無理に避難しないでほしい。」

という事なのだ。

パニックのまま、外に出て高台を目指すより
屋内の高い場所の方が、よっぽど近い安全地帯と言えよう。

沈みゆく街を見るのは、辛かろう。
しかしながら・・・
もっと冷静に判断した時
「屋根に登るしかない!」という判断ができた者が
結果的に救われているのだ。
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