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10話目 本震2
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千葉県。駅構内。
「えぇ~、こっちも電車止まってんのぉ~。どうしよう・・・。」
都心と同じく、震度7を記録した千葉県では
交通網が麻痺していた。
昨夜遅くまで仕事を行っていた紗代は、始発で帰ろうとした。
しかし、未明に襲った本震の影響で
午前6時
構内に流れるアナウンスは、全線ストップの表示のみだ。
既に、人でごった返すホーム。
人流を観察しているだけでも目眩がしそうになる。
急いで、タクシー乗り場に向かうも
もう遅い。
長蛇の列ができた最後尾に並ぶ勇気もない。
「どーすんのよぉ!帰れないじゃなーい!」
周囲を見渡すと、駅前のコンビニにも人が屯していた。
「そうだ、朝ごはん食べてない!」
紗代は、コンビニにて朝食代わりにおにぎりと飲み物を買い、一度冷静になろうとする。
駅の外に居ても響き渡る、駅員の現状報告。
他の職員に詰め寄るスーツ姿の客。
中には、外国人旅行者であろうか?スーツケースや大荷物を抱えた客もいる。
この季節、朝早かろうが温度は高い。
更に、人々のボルテージが上がり、体感温度は恐らく予想より高いだろう。
額にじわりと流れる汗をハンカチでふき取ると
紗代は駅から離れる様に、颯爽と歩き出す。
状況から考えるに、電車が動き出すには半日はかかる。
その前に、駅から離れた地点で移動手段を掴む事にしたのだ。
暫く歩くと、バス停に数名の客を見つけた。
「あのぉ、ここのバスって動いてるんですか?」
「あぁ、さっき一本来たよ?10分遅れだけど・・・。」
「そうなんですね、良かった。」
「南房総の方は酷いらしいですよ。一部じゃ液状化した所があるって噂ですよ。」
「っえ・・・そうなんですか・・・。」
「震源地とかって分かりますか?」
「さっき携帯で確認したら、東京だって。」
「東京・・・。」
つい数日前まで手を加えていた地震に纏わる文章を思い出す。
あの文章にも、段階を踏んで災害が広がっていく事を予想した
シミュレーションのような記事が合った。
大方、そのシミュレーションをなぞる様に、事が動いているような気がしてならない。
「そ、そうだ・・・。」
紗代は慌てて携帯を取り出し、電話を掛ける。
しかし、大きな地震の直後だ。つながる筈もない。
落胆するにはまだ早い。
電話がダメなら、直接会いに行けばいい事だ。
幸い、前回の地震では人的被害は殆ど放送されていなかった。
今回もきっと大丈夫。
定時より15分遅れのバスに乗り込んだ紗代は
目的地を自宅から、ある場所へと変更し
その目的地へと急ぐのであった。
「えぇ~、こっちも電車止まってんのぉ~。どうしよう・・・。」
都心と同じく、震度7を記録した千葉県では
交通網が麻痺していた。
昨夜遅くまで仕事を行っていた紗代は、始発で帰ろうとした。
しかし、未明に襲った本震の影響で
午前6時
構内に流れるアナウンスは、全線ストップの表示のみだ。
既に、人でごった返すホーム。
人流を観察しているだけでも目眩がしそうになる。
急いで、タクシー乗り場に向かうも
もう遅い。
長蛇の列ができた最後尾に並ぶ勇気もない。
「どーすんのよぉ!帰れないじゃなーい!」
周囲を見渡すと、駅前のコンビニにも人が屯していた。
「そうだ、朝ごはん食べてない!」
紗代は、コンビニにて朝食代わりにおにぎりと飲み物を買い、一度冷静になろうとする。
駅の外に居ても響き渡る、駅員の現状報告。
他の職員に詰め寄るスーツ姿の客。
中には、外国人旅行者であろうか?スーツケースや大荷物を抱えた客もいる。
この季節、朝早かろうが温度は高い。
更に、人々のボルテージが上がり、体感温度は恐らく予想より高いだろう。
額にじわりと流れる汗をハンカチでふき取ると
紗代は駅から離れる様に、颯爽と歩き出す。
状況から考えるに、電車が動き出すには半日はかかる。
その前に、駅から離れた地点で移動手段を掴む事にしたのだ。
暫く歩くと、バス停に数名の客を見つけた。
「あのぉ、ここのバスって動いてるんですか?」
「あぁ、さっき一本来たよ?10分遅れだけど・・・。」
「そうなんですね、良かった。」
「南房総の方は酷いらしいですよ。一部じゃ液状化した所があるって噂ですよ。」
「っえ・・・そうなんですか・・・。」
「震源地とかって分かりますか?」
「さっき携帯で確認したら、東京だって。」
「東京・・・。」
つい数日前まで手を加えていた地震に纏わる文章を思い出す。
あの文章にも、段階を踏んで災害が広がっていく事を予想した
シミュレーションのような記事が合った。
大方、そのシミュレーションをなぞる様に、事が動いているような気がしてならない。
「そ、そうだ・・・。」
紗代は慌てて携帯を取り出し、電話を掛ける。
しかし、大きな地震の直後だ。つながる筈もない。
落胆するにはまだ早い。
電話がダメなら、直接会いに行けばいい事だ。
幸い、前回の地震では人的被害は殆ど放送されていなかった。
今回もきっと大丈夫。
定時より15分遅れのバスに乗り込んだ紗代は
目的地を自宅から、ある場所へと変更し
その目的地へと急ぐのであった。
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