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8話目 予言
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ホームレス達との出会いから3日が過ぎた。
フリーになって、宅配を頼む頻度も増え
自宅に山となった段ボールを彼等と共に運び出し、彼等の家の修復も手伝った。
ソレが終わる頃には、航の名はホームレスの間でも有名になった。
「おう、今日も来たのか。航君。」
「鈴木さん、こんにちは。あんまり飲み過ぎないでよ?最近暑いんだから。水分優先!」
「ひ~、手厳しいねぇ。」
「ヤマさんは?」
「奥に居るよ。」
「ヤマさん」とは、ジョージさんに紹介された、このコミュニティーのリーダーだ。
以前は占い師として高名だったらしい。テレビに出た事も有るとか。
しかし、それはもう過去の栄光だ。
ある時期からヤマさんは占いを外す様になり、今までの事はインチキであったのだと
方々から叩かれるようになり
最終的に、破産まで追い込まれた。
しかし、このコミュニティーの面々は、ヤマさんを神の様に扱っている。
というのも、数日前の地震を言い当てたそうだ。
その結果、人的被害が出なかったそうだ。
「ヤマさん。」
「んぁ?なんじゃい。小坊主か。」
ブルーシートで作られた簡易テントから現れたのは
70代後半の老人だ。
見てくれこそ汚らしいお爺さんなのだが、彼の力は本物だった。
昨日の事だ。
その日の修復作業を終え、ジョージさんと軽く話をした後
俺は、自転車に跨った。
そして、漕ぎ出そう。というその時
1人の老人がハンドルを握り、出発を止めて来たのだ。
「おいおい待たんかい、小坊主。今行ったらあかん。」
「ん?お爺ちゃん危ないよ。俺帰って夕飯にしないと・・・。」
「待たんか。今はダメだ。」
「航君、ヤマさんの言う通りにしてやってくれ。」
突然、止められたことに困惑しているとジョージさんも止めに来た。
渋々、自転車を降り老人の前へ。
「帰るのはあと10分。待ちな。」
「何で?」
「ケガぁ、するぞ。」
「・・・え?」
「ヤマさんは元々占い師だったんだよ。これが当たるのなんの・・・。」
そして、その日
帰路の途中にある交差点で
バイクと乗用車の衝突事故が起きた。
しかも、その時間は航がちょうどそこを通っていたであろうタイミングでだ。
片方の信号が突然停電となり
それに気付かなかった車が、走行中のバイクを跳ねたそうだ。
騒然となった現場を目の当たりに
航はヤマさんに止められた事を思い出す。
「・・・あのバイクが・・・俺だったって事かよ・・・。」
そして、今日
そのお礼も兼ねて、ヤマさんの元へやって来たのだ。
しかし、ヤマさんの口から出た次なる予言は、皆を不安にさせた。
「小坊主、皆を集めてくれ。」
「うん・・・分かったよ。」
・・・・・。
「という事で、皆。悪いが修復作業は一時中断だ。支度を始めてくれ。」
それを聞くなり、皆は慌ただしく支度を開始した・・・。
フリーになって、宅配を頼む頻度も増え
自宅に山となった段ボールを彼等と共に運び出し、彼等の家の修復も手伝った。
ソレが終わる頃には、航の名はホームレスの間でも有名になった。
「おう、今日も来たのか。航君。」
「鈴木さん、こんにちは。あんまり飲み過ぎないでよ?最近暑いんだから。水分優先!」
「ひ~、手厳しいねぇ。」
「ヤマさんは?」
「奥に居るよ。」
「ヤマさん」とは、ジョージさんに紹介された、このコミュニティーのリーダーだ。
以前は占い師として高名だったらしい。テレビに出た事も有るとか。
しかし、それはもう過去の栄光だ。
ある時期からヤマさんは占いを外す様になり、今までの事はインチキであったのだと
方々から叩かれるようになり
最終的に、破産まで追い込まれた。
しかし、このコミュニティーの面々は、ヤマさんを神の様に扱っている。
というのも、数日前の地震を言い当てたそうだ。
その結果、人的被害が出なかったそうだ。
「ヤマさん。」
「んぁ?なんじゃい。小坊主か。」
ブルーシートで作られた簡易テントから現れたのは
70代後半の老人だ。
見てくれこそ汚らしいお爺さんなのだが、彼の力は本物だった。
昨日の事だ。
その日の修復作業を終え、ジョージさんと軽く話をした後
俺は、自転車に跨った。
そして、漕ぎ出そう。というその時
1人の老人がハンドルを握り、出発を止めて来たのだ。
「おいおい待たんかい、小坊主。今行ったらあかん。」
「ん?お爺ちゃん危ないよ。俺帰って夕飯にしないと・・・。」
「待たんか。今はダメだ。」
「航君、ヤマさんの言う通りにしてやってくれ。」
突然、止められたことに困惑しているとジョージさんも止めに来た。
渋々、自転車を降り老人の前へ。
「帰るのはあと10分。待ちな。」
「何で?」
「ケガぁ、するぞ。」
「・・・え?」
「ヤマさんは元々占い師だったんだよ。これが当たるのなんの・・・。」
そして、その日
帰路の途中にある交差点で
バイクと乗用車の衝突事故が起きた。
しかも、その時間は航がちょうどそこを通っていたであろうタイミングでだ。
片方の信号が突然停電となり
それに気付かなかった車が、走行中のバイクを跳ねたそうだ。
騒然となった現場を目の当たりに
航はヤマさんに止められた事を思い出す。
「・・・あのバイクが・・・俺だったって事かよ・・・。」
そして、今日
そのお礼も兼ねて、ヤマさんの元へやって来たのだ。
しかし、ヤマさんの口から出た次なる予言は、皆を不安にさせた。
「小坊主、皆を集めてくれ。」
「うん・・・分かったよ。」
・・・・・。
「という事で、皆。悪いが修復作業は一時中断だ。支度を始めてくれ。」
それを聞くなり、皆は慌ただしく支度を開始した・・・。
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