2 / 34
2話目 望月 紗代という女
しおりを挟む
千葉県某所。ある新聞社で働く女性
「望月 紗代」
年齢30歳。
学生時代からとても生真面目で
クラスに必ず一人は居たであろう「委員長」タイプだった彼女。
父親が新聞記者であった影響からか
当時から、時世の事についてはとても博識だった。
「望月さん、コレ後で課長に渡してくれる?」
「はい?あぁ、昨日のインタビュー記事ですね。分かりました。」
デスクの前に座る彼女の机は
何時も資料の山だ。
無理もない。彼女の主な業務。
それは、記事の校閲だ。
記事の誤字脱字、間違った引用や言い回しなど
数回にわたり確認し、記者との間で修正業務に当たるのが彼女の役目だ。
仕事の性質上
彼女が定時で上がる事は殆どない。
気付けば11時間・12時間勤務していた事の方がザラである。
「それじゃ、先輩。お先に失礼します。」
「はーい、気を付けてね~。」
そして、周囲を見渡せば、またお決まりの「ひとりぼっち」である。
しかし、彼女の本領発揮はここからである。
邪魔の入らなくなった広いスペースで、ポツンと一人
普段とは比較にならない速さで、仕事をこなしていく。
記事に間違いを見つけては、マーカーで線を引いていき
ちょっとしたアドバイスを書き込む。
溜まった記事も、残業3時間という短いスパンで終わらせることが出来た。
「ふぅ~。」
目頭を押さえつつ、背もたれに深く倒れ込む紗代。
途端にスイッチの切れた彼女は、もうクタクタだ。
そんな彼女の視界に、1枚の資料が目に映る。
「・・・火山性微動?」
昨今の日本では、珍しくもない言葉だ。
活火山の影響により、人間では捉える事が出来ない程の微弱な揺れ。
それが「火山性微動」だ。
そして、その揺れの状態によって、噴火なり地震なりの予兆を捉える事が出来る。
こと最近のテーマとしては、何も目新しいキーワードではない。
だが、彼女の目にその資料が止まった事は、偶然だろう。
「火山性微動によってもたらされる噴火と地震。その後の影響について・・・か。
たま~にこういう特集、テレビでも見るけど今一実感湧かないのよね。」
実感が湧かない。
・・・本当か?
日本において、尤も多くの死者数を出している天災を知っているか?
それは「津波」である。
その「津波」の初動として起こる天災・・・それが「地震」である。
「津波」という観点から「地震」を見ると
震源地が日本に近ければ近い程、「津波」の影響はそこまでではない。
では、どういった「津波」が恐ろしいのか。
それは、日本に近い「海外」で地震が起きた場合。である。
海外で巨大な地震が起きた際
そのエネルギーは、放射線状に波及していく。
結果、地震エネルギーが海へと移り、津波に変わる。
そして、扇状に広がった津波が、波のエネルギーを取り込み
勢いを増しながら日本に届くのだ。
そして、彼女が住んでいるのは
「日本の千葉県」だ。
・・・海に面している土地だ。
本当に・・・実感が湧かない。そんな態度で良い物か・・・?
「望月 紗代」
年齢30歳。
学生時代からとても生真面目で
クラスに必ず一人は居たであろう「委員長」タイプだった彼女。
父親が新聞記者であった影響からか
当時から、時世の事についてはとても博識だった。
「望月さん、コレ後で課長に渡してくれる?」
「はい?あぁ、昨日のインタビュー記事ですね。分かりました。」
デスクの前に座る彼女の机は
何時も資料の山だ。
無理もない。彼女の主な業務。
それは、記事の校閲だ。
記事の誤字脱字、間違った引用や言い回しなど
数回にわたり確認し、記者との間で修正業務に当たるのが彼女の役目だ。
仕事の性質上
彼女が定時で上がる事は殆どない。
気付けば11時間・12時間勤務していた事の方がザラである。
「それじゃ、先輩。お先に失礼します。」
「はーい、気を付けてね~。」
そして、周囲を見渡せば、またお決まりの「ひとりぼっち」である。
しかし、彼女の本領発揮はここからである。
邪魔の入らなくなった広いスペースで、ポツンと一人
普段とは比較にならない速さで、仕事をこなしていく。
記事に間違いを見つけては、マーカーで線を引いていき
ちょっとしたアドバイスを書き込む。
溜まった記事も、残業3時間という短いスパンで終わらせることが出来た。
「ふぅ~。」
目頭を押さえつつ、背もたれに深く倒れ込む紗代。
途端にスイッチの切れた彼女は、もうクタクタだ。
そんな彼女の視界に、1枚の資料が目に映る。
「・・・火山性微動?」
昨今の日本では、珍しくもない言葉だ。
活火山の影響により、人間では捉える事が出来ない程の微弱な揺れ。
それが「火山性微動」だ。
そして、その揺れの状態によって、噴火なり地震なりの予兆を捉える事が出来る。
こと最近のテーマとしては、何も目新しいキーワードではない。
だが、彼女の目にその資料が止まった事は、偶然だろう。
「火山性微動によってもたらされる噴火と地震。その後の影響について・・・か。
たま~にこういう特集、テレビでも見るけど今一実感湧かないのよね。」
実感が湧かない。
・・・本当か?
日本において、尤も多くの死者数を出している天災を知っているか?
それは「津波」である。
その「津波」の初動として起こる天災・・・それが「地震」である。
「津波」という観点から「地震」を見ると
震源地が日本に近ければ近い程、「津波」の影響はそこまでではない。
では、どういった「津波」が恐ろしいのか。
それは、日本に近い「海外」で地震が起きた場合。である。
海外で巨大な地震が起きた際
そのエネルギーは、放射線状に波及していく。
結果、地震エネルギーが海へと移り、津波に変わる。
そして、扇状に広がった津波が、波のエネルギーを取り込み
勢いを増しながら日本に届くのだ。
そして、彼女が住んでいるのは
「日本の千葉県」だ。
・・・海に面している土地だ。
本当に・・・実感が湧かない。そんな態度で良い物か・・・?
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
絶世のディプロマット
一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。
レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。
レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。
※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
年下の地球人に脅されています
KUMANOMORI(くまのもり)
SF
鵲盧杞(かささぎ ろき)は中学生の息子を育てるシングルマザーの宇宙人だ。
盧杞は、息子の玄有(けんゆう)を普通の地球人として育てなければいけないと思っている。
ある日、盧杞は後輩の社員・谷牧奨馬から、見覚えのないセクハラを訴えられる。
セクハラの件を不問にするかわりに、「自分と付き合って欲しい」という谷牧だったが、盧杞は元夫以外の地球人に興味がない。
さらに、盧杞は旅立ちの時期が近づいていて・・・
シュール系宇宙人ノベル。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ゲノム~失われた大陸の秘密~
Deckbrush0408
ファンタジー
青年海外協力隊としてアフリカに派遣された村田俊は、突如として起きた飛行機事故により神秘の大陸「アドリア大陸」に漂着する。
未知の土地で目を覚ました彼は、魔法を操る不思議な少年、ライト・サノヴァと出会う。
ライトは自分の過去を探るために、二人は共に冒険を始めることに。
果たして、二人はアドリア大陸の謎を解き明かし、元の世界に帰る方法を見つけることができるのか?そして、ライトの出生にまつわる真実とは何なのか?
冒険の果てに待ち受ける真実が、彼らの運命を大きく変えていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる