331 / 336
(現段階では)最終章 ~後に新たな話も追加されるかも~
人食い民家 2
しおりを挟む
件の一軒家から徒歩数分。
我々はあるカフェで顔を突き合わせた。
「視ての通りだろ。何か聴こえなかったか?」
「何かって言われてもな・・・。ただ、あそこは異常だよ。
今まで、いろんな所を見てきたり聞いたりしてきたけど
それらの体験が可愛く思える。」
「そうか・・・。」
私の性格や経験上
「理解を超える現象」が尤も恐ろしい。
そういった場面では「理解できない事」は「多々ある」。
それらは時間をかけ「紐解いていけば理由がある」のだ。
しかし、桑名さんの自宅においては、その「理由」が皆目見当もつかない。
普段であれば、推論くらい立てられそうなものなのだが・・・。
「一度、桑名さん本人か娘さんに会えないかな?」
「・・・分かった。聞いとくよ。」
そうして、叶った面談の日。
親子揃っての面談になり、詳細を聞く事になった。
遡る事、1年ほど前
桑名さんの娘さんが、ある事に気付く。
それは、貸家の出入りが「激しくなった」事だ。
1~2年の間に、5組以上の借主が入れ替わり立ち代わり入ったそうだ。
しかし、その殆どが半年と持たず出て行く。
ソレを奇妙に感じた娘さんによって
当時、借主であった「最後の住人」と連絡を取り合う仲となった。
以下、娘さんの証言だ。
「最初に連絡を取った時に感じたのは『ちょっと根暗そうだな』という印象でした。
会話をしていても、返事に覇気がないというか・・・元気に見えなくて。
でも、話をしている分には、ごく普通の人だった。」
そして、彼女の証言によってある事が判明する。
「退去すると連絡があった時も、予定日の約束した時間に鍵を返しに来なかったんです。
それで、実家(貸家)を訪れたら、ポストに鍵だけ入れて合って・・・。
忘れ物とか、破損個所とかあったら連絡しなきゃと思って中を確認したんです。
そしたら、あの有り様で・・・。」
彼女は、最後の住人と直接やり取りを交わした訳ではなかった。
後の連絡で分かった事だが
最後に住んでいたその住人とは、既に連絡が取れない状態であったそうだ。
恐らくは、家を出たその日にはもう「音信不通」の状態であったに違いない。
より詳しく話を聞いた我々は、後日改めて桑名さん宅を訪れた。
「なぁ、クポー。なんで経本がカーペットみたいになってるんだよ。しかも両角だけ。」
「・・・考えられるのは『結界』の代わりだな・・・。」
「なんで結界なんて・・・。」
「家具が全部、逆さなのも変だよ。これにも何か意味があったんだと俺は思う。」
「逆手拍手・・・的な?」
「お前、アレ知ってたんだ。・・・俺は信じてないけどな。」
「えぇ~、マジかよ。」
下らない話や考察を交えつつ、我々はリビングに棒立ちだ。
目の前に広がる異質な空間に、慣れないからだ・・・。
それでも、何かしら成果を挙げなければと、内心焦っていた私である・・・。
我々はあるカフェで顔を突き合わせた。
「視ての通りだろ。何か聴こえなかったか?」
「何かって言われてもな・・・。ただ、あそこは異常だよ。
今まで、いろんな所を見てきたり聞いたりしてきたけど
それらの体験が可愛く思える。」
「そうか・・・。」
私の性格や経験上
「理解を超える現象」が尤も恐ろしい。
そういった場面では「理解できない事」は「多々ある」。
それらは時間をかけ「紐解いていけば理由がある」のだ。
しかし、桑名さんの自宅においては、その「理由」が皆目見当もつかない。
普段であれば、推論くらい立てられそうなものなのだが・・・。
「一度、桑名さん本人か娘さんに会えないかな?」
「・・・分かった。聞いとくよ。」
そうして、叶った面談の日。
親子揃っての面談になり、詳細を聞く事になった。
遡る事、1年ほど前
桑名さんの娘さんが、ある事に気付く。
それは、貸家の出入りが「激しくなった」事だ。
1~2年の間に、5組以上の借主が入れ替わり立ち代わり入ったそうだ。
しかし、その殆どが半年と持たず出て行く。
ソレを奇妙に感じた娘さんによって
当時、借主であった「最後の住人」と連絡を取り合う仲となった。
以下、娘さんの証言だ。
「最初に連絡を取った時に感じたのは『ちょっと根暗そうだな』という印象でした。
会話をしていても、返事に覇気がないというか・・・元気に見えなくて。
でも、話をしている分には、ごく普通の人だった。」
そして、彼女の証言によってある事が判明する。
「退去すると連絡があった時も、予定日の約束した時間に鍵を返しに来なかったんです。
それで、実家(貸家)を訪れたら、ポストに鍵だけ入れて合って・・・。
忘れ物とか、破損個所とかあったら連絡しなきゃと思って中を確認したんです。
そしたら、あの有り様で・・・。」
彼女は、最後の住人と直接やり取りを交わした訳ではなかった。
後の連絡で分かった事だが
最後に住んでいたその住人とは、既に連絡が取れない状態であったそうだ。
恐らくは、家を出たその日にはもう「音信不通」の状態であったに違いない。
より詳しく話を聞いた我々は、後日改めて桑名さん宅を訪れた。
「なぁ、クポー。なんで経本がカーペットみたいになってるんだよ。しかも両角だけ。」
「・・・考えられるのは『結界』の代わりだな・・・。」
「なんで結界なんて・・・。」
「家具が全部、逆さなのも変だよ。これにも何か意味があったんだと俺は思う。」
「逆手拍手・・・的な?」
「お前、アレ知ってたんだ。・・・俺は信じてないけどな。」
「えぇ~、マジかよ。」
下らない話や考察を交えつつ、我々はリビングに棒立ちだ。
目の前に広がる異質な空間に、慣れないからだ・・・。
それでも、何かしら成果を挙げなければと、内心焦っていた私である・・・。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

アレンジ可シチュボ等のフリー台本集77選
上津英
大衆娯楽
シチュエーションボイス等のフリー台本集です。女性向けで書いていますが、男性向けでの使用も可です。
一人用の短い恋愛系中心。
【利用規約】
・一人称・語尾・方言・男女逆転などのアレンジはご自由に。
・シチュボ以外にもASMR・ボイスドラマ・朗読・配信・声劇にどうぞお使いください。
・個人の使用報告は不要ですが、クレジットの表記はお願い致します。
すべて実話
さつきのいろどり
ホラー
タイトル通り全て実話のホラー体験です。
友人から聞いたものや著者本人の実体験を書かせていただきます。
長編として登録していますが、短編をいつくか載せていこうと思っていますので、追加配信しましたら覗きに来て下さいね^^*

本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる