骸行進

メカ

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筆者(メカ)の経験談。

スジモノの懇願 4

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暫くの沈黙の後「棟梁」は語り出す。

「そりゃあな、一度は真っ当な手段で対応策を練ろうとしたもんだ。
・・・だがな、今坊主が思ってる程、世間は優しくねぇのよ。」

聞けば、孫の一連の事故以来
既に3軒、プロの手合いの元を訪れたという。

最初こそ、快く受け入れる彼等だが、話を進めていくに連れ
「棟梁」の「職」を察し「受け入れできない」と門前払いを食らったという。

「何も、俺達だってな。誰彼構わず堅気に手を出すバカじゃねぇ。
だけどな、世の中ってのはそういうモンなんだよ。
それでも、何とかならねぇか?ってもがいた結果、坊主が使ってたネットに行き着いた。
だがよ、俺は元々パソコンなんて使った事すらねぇからな?
そこら辺は全部、娘に任せてたのよ。」

・・・長い事こういう活動を続けて来た私だが
当時からずっと変わらないものがある。
それは「自身の体験談などを語る語り手」が「少ない」こと。

ホラー系の話を投稿する者は、一定数居る。
だが、その殆どは「知り合いや赤の他人の話」とか「創作系」とかの類が多い。

「知り合いなどの話」も大部分は「解決した後、聞いた話」であり
当時、リアルタイムで首を突っ込んでいた。という話は殆ど存在しないだろう。

「棟梁の娘」にとって「私の投稿」はまさに
今風の言い方をするならば「リアルタイムに首を突っ込む系投稿者」だった訳だ。

「娘が、坊主の書き込みを見つけて
どうもテレビ中継の真似事みたいな事するっていうじゃねぇか。
それなら、其処に行ってそいつ等連れてこい。ってのがこの間の連中よ。」

「なるほど、そういった経緯が・・・。」

だが、前回記事でも語ったように
この時の私は、極度の緊張状態から「既に起こっていたであろう異変」に気付いていない。

その結果、現地でのコンタクトでは「何もない(感じない)」と答えている。

帰宅した後、私は携帯の画面を眺めた。

現地で撮らせてもらった数枚の「グッズ」写真。
それを眺めていたのだ。

正確に、どの程度前に買われた物なのか、聞いていなかった為に
小さな汚れですら「長さ」を感じるものだ。

孫の話から、当時愛用していた持ち運び用のゲームに
ストラップとして付けていたそうだ。
写真を拡大して、漸く分かる程度の塗装の剥げなど
正しく「歴史」だろう。

しかし、此処で疑問が生じる。

「ゲーム機にストラップとして・・・か。」

となると「棟梁」の話と符合しない部分がある。

プールに行った際
母子は共に「キーホルダーは置いて行った。」との趣旨を話した。
それはつまり
「ゲーム機を置いて行った。」という事か?
そして「ゲーム機に付いていた筈のキーホルダー」が「プールに沈んでいた?」

実に奇妙な話である。

この不可解な矛盾に頭を抱えた私は、当時知り合ったばかりのX氏を頼る事にしたのだ。
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