骸行進

メカ

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筆者(メカ)の経験談。

スジモノの懇願 1

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こんな活動をしていると、極稀に
「心霊より、よっぽど恐ろしい状況」に出くわす事がある。

いわゆる「ヒトコワ」と呼ばれる部類の話なのだが・・・。

今回の話は、「関わった人物」こそが、この「ヒトコワ」なのだが
それが一番、シンプル且つ凶悪的な話である。
(蓋を開ければ、ただの心霊体験なのだが・・・。)

中学生時代。
ある掲示板にて・・・。
私は、友人たちと共に行く心霊スポットについて「告知」を行った。
その上で、どの様な調査を行うか「意見」を募った。

そして、調査当日。
掲示板に募った「意見」を元に「実況形式の投稿」を行い
仲間たちと帰り支度を行っていた。

各々、停めていた自転車の付近で「感想を述べ合う」時間。
一筋の白い光が、我々を包む。

車のヘッドライトだ。

数メートル先に止まった車。
直後、聞こえる「バンッ、バンッ」という扉を閉める音。

どうやら数人の人間が降りて来た様だ。

「お前らが○○(掲示板名)で投稿してたガキ共か?」

ヘッドライトに照らされた人間達の顔は良く見えない。
だが、背格好だけでも分かる「大人」だ。

「はい。そうです・・・。おっさん達は?」

友人の一人が応える。

「あぁ、誰がおっさんだよ。クソガキがよぉ。で、メカってのはどのガキだ?あ?」

その場に居たメンバーの全員が、このやり取りだけで相手の職業が分かった事だろう。
一同が、無言の圧力を目線に乗せて私を見つめる。

「お前か。ちょっとこっちこいや。」

先ほど、友人に食って掛かった勢いとは別に、妙に落ち着いたトーンで話しかけて来る男。

10代の半ばも行かない少年が、大人たちの車に乗せられる光景を
仲間たちはただ、無言のまま見つめていた。

車の後部座席に乗せられた私は、車内に充満する煙草の匂いに一瞬むせた。

「あぁ、ごめんねぇ。ちゃんと換気出来てなかったか。」

運転席に座っていた男が、咥え煙草のまましゃべる。
直後、その男はコーヒー缶に煙草を落とし、火を消した。

「君の投稿。見たよ。アレ・・・本当なの?」

「アレ?・・・って。」

「トンネルの。」

それは、私が聴こえる体質になった切っ掛けを綴った体験談の事だった。

「実はね。ちょっと来て欲しい所があるのよ。おっさん達とね。」

「・・・。」

「あぁ、怖がらないでも都合の付く時で良いから。
・・・ただねぇ、この事はお互いの為にもあまりしゃべらん方が良いと思うのよ。
オニーチャンもまだ学生さんだろ?だから、ね。」

運転席の男は、それだけ話すと懐から名刺を出してきた。

「都合の良い時、此処に連絡して欲しいのよ。ちょっと話を聞いてほしくてねぇ。
まぁ、それだけだから。あとはもう帰っていいよ。」

そう言うと、後部座席の扉が開き、帰る様促された。

ほんの数分で帰って来た私を、友人たちは張り詰めた顔で出迎え
去っていく車を確認し、互いに安堵の言葉を交わした・・・。
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