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呪物
マニアの遺品 4
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帰宅した和希さんは、絶句した。
捨てた。間違いなく捨てた筈だ。
この帰り道で。河川敷から川へ。
だが、捨てた筈のくるみ割り人形が、母の飾り棚の中に鎮座しているのだ。
この手の話では「翌日帰って来る」がお決まりじゃないのか?
その晩。
彼は思わず母に尋ねた。
「母さん、今日あのくるみ割り人形、無くなったりした?」
「え?何言ってんの。ずっとあったわよ。」
「そう。」
「何よ。」
「いや、帰って来た時、見当たらないなと思ったんだけど気のせいだったんだね。」
苦しい誤魔化し方だった。
数日後、両親の不在を狙って
今度は遺品のノートを燃やした。
その昼下がり・・・「嘘だろ!?」となる出来事があった。
自室の机の上に・・・あるのだ。
兄のノートが。
彼は慌てて、燃えカスとなった残骸を入れたビニール袋を確認した。
「・・・ある。」
残骸もしっかりと残っていた。
「そんな・・・バカな・・・。」
彼は、机のノートと母の棚からくるみ割り人形を持ち出し
その人形の手足を叩き割り、燃えカスと同じビニール袋に詰めた。
自宅から出た彼は、自転車に乗り
可能な限り遠くの川へ、その袋を投げ捨てた。
息を切らせながら自宅へ着いた彼は、両親が帰るまでひと眠りした。
その内、母が帰宅する。
「ただいま、和希?居るの?買い物、冷蔵庫に入れて!」
母の声に素早く反応し、彼はキッチンへと向かう。
母から荷物を受け取った彼は、その荷物を床へ落とした。
「何してるの!ちゃんと持ってよ!」
「・・・か、母さん。ソレ・・・どうしたの。」
母の腕に抱えられていた物に既視感を覚えた。
「ソレって・・・。職場の○○さんも、こういうの好きで実物を見せて欲しいって言うから
今朝、仕事に持って行ったのよ。」
「・・・そんな。」
母は説明をしながら「ソレ」を棚に戻す。
「まさか・・・」
彼は急いで自室へ戻る。
だが、机には何もない。
「和希!荷物!」
安堵した彼に母は怒鳴る。
父も帰り、食卓を囲む中
彼は気が気ではなかった。「アレ」が棚にある。
それ自体、意味が分からない。
一目散に食事を終えた彼は、田上に連絡する事を決意する。
「もしもし?」
「あ、田上さん?先日、連絡した和希です。」
「あぁ、和希君。どうしたんです?」
「あれから、兄のノートとくるみ割り人形について、かなり奇妙な事が・・・。」
「・・・ゆっくりでいいから、最初から詳細を教えてくれる?」
「分かりました。」
田上への連絡は、延べ2時間近くにも及んだという。
しかし、詳細を語るだけで
実際のアドバイスなどは、再び
田上と落ち合う事となったそうだ。
捨てた。間違いなく捨てた筈だ。
この帰り道で。河川敷から川へ。
だが、捨てた筈のくるみ割り人形が、母の飾り棚の中に鎮座しているのだ。
この手の話では「翌日帰って来る」がお決まりじゃないのか?
その晩。
彼は思わず母に尋ねた。
「母さん、今日あのくるみ割り人形、無くなったりした?」
「え?何言ってんの。ずっとあったわよ。」
「そう。」
「何よ。」
「いや、帰って来た時、見当たらないなと思ったんだけど気のせいだったんだね。」
苦しい誤魔化し方だった。
数日後、両親の不在を狙って
今度は遺品のノートを燃やした。
その昼下がり・・・「嘘だろ!?」となる出来事があった。
自室の机の上に・・・あるのだ。
兄のノートが。
彼は慌てて、燃えカスとなった残骸を入れたビニール袋を確認した。
「・・・ある。」
残骸もしっかりと残っていた。
「そんな・・・バカな・・・。」
彼は、机のノートと母の棚からくるみ割り人形を持ち出し
その人形の手足を叩き割り、燃えカスと同じビニール袋に詰めた。
自宅から出た彼は、自転車に乗り
可能な限り遠くの川へ、その袋を投げ捨てた。
息を切らせながら自宅へ着いた彼は、両親が帰るまでひと眠りした。
その内、母が帰宅する。
「ただいま、和希?居るの?買い物、冷蔵庫に入れて!」
母の声に素早く反応し、彼はキッチンへと向かう。
母から荷物を受け取った彼は、その荷物を床へ落とした。
「何してるの!ちゃんと持ってよ!」
「・・・か、母さん。ソレ・・・どうしたの。」
母の腕に抱えられていた物に既視感を覚えた。
「ソレって・・・。職場の○○さんも、こういうの好きで実物を見せて欲しいって言うから
今朝、仕事に持って行ったのよ。」
「・・・そんな。」
母は説明をしながら「ソレ」を棚に戻す。
「まさか・・・」
彼は急いで自室へ戻る。
だが、机には何もない。
「和希!荷物!」
安堵した彼に母は怒鳴る。
父も帰り、食卓を囲む中
彼は気が気ではなかった。「アレ」が棚にある。
それ自体、意味が分からない。
一目散に食事を終えた彼は、田上に連絡する事を決意する。
「もしもし?」
「あ、田上さん?先日、連絡した和希です。」
「あぁ、和希君。どうしたんです?」
「あれから、兄のノートとくるみ割り人形について、かなり奇妙な事が・・・。」
「・・・ゆっくりでいいから、最初から詳細を教えてくれる?」
「分かりました。」
田上への連絡は、延べ2時間近くにも及んだという。
しかし、詳細を語るだけで
実際のアドバイスなどは、再び
田上と落ち合う事となったそうだ。
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