骸行進

メカ

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呪物

マニアの遺品 1

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今回の話は10代の青年「和希(仮名)さん」の話だ。

彼には歳の離れた兄がいた。
既に自立し、実家も出ていた。
彼が幼い頃は、まさに絵に描いた「父親代わり」だったそうだ。

しかし
その兄にも一つ、身内ですら首をかしげる趣味があった。

「曰く付き物品」の収集癖だ。

彼の兄が「曰く好き物品」に傾倒していったのは
彼が中学生に上がりたての頃だったという。

気味の悪い趣味に、両親と衝突する事も増えた。
そして、社会人になると同時に飛びだす様に実家を出たのだという。

それから数年後。
彼の兄は亡くなった。
病死だったそうだ。
彼の兄は自宅アパートのリビングで
ソファに腰かけたままの状態で亡くなっていたそうだ。
最悪だったのは、発見が遅れた事だった。
死後二ヶ月以上は経っているだろう。との見解だったそうだ。

発見当初は、警察も介入する大騒ぎになった。
直ぐに事件性はない。と引き上げる事になったそうだが
一部の遺品については遺留物・証拠品として預かりになったそうだ。

そして、葬儀終盤。
父の携帯に一本の電話が入る。
電話の相手は警官だった。

署内で預かっていたという「兄の遺品」について。
調査が終わり、返却の為の連絡をしてきたそうだ。

しかし・・・。
父は「兄の遺品」を受け居り拒否したのだ。

理由は他でもない
「あんな薄気味の悪いモノ、家に置いておけない!」という一念だった。

でも、父は知らない。
既に実家にも、和希さんによって「得体の知れないモノ」が紛れていた事を。

それは、一冊のノートと小さなくるみ割り人形だった。

ノートの中に書き記されていたのは、これまで彼の兄が集めて来た
コレクションの入手経緯や曰くについて細かく記されていた。
くるみ割り人形については、和希さんの話によると「遺言に従った」と聞き及んでいる。

と言うのも、兄が亡くなる数週間前から頻繁にやり取りを交わす様になっていたのだそうだ。
その中で、病気の事を聞き
「もし亡くなったら、これだけは回収して置いて欲しい。」と頼まれていたそうだ。

その遺言に従って、彼は
兄が亡くなった後、両親には内密に兄の住んでいたアパートの部屋を訪れていたそうだ。

だが、このくるみ割り人形については
兄の遺したノートにも、一切の経緯が記されていなかったのだという。

これらの物品を回収した当初、彼は自室で保管していたそうだが
何を思ったのか、彼はあるイタズラを思いつく。

「この二つの品を、リビングなどの家中に置いて両親が気付くか試そう。」

自身でも分からない謎の興奮が体中を巡ったという。
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