骸行進

メカ

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田舎 1

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今回の話は50代男性「長嶋 久さん」の体験談である。

彼が小学三年生の頃。
八月の暑い時期。彼は両親に連れられて「田舎の実家」へ訪れた。
目的は、祖母のお墓参り。

一通りの流れを終え、住職や顔見知りの参拝者と話す両親。
彼にとってはその時間が退屈だった。
不幸中の幸い、近くには霊園の管理する小さな公園があった。

そこで、両親の会話を待つために遊ぶ事にしたそうだ。

少しの時間が過ぎた頃・・・。
彼は、公園に他の子どもが来ている事に気が付いた。

子供は二人。
親し気に話している姿から、二人は地元の子のようだ。

二人もこちらに気付いたようで、近付いて来る。
気さくに手を振り「こんちは!」とやって来る子供たちと親しくなるのに
そう時間はかからなかった。

二人の名前は「道夫君(みーくん)」「武君(タケちゃん)」だった。

みーくんは地元の子で、タケちゃんは隣町の子だという。
話しによると、その霊園は隣町との境にあり、霊園にある公園は
隣町の子もよく利用するのだという。

思いがけない出会い、時間はあっという間だった。
両親に呼ばれた長嶋少年は、その手を引かれ実家へと帰る。

当然、その道中で彼等との出会いを報告し両親とも笑顔を交わした。

その晩の事だ。

「お爺ちゃん、今日は公園で二人友達が出来たよ。」

「おぉ、こっちで友達が出来たか。なら、何時でもこっちに遊びに来ても良いんだぞ?ヒサ君。」

「分かった!」

「それで、その友達は何て名前の子なんだい?」

「えっとね、みーくんとタケちゃん!」

「そうかそうか、もうあだ名で呼び合える仲か!良かったなぁ、ヒサ君。」

「こらぁ、久・・・あだ名じゃお爺ちゃんも分からないでしょ?道夫君と武君って言うらしいわ。」

「ッ!」

母親が、二人の本名を祖父に教えた時・・・祖父の表情は強張った。

「み、道夫君と・・・武君?」

まるで確認を取る様に、祖父は長嶋少年の顔を覗き込む。

「うん!」

「そ、そうか。二人とも格好いい名前の子だな・・・。」

祖父は明らかに動揺していた。
だが、幼い長嶋少年はその動揺が理解できなかった。

「明日、また遊ぶ約束したんだ!」

「あ・・・あぁ。・・・気を付けて行くんだよ?」

「うん!」

彼の両親は、祖父の異変に気付いていた。

長嶋少年が寝入った後で・・・彼等は聞く事となる。

「随分、昔の事だ。今から2~30年くらい前だったか。
ここいらで奇妙な出来事が続いてな。・・・丁度、ヒサ君位の子供が
何人か行方不明になっちまう事件が起きた。
幸い、その殆どの子は後日無事に保護されたらしい。
・・・でもな、未だに二人・・・見つかってないんだよ。」

「それって・・・まさか・・・。」

「そうだよ、そのまさかさ。
当時、居なくなって見つからないままの二人の子供。
その名前が『道夫君』と『武君』なんだよ。」

その話を聞いた両親も・・・翌朝の顔色は暗かったという。
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