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視える友人「絢女」の話
胸焼け 3
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我々二人の強い勧めで、亜紀さんは恋人の動向を暫くの間「監視」することになった。
「怪しい」という先入観からだろう。
絢女を通じて定期的に舞い込む報告は「彼氏がこれまで以上に可笑しい」という
報告ばかりが挙がって来る。
そして・・・
亜紀さんは、とうとう痺れを切らせ「興信所」まで雇った調査に乗り出した。
彼女がそこまで踏み切った理由は
彼氏の借金返済について、説明と大きな差が生まれたからだ。
彼氏いわく
「あと二月で返済は終わる。」との報告を受けていたそうだ。
しかし、肝心の二月が過ぎても彼は借金の返済を続けていたのだという。
それだけに留まらず、最近では亜紀さんの収入にまで手を付けようとしていたそうだ。
亜紀さんが、明確な状況説明を求める中
彼は必ず言葉を濁し、喧嘩へと発展する。というのが最近の流れだったそうだ。
・・・そして・・・。
興信所からもたらされた調査結果は驚くべきものだった。
付き合っていた彼氏には・・・別の女が居た。
それだけではない。
既にその女と結婚もしており、子供も居たそうだ。
こみ上げる怒りは胸焼けと重なり、大きな吐き気に変わる。
それ以降、亜紀さんは心身ともに不調を来し、実家に引き篭もってしまった。
我々との話し合いは、いわゆるグループチャットのような形で行われていた。
その中で、興信所の報告書類なども写真として見せてもらったが・・・
私はその中で、ある事柄に目が行ったのだ。
亜紀さんの彼氏は「ヘビースモーカー」だったようだ。
だが、私はそのことで「ある疑問」が浮かんだ。
「亜紀さんと直接会った時、それらしい臭いはしなかった。」のだ。
亜紀さん本人だけでなく、彼氏自身も余程気を使っているのか?
普通であれば、それらしい臭いは薄っすらとでも漂ってくるはずだ。
それが、彼女からは一切感じ取れなかったのだ。
「・・・まさか・・・。」
この時点で、私には心当たりが一つ。
私の耳に聴こえていた「ジュッ」という音。
それが、何かしら関連しているのか?
ゴムの擦れる音の様だと認識していたが・・・今にして考えれば
火の音にも近しい音だった。
小さな火に、水を掛け消火する、あの一瞬の合間に聴こえる音。
炭火に水滴や油を一滴、垂らした時のあの音。
正しく、そのような音だ。
それに気付いた時、私は絢女に電話を掛けていた。
私の推論通りなら、絢女に見えていた「蜃気楼の様な者」は「彼氏」で間違いない。
だが、確証が得られない。
故に、彼女の意見も聞くべきだと判断した。
そして、この電話の後
我々は亜紀さんの胸焼けの正体を知る事となる・・・。
「怪しい」という先入観からだろう。
絢女を通じて定期的に舞い込む報告は「彼氏がこれまで以上に可笑しい」という
報告ばかりが挙がって来る。
そして・・・
亜紀さんは、とうとう痺れを切らせ「興信所」まで雇った調査に乗り出した。
彼女がそこまで踏み切った理由は
彼氏の借金返済について、説明と大きな差が生まれたからだ。
彼氏いわく
「あと二月で返済は終わる。」との報告を受けていたそうだ。
しかし、肝心の二月が過ぎても彼は借金の返済を続けていたのだという。
それだけに留まらず、最近では亜紀さんの収入にまで手を付けようとしていたそうだ。
亜紀さんが、明確な状況説明を求める中
彼は必ず言葉を濁し、喧嘩へと発展する。というのが最近の流れだったそうだ。
・・・そして・・・。
興信所からもたらされた調査結果は驚くべきものだった。
付き合っていた彼氏には・・・別の女が居た。
それだけではない。
既にその女と結婚もしており、子供も居たそうだ。
こみ上げる怒りは胸焼けと重なり、大きな吐き気に変わる。
それ以降、亜紀さんは心身ともに不調を来し、実家に引き篭もってしまった。
我々との話し合いは、いわゆるグループチャットのような形で行われていた。
その中で、興信所の報告書類なども写真として見せてもらったが・・・
私はその中で、ある事柄に目が行ったのだ。
亜紀さんの彼氏は「ヘビースモーカー」だったようだ。
だが、私はそのことで「ある疑問」が浮かんだ。
「亜紀さんと直接会った時、それらしい臭いはしなかった。」のだ。
亜紀さん本人だけでなく、彼氏自身も余程気を使っているのか?
普通であれば、それらしい臭いは薄っすらとでも漂ってくるはずだ。
それが、彼女からは一切感じ取れなかったのだ。
「・・・まさか・・・。」
この時点で、私には心当たりが一つ。
私の耳に聴こえていた「ジュッ」という音。
それが、何かしら関連しているのか?
ゴムの擦れる音の様だと認識していたが・・・今にして考えれば
火の音にも近しい音だった。
小さな火に、水を掛け消火する、あの一瞬の合間に聴こえる音。
炭火に水滴や油を一滴、垂らした時のあの音。
正しく、そのような音だ。
それに気付いた時、私は絢女に電話を掛けていた。
私の推論通りなら、絢女に見えていた「蜃気楼の様な者」は「彼氏」で間違いない。
だが、確証が得られない。
故に、彼女の意見も聞くべきだと判断した。
そして、この電話の後
我々は亜紀さんの胸焼けの正体を知る事となる・・・。
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