骸行進

メカ

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視える友人「絢女」の話

胸焼け 1

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数年前の話だ。

私は、友人である絢女から「不思議な依頼」を受けた。

彼女の知り合い「亜紀(仮名)さん」が、正体不明の胸焼けを訴える様になった。

亜紀さん曰く、病院にも何度か受診したものの
明確な原因は分からず、何時も胃薬や痛み止めなどの処方だけで終わる。
彼女が胸焼けに悩む事、5か月。
「もうやって居られない。」と絢女に愚痴をこぼしたのが始まりだった。

それから数日後。
絢女は、彼女と直接会い
軽いランチを楽しんだという。
だが、その間も彼女の愚痴は何度かあったという。

絢女が彼女にあったのは「ソレ」を確かめる為だ。

「ソレ」・・・つまり「何かしら憑いているのでは?」と疑った。

・・・案の定と言うべきか
亜紀さんの周囲で「何者か」一人憑いている事を絢女は察知した。

だが、奇妙な事が一つ・・・。

「視えない」のだ。

・・・正確には、ぼんやりとした影の様な輪郭は捉える事が出来る。
だが、その影はまるで「蜃気楼」のような・・・向こう側が透けて見える様な・・・。
透明人間が建っている様な・・・。そんな感覚だったという。

絢女曰く「視える時はハッキリと視える」そうだ。
彼女の経験則の中で、この「蜃気楼の様な者」は殆ど見た事がない。という。

「ねぇ亜紀。最近、変な所に行ってないでしょうね?」

「えぇ?辞めてよ!行くわけないでしょそんな所。キモチワルイ。」

確認の為聞いたそうだが
正直な所、街中を普通に歩いていても
何かしら、何所かしらで拾い歩く。なんてことは珍しい事ではない。
「そういう場」だけが憑く場所ではない。

「どこかで拾った」と考えるのが妥当だと、その時は思ったそうだ。

しかし、絢女は此処で早々に「ダメだ、分からない。」と音を挙げた。

彼女の場合
ハッキリ視えているからこそ、多くの予想や推論を立てる事が出来る。
性別・凡その年齢・表情・仕草。
それらの情報が彼女の目の前に「視えている」からだ。

だが、今回の場合
絢女は、全く何の情報も取れていないのだ。
そして
私の元に連絡が入る。

「知り合いが、何か連れて来た。胸焼けが酷いって言うんだけどさ。
ちょっと、一緒に調べてくれない?」

この連絡を受けた時、私は
・何かって何だよ?
・胸焼け?は?・・・病院行けよ。
・一緒にって・・・あんた視えるでしょーが。(俺の出番ないだろ)

という思いが一片に襲ってきた。

後から詳細を聞き「なるほどな」と納得したものである。

絢女が次に探ろうとしたのは「音」なのだ。

彼女たちには聴き取れないであろう「音」を、私が変わって調べる。

その為、我々は後日、あるカフェで落ち合う事となった・・・。
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