骸行進

メカ

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視える友人「絢女」の話

音信不通 5

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あの日から三日が過ぎた。
私は、半ば苛立ちながらある物を待っていた。

あの日の帰り、私はそれまでの全貌をX氏にメールで送った。
私の推論が正しいのか・・・それとも、的外れも良い所なのか・・・。

私は、絢女に江崎の現状を話すべきか迷った挙句
隠しておけないだろうと、生存を確認した事だけは伝えた。
が・・・
それが間違いだった。

友人の無事を聞いた彼女は、あえて黙った部分について
根掘り葉掘りどうにか聞き出そうとしつこく連絡をしてきたのだ。

知り合いの事だ、どんな些細な事でも情報を共有しておきたい。という
気持ちは痛い程、分かる。
だが・・・彼女もまた・・・私と似た者で・・・。
「純粋な心配」だけで、此処までしつこく聞いて来る訳ではない。

分かるのだ。
「興味本位が勝っている事」が・・・。

その中で、X氏からの意見を待っていた。

回答が来たのはその日の午後だった。
そして、その内容に私は驚いたものだ。

開口一番、X氏が語ったのは

「その人から手を引きなさい。」
だった。

私の説明から、X氏は男に「憑いている者」の正体を教えてくれた。

「十中八九、元生霊だよ。」

「元?」

「そう、念の送り主は既に危篤状態か、もう亡くなってるかのどちらかだよ。」

X氏の教えで分かった事。
それは、絢女が見たという「モヤ人間」の「視え方」で判断できる。というものだ。

生霊が人に憑いた際。
その症状というものは、上半身に出る。
頭痛だったり目眩だったり・・・。
そして、視え方も上半身を中心に視えるそうだ。

逆に、既に亡くなっている人の念については、下半身に視えるそうだ。

つまり、X氏が言いたかったのは
男に憑いた念は、いわば「死霊」に片足を突っ込んだ状態の者だと言える。

「生霊」と「死霊」この二つはどちらもそれぞれ「違った危険」がある。

「生霊」は生命の危機こそ薄い物の、相手が生きている以上
お祓いを繰り返した所で、何度でも戻って来る可能性がある。

「死霊」は一度祓ってしまえば寄る辺を無くし、彷徨いだす為帰って来る可能性は薄いものの
放置すれば、命に関わる危険が付きまとう。


・・・続いて、X氏は私の見立てについても話し出した。

「現状の推論としては筋の通る道筋だ。後は、本人が何を隠しているのか。
その一点で、この推論は変わっていくだろうけどね。
・・・概ね、間違いないと思う。」

私の推論はこうだ。

あの男には、且つて他にも女が居たのではないか?
そして、玄関にあったヒールはその女の所有物であった可能性が高い。
関係性にもよる所だが、女がヒールを取りに戻ってくるかもしれないと考慮し
今尚、処分されずに残っているのではないだろうか?
・・・それが、全ての原因である。
あのヒール自体が・・・もしかすると「呪物」に成り果てたのではないか?

・・・そして、男本人ではなく江崎に異常が発生した事を鑑みるに
その念は「恨み」ではなく「情」なのではないか?

・・・ソレが分かっているからこそ、男もヒールを処分出来ないのだろう・・・。

私は、後日改めて
男のアパートへ向かう事を決心した。
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