骸行進

メカ

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視える友人「絢女」の話

音信不通 4

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男の指さした場所は部屋の隅。
敷布団やバスタオル・衣類などが隅に山積みとなる一角があった。

一瞬、私は男が指さしたその山の意味が分からなかった。

「・・・あれが何だって・・・。」

あれが何だって言うんですか?
男にそう尋ねようと、顔を逸らしかけた時
・・・視界の隅で、目が合ってしまった。

布地の山の中
こちらを覗く、血走った眼。

『何だ・・・アレ。』
その一点を凝視していると、男が言うのだ。

「アレがキョーコちゃん・・・。」

「・・・はい?」

「分かるよ。こいつ何言ってんだ?って感じだろ?・・・でもあれが本人・・・。」

「どういう事です・・・。」

「こっちの部屋で話そう。」

男は再び自室へと手招きし、部屋の中へ入る。
・・・後に続くしかない。

「あの部屋の惨状な・・・全部、彼女がやった事だよ。」

「・・・は?」

男の話では、そもそも同棲などはまだ考えていなかったそうだ。
その事については、事情があって躊躇っていた。というのが正しい所だろう。

しかし、ある日、夜遅くに仕事から帰って来ると
彼女が部屋の中にいたらしい。
しかも、灯りも付けずに・・・。

その事に恐怖を覚えた男は、警察を呼んだ。
事情を話した末、江崎は警察保護の名目で部屋から連れ出された。

これで一安心だ・・・。

そう思ったのも束の間・・・。

翌朝、江崎は寝ている男の真横に棒立ちで立っていたそうだ。

「っひ・・・!」

声を上げようとした矢先だった。

「良くも警察に売りやがったなぁぁぁ!」

江崎がこれでもかと言う声量で怒鳴り、寝ていた彼の脇腹を何度も蹴りつけたという。

次に気が付いた時、彼女は姿を消していたそうだが・・・
その晩。
再び、仕事帰りの彼を恐怖が襲う。

「また、居たんだよ・・・。真っ暗な中・・・一人で。」

「・・・それで・・・どうしたんです?」

「どうもしてないさ・・・。隣の部屋に移ってもらってそれっきりだよ。」

それ以降、彼女は人が変わったように不定期で暴れる様になったという。

「あんな娘じゃなかったはずなのに・・・。」

だが、私も「その原因はお前だ」などとは言える雰囲気でもなかった。

「玄関の靴。アレ誰のですか?」

「・・・スニーカーの方は彼女のだよ。ヒールの方は・・・知らねぇんだ。」

身に覚えもないヒールを残しているとは変な男だ・・・とは思った。
実際、男はまだ何かを隠している。
だが、それを問い詰められる程、男の表情に余裕が見えなかった・・・。

「とりあえず・・・彼女が無事?だというのは分かりましたし、一度引き上げます。
また、お話聞きに来ると思いますし、その時は彼女の事もどうにかしますから・・・。」

それだけ伝え、私は男の部屋を後にした・・・。
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