骸行進

メカ

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視える友人「絢女」の話

視える様になったきっかけ。 終

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絢女の過去を調べる事数日。
一つの流れが出来上がった。

彼女は、当時
何か恐ろしい物を見たに違いない。
そして、それは母親まで巻き込んで。
直後、何かしらの事情でその話はタブーとなった。
なぜ、彼女がその事を鮮明に覚えていないのか・・・。
タブーとなった事で話をする機会そのものが奪われ
長い月日を経て、忘れ去られた・・・。

しかし、この数日で彼女はある事を幾つか思い出した。

「其処には、何度か行った事がある。」
「母の仕事なのか、決まって近くに数時間預けられていた。」
「思い出すのは、ビル群に囲まれていた事」

私は、彼女の話が妙に引っかかった。

そもそも、仕事で預けられているのであれば「幼稚園」や「保育園」が妥当であろう。
しかし、彼女にその記憶はない。
そもそも、当時は小学生だ。その線は薄い。

となれば、知り合い宅に居たのか?
それも線としては薄い。
なぜなら、預けられていた事を思い出した時点で知り合いの事も思い出すだろう。

更に、預け先はビル群に面している。
となれば、オフィス街という事も十分に考えられる。

そういった話を彼女に説明した後、暫く経ってから再び
彼女はある事を思い出した。

「そう、決まってお昼前位から預けられてたんだよ。で、夕方ごろには帰ってた。」

託児所系の場所であれば、随分と中途半端じゃないか?
僅か数時間の為だけに?
そんな短時間であれば仕事と言うのも怪しいものだ。

この時点で、私はある仮説を立てていた。
しかし、この話は彼女にとっては酷だろう。
そして、この時点で「彼女が見たもの」を私は予想が付いていた。

此処からは、私の推測が混じる。

恐らく、彼女が預けられていた場所は「新宿」だ。
しかも、もっと範囲を限定するならば「歌舞伎町」だ。

私の中で「ビル群」と「短時間の託児」、「彼女が東京の人間」という点が重なる場所は
其処しか浮かばない。
ましてや、正規の託児ではない飛び入りの感覚だろう。

・・・そして、なぜ預けられていたか・・・。
恐らくは「不倫」。
そう考えれば、彼女が見たものについて話し出す時、怒られる理由が浮かばない。
そもそも、小学3年生の時
視たという「おばあさん」の件も親からすれば「悍ましいから」という理由で怒らず
笑い飛ばすような母親だ。
それ以前の幼い彼女が「何かを視た」と行った所で相手にもしないだろう。

その母親が「話すと怒る。」「しつこいと引っ叩かれていた。」
おかしいだろう。

そもそもが邪推だ。
これが正解ではないのだろうが・・・
一つ、これだけは言える。

・・・彼女はあの有名なビルで「飛び降り」を見たのではないか?
そして、ソレが生きている者ではなく、繰り返している者なのではないか?
それを機に「視える様になった」のではないか・・・?
彼女の母親は「不倫発覚」を恐れ、彼女の口に蓋をしたのではないだろうか・・・?

この邪推は、彼女には話していない。
真相は、闇の中である・・・。
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