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長編特集
はしご。 終 「別件」
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私は自宅に帰った後、直ぐにX氏へ一連の流れを報告した。
今回の小旅行について、前もって相談をしていたのだ。
返答は直ぐに来た。
「友達の入院は『別件』だと思うよ。」
X氏から告げられたのは、その一言だ。
そして・・・「もう一度、自由帳を探してごらん。」
という指示。
これが、最終の「四日目」となる訳だが・・・。
数日後、再び現地へ向かったのは「私一人」だった。
前日の夜半から出発。
到着は朝の六時だった。
そこから、ダムへと向かい件の自由帳を探すのだが・・・
私が見つけたのは、前回とは比較にならないレベルで黒く焼け焦げたノートの一部だった。
急ぎX氏へ連絡を繋ぐ。
「ノートを発見しました。・・・でも、以前見たものとはあまりにも・・・。」
「だろうね。そのノート自体はそのダムの近所で起きた火災で亡くなった子供の私物だよ。」
「なら、なぜ神社と・・・。」
「その子供が、被害者の身内なんだよ。」
「え?」
「直接見てないから今分かるのは身内ってだけで、関係性は分からないな。」
「じゃあ、小島に憑いたのは・・・。」
「その子供だろう。本人の面影が残ってたのは子供っぽくなっただけの変化ってだけで
君らがその子の幼少期を知らないからだろうね。」
事実、小島は高校から知り合った友人である。
それ以前の幼き日の彼を我々は知らない。
「ただ、憑いてるのはあくまで他人だから、純粋に子供時代の彼ではなく
やや歪んだ人相になってしまった結果、他人の様な顔つきになってるんだよ。」
「でも、なんでこんな所に・・・。」
「ダムだから。でしょ。面白い事言うね。」
X氏は分かり切った事を言うなと笑うように行った。
「なんで小島に?」
「ん~。そればかりは本人に会わないと何とも・・・。」
後日、X氏は小島に会う為、現地の病院へ飛んだ。
「理由が分ったよ。」
「何だったんですか?」
「彼に憑いてたのは、被害者の弟さんだね。一家心中に巻き込まれたようだ。」
「・・・弟・・・。」
思い当たる節があった。
小島にも姉がいる。その姉は今も存命だが
小島曰く、早くに独立し家を出たそうだ。
それまで仲の良かった姉弟だったそうだが、姉の独立以降
殆どあった事がないまま5年が過ぎていたという。
「可哀想にね。娘を奪われたショックで心中を選ぶなんてさ・・・。気持ちは分からなくもないけど。」
「それで・・・同じ弟だからって小島に?」
「姉を探したかったんだろうねぇ。一人離れた所で亡くなった訳だからさ。
今回、主役に選ばれたのは、その小島君だったって事だよ。」
何とも苦い話である。
家族愛と言ってしまえば美談にもなろう。
だが・・・私としては「やるせない話」である。
その後の小島だが、X氏の指示の下
入浴時に塩を使う事でお祓いを受け、元通りの人相に戻り
現在も元気に生活している。
今回の小旅行について、前もって相談をしていたのだ。
返答は直ぐに来た。
「友達の入院は『別件』だと思うよ。」
X氏から告げられたのは、その一言だ。
そして・・・「もう一度、自由帳を探してごらん。」
という指示。
これが、最終の「四日目」となる訳だが・・・。
数日後、再び現地へ向かったのは「私一人」だった。
前日の夜半から出発。
到着は朝の六時だった。
そこから、ダムへと向かい件の自由帳を探すのだが・・・
私が見つけたのは、前回とは比較にならないレベルで黒く焼け焦げたノートの一部だった。
急ぎX氏へ連絡を繋ぐ。
「ノートを発見しました。・・・でも、以前見たものとはあまりにも・・・。」
「だろうね。そのノート自体はそのダムの近所で起きた火災で亡くなった子供の私物だよ。」
「なら、なぜ神社と・・・。」
「その子供が、被害者の身内なんだよ。」
「え?」
「直接見てないから今分かるのは身内ってだけで、関係性は分からないな。」
「じゃあ、小島に憑いたのは・・・。」
「その子供だろう。本人の面影が残ってたのは子供っぽくなっただけの変化ってだけで
君らがその子の幼少期を知らないからだろうね。」
事実、小島は高校から知り合った友人である。
それ以前の幼き日の彼を我々は知らない。
「ただ、憑いてるのはあくまで他人だから、純粋に子供時代の彼ではなく
やや歪んだ人相になってしまった結果、他人の様な顔つきになってるんだよ。」
「でも、なんでこんな所に・・・。」
「ダムだから。でしょ。面白い事言うね。」
X氏は分かり切った事を言うなと笑うように行った。
「なんで小島に?」
「ん~。そればかりは本人に会わないと何とも・・・。」
後日、X氏は小島に会う為、現地の病院へ飛んだ。
「理由が分ったよ。」
「何だったんですか?」
「彼に憑いてたのは、被害者の弟さんだね。一家心中に巻き込まれたようだ。」
「・・・弟・・・。」
思い当たる節があった。
小島にも姉がいる。その姉は今も存命だが
小島曰く、早くに独立し家を出たそうだ。
それまで仲の良かった姉弟だったそうだが、姉の独立以降
殆どあった事がないまま5年が過ぎていたという。
「可哀想にね。娘を奪われたショックで心中を選ぶなんてさ・・・。気持ちは分からなくもないけど。」
「それで・・・同じ弟だからって小島に?」
「姉を探したかったんだろうねぇ。一人離れた所で亡くなった訳だからさ。
今回、主役に選ばれたのは、その小島君だったって事だよ。」
何とも苦い話である。
家族愛と言ってしまえば美談にもなろう。
だが・・・私としては「やるせない話」である。
その後の小島だが、X氏の指示の下
入浴時に塩を使う事でお祓いを受け、元通りの人相に戻り
現在も元気に生活している。
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