骸行進

メカ

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葬儀業者「島さん(仮名)」の話。

屋根裏の物の怪 終

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屋根裏に上がった二人が見たもの。

仕舞い込まれた多くの家具や衣類の段ボールの山の中。
奥でひっそりと、布団に寝かされる清水さんの父の亡骸。
そして、それに相応しい匂いが充満する。

「・・・親父・・・。」

清水さんの何とも形容しがたい表情。
だがその表情は、見る見る怒りに変わる。

「兄貴の野郎ぉ・・・故人をこんな風に・・・。」

怒りで震える拳。

其処に・・・。
先ほどと同じ「ドッドッドッド」という足音が聞こえる。

二人は直ぐに振り返るが、当然そこに人など居ない。
今し方、抱いていた怒りなど何処吹く風だ。
二人の表情はどんどんと青くなっていく。

「島さん・・・今の、聞こえました?」

「・・・えぇ。」

「兄貴!居るのか!?」

その問いに、返答など帰って来る訳もない。

その直後

「ガラガラガラ・・・」という鈍い音。

キッチンの戸の音だ。

慌てて、二人は確認に向かう。
だが、誰もいない。

二人の脳裏には、あの言葉が浮かんで居た。

『屋根裏には物の怪が居る。』

「清水さん、とにかく警察を呼びましょう。」

数十分後。
警察の介入の元、家宅の捜索が行われたが目立った異変はなく
物取りなどが潜んでいる線は消えた。
警察が来た事で、周辺住民も野次馬をしに来ていたそうだが
周囲に漏れる刺激臭にそそくさと逃げ帰る。

だが・・・そんな中、一人の老人だけが最後まで一部始終を見守っていたという。

老人の名は「持田(仮名)さん」。
近所に住む方で、清水さんの父とは麻雀仲間だったそうだ。

「持田さん、最近ここに兄が出入りしてませんでしたか?」

「お兄さん?・・・あぁ、タケ君の事か。そうだねぇ、ここ数日は頻繁に出入りしてたねぇ。」

「何かご存じないですか?」

「・・・う~ん。」

持田の態度は明らかに「何かを知っている」態度だ。

「お願いします。」

「そうさな。教えてあげるわな。実は『大ちゃん』が晩年に妙な事言っててな。」

『大ちゃん』とは、清水さんの父の事だそうだ。

「タケ君が物の怪に食われた。とか・・・ずっとそんな事ばっかり。」

「・・・え。」

持田の話では、父は口癖のように「物の怪」の話を引き合いに出していたそうだ。
そして、その都度
長男が攫われた・食われた等の言葉を口にしていたそうだ。
麻雀仲間が「タケ君は元気にしちょるじゃないか。」と言葉にしても

「アレは『タケ』やない『物の怪』や。だから、さっさと追い出したいんじゃ。」
と反論していたそうだ。

話を聞き終えた、二人は急いで長男に連絡を取る事になった。

だが、長男に連絡は付かなかった。


・・・無理もない。
その時、長男「タケ」は、父と同様に屋根裏で死んでいたのだから・・・。

警察まで介入したにも関わらず、その時は長男の遺体など確認されていなかった。

にも拘わらず
改めて、父の遺体を運び出そう。と実家へ戻り屋根裏に入った際
兄の「タケ」は、首を吊って死んでいたそうだ。

兄の遺体は死後、二ヶ月以上が経過していたという・・・。
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