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大親友「遠藤」の話
アパートで。 3
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遠藤が緊急入院をした翌日。私は彼の部屋に居た。
どうしても気になる事があったのだ。
彼はあの奇声が「決まった時間に。」と言っていた。
それが、本当に「その時間だけなのか?」を知りたかった。
朝から部屋で張り込みを続けた結果
彼の言う通り「夜の11時頃に」声がする。
しかし、時間についてはさほど重要な事ではない。
問題は「出所」である。
この奇声の「出所」。
特定するのに3日を要した。
本来であれば、音や声の出所・方角などは何となくすぐに察する事が出来るのだが
日に一度しか聞こえない奇声。
そして、まるで移動するかのように消え入る声に
特定が難しかったように思える。
奇声が聞こえた場所。
それは、彼の部屋のクローゼット内部だ。
鍵を預かる際、私物などについては好きに移動なり捜索なりしていいと許可は得ていた。
私は、場所が分かりすぐにクローゼットを開けた。
遠藤は、移動にバイクを使う。
それ故に、クローゼット内にはライダースジャケットや防寒具などがズラリと並ぶ。
足元には、衣装ケース・・・こちらには季節ものが入っていた。
最後に目を引いたものがある。
それは、クローゼットには似付かわしくない「書類立て」だ。
なぜそんなものが、隠される様にクローゼットの中に置いてあったのか。
最初は不思議であった。
しかし、その「書類立て」の中でも一際、異質な感覚を覚えたものがある。
複数の書類の中から頭一つ抜け、ちらりと見えている黄色い封筒だ。
その封筒が視界に入った瞬間、一瞬だが「間が凍り付いた感覚」を覚えたのだ。
・・・動けなかった。
ソレが確実に怪しいと分かっているのに、手が伸びなかったのだ。
しまいには、ケースごと引っ張り出し、机の上に置くと
数分間、その封筒を確認すべきかを悩む始末だった。
私の強い好奇心と拮抗するように、いわゆる「生理的に受け付けない」という感覚だろうか
今すぐケースごと、その封筒を処分してしまいたい感覚を覚えていた。
ソレを手にすること自体に怖気を感じる。
最早、視界に入っている事すら気分が悪い。
この時、私はある事を理解した。
私がその「黄色い封筒」に嫌悪感を抱くと同様に
恐らく「黄色い封筒」も、何かしら私に対しての「拒絶」の様な物があったのだろう。
反発する磁石の様に・・・
互いに互いの存在を認めない。
片方が右といえば、もう片方が左を選ぶ・・・。
その様な「イメージ」が脳裏に焼き付いたのだ。
ソレを理解した時
不思議と私は、懐かしさすらも思い出していたものである。
気付くと、私はその封筒を手に取り・・・封を開けていたのだ・・・。
どうしても気になる事があったのだ。
彼はあの奇声が「決まった時間に。」と言っていた。
それが、本当に「その時間だけなのか?」を知りたかった。
朝から部屋で張り込みを続けた結果
彼の言う通り「夜の11時頃に」声がする。
しかし、時間についてはさほど重要な事ではない。
問題は「出所」である。
この奇声の「出所」。
特定するのに3日を要した。
本来であれば、音や声の出所・方角などは何となくすぐに察する事が出来るのだが
日に一度しか聞こえない奇声。
そして、まるで移動するかのように消え入る声に
特定が難しかったように思える。
奇声が聞こえた場所。
それは、彼の部屋のクローゼット内部だ。
鍵を預かる際、私物などについては好きに移動なり捜索なりしていいと許可は得ていた。
私は、場所が分かりすぐにクローゼットを開けた。
遠藤は、移動にバイクを使う。
それ故に、クローゼット内にはライダースジャケットや防寒具などがズラリと並ぶ。
足元には、衣装ケース・・・こちらには季節ものが入っていた。
最後に目を引いたものがある。
それは、クローゼットには似付かわしくない「書類立て」だ。
なぜそんなものが、隠される様にクローゼットの中に置いてあったのか。
最初は不思議であった。
しかし、その「書類立て」の中でも一際、異質な感覚を覚えたものがある。
複数の書類の中から頭一つ抜け、ちらりと見えている黄色い封筒だ。
その封筒が視界に入った瞬間、一瞬だが「間が凍り付いた感覚」を覚えたのだ。
・・・動けなかった。
ソレが確実に怪しいと分かっているのに、手が伸びなかったのだ。
しまいには、ケースごと引っ張り出し、机の上に置くと
数分間、その封筒を確認すべきかを悩む始末だった。
私の強い好奇心と拮抗するように、いわゆる「生理的に受け付けない」という感覚だろうか
今すぐケースごと、その封筒を処分してしまいたい感覚を覚えていた。
ソレを手にすること自体に怖気を感じる。
最早、視界に入っている事すら気分が悪い。
この時、私はある事を理解した。
私がその「黄色い封筒」に嫌悪感を抱くと同様に
恐らく「黄色い封筒」も、何かしら私に対しての「拒絶」の様な物があったのだろう。
反発する磁石の様に・・・
互いに互いの存在を認めない。
片方が右といえば、もう片方が左を選ぶ・・・。
その様な「イメージ」が脳裏に焼き付いたのだ。
ソレを理解した時
不思議と私は、懐かしさすらも思い出していたものである。
気付くと、私はその封筒を手に取り・・・封を開けていたのだ・・・。
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