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幼馴染の女性「飯島(仮名)」の話
楽しかったはずなのに。 4
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後日、再び
大平氏と残る一人から話を伺おうと職場を訪れたのだが
職場の責任者の話で
「大平はあの後すぐに辞職した。」と言う事を聞いた。
この時点で、十中八九
再度、大平氏から話を伺う事は不可能だろうと察した。
残る一人・・・「嶋崎(仮名)さん」
応接室へ通されて暫くした時、彼が入って来た。
「ど、どうも・・・嶋崎です。」
大平氏とは打って変わり、ぶっきら棒な態度で彼はやって来た。
「飯島と飲み会をしていたそうですね。当時の話を聞きたいのですが・・・。」
「あのぉ、その前にお宅さんは・・・。」
「・・・飯島の身内です。」
「えぇ!・・・や、やべぇな・・・。」
責任者に話をしていた段階から、私は飯島の親戚であるという事にしていた。
飯島の母の協力も取り付け、既に根回しはしてあったのだ。
「やべぇ?・・・やべぇとはなんですか?」
「・・・も、申し訳ありませんでした・・・。」
「いや、だから・・・何に対する謝罪ですか?」
「・・・。」
態度だけに留まらず、嶋崎は情報開示すらも大平氏とは真逆に押し黙ってしまった。
数分の沈黙の後、漸く口を開いた。
「実は・・・俺達、酔った勢いで肝試しに行ったんですよ。とあるダムに。」
「知ってますよ。」
「・・・そのダム、神隠しで有名で・・・。」
「だから、知ってますよ。」
こちらが苛立ちを見せた事をきっかけに、彼はさらに当時の様子を語り出した。
「そのダムで、殆どのメンバーが女の声を聴いたってパニックになって。
直ぐに帰って来たんです。で、メンバーで話を擦り合わせたら・・・。
それぞれが聞いた言葉が違うぞ。ってなって・・・。。
その言葉をつなぎ合わせてみようぜ!ってな流れで・・・
でもまさか、本当につながるなんて思わないじゃないですか!
そ、それで・・・だから、その・・・。」
「落ち着いてくださいよ。その後、どうなったんですか。」
「・・・それぞれが聞いた言葉を繋げた結果
『入って来るな。絶対に許さない。1人も逃がさない。』って・・・。」
ここで補足だが
そのダムの経緯は良くあるものだ。
とある村を丸ごと潰し、その上に建てられた場所。
だが、そのダムにとって最悪だったのは
潰した村には且つて、その周辺では有名な神社が祀られていた。という事だ。
ダム工事自体は、地鎮祭など正規の手続きを踏んだ上で行われたそうだが
ダム完成のその年から既に、多数の身投げが行われている場所として有名なのだ。
神仏の怒りを買った場として、毎年生贄でも捧げるのか?と言わんばかりに人が死ぬ。
それ故に、私はその場には決して訪れない。
人の手に負える場所ではないからだ。
「とんでもない事をしてくれましたね。頼むから飯島を返してくださいよ。」
「・・・。」
「嶋崎さん?聞いてますか?俺の身内を返してください。」
「・・・申し訳ありませんでした・・・。」
「聞けば、大平さんは最後まで止めてたそうですね。
・・・どうせ皆、酒の席だし水差すなとかで聞く耳持たなかったんでしょ?
流れや勢いって、恐ろしいですね?嶋崎さん。」
「・・・。」
「まぁ、詳しい事を話してくれた事には感謝します。もし、飯島が見つかっても
・・・二度と彼女には関わらないで貰いたい。」
そう言い残し、私はその場を後にしたのだ・・・。
大平氏と残る一人から話を伺おうと職場を訪れたのだが
職場の責任者の話で
「大平はあの後すぐに辞職した。」と言う事を聞いた。
この時点で、十中八九
再度、大平氏から話を伺う事は不可能だろうと察した。
残る一人・・・「嶋崎(仮名)さん」
応接室へ通されて暫くした時、彼が入って来た。
「ど、どうも・・・嶋崎です。」
大平氏とは打って変わり、ぶっきら棒な態度で彼はやって来た。
「飯島と飲み会をしていたそうですね。当時の話を聞きたいのですが・・・。」
「あのぉ、その前にお宅さんは・・・。」
「・・・飯島の身内です。」
「えぇ!・・・や、やべぇな・・・。」
責任者に話をしていた段階から、私は飯島の親戚であるという事にしていた。
飯島の母の協力も取り付け、既に根回しはしてあったのだ。
「やべぇ?・・・やべぇとはなんですか?」
「・・・も、申し訳ありませんでした・・・。」
「いや、だから・・・何に対する謝罪ですか?」
「・・・。」
態度だけに留まらず、嶋崎は情報開示すらも大平氏とは真逆に押し黙ってしまった。
数分の沈黙の後、漸く口を開いた。
「実は・・・俺達、酔った勢いで肝試しに行ったんですよ。とあるダムに。」
「知ってますよ。」
「・・・そのダム、神隠しで有名で・・・。」
「だから、知ってますよ。」
こちらが苛立ちを見せた事をきっかけに、彼はさらに当時の様子を語り出した。
「そのダムで、殆どのメンバーが女の声を聴いたってパニックになって。
直ぐに帰って来たんです。で、メンバーで話を擦り合わせたら・・・。
それぞれが聞いた言葉が違うぞ。ってなって・・・。。
その言葉をつなぎ合わせてみようぜ!ってな流れで・・・
でもまさか、本当につながるなんて思わないじゃないですか!
そ、それで・・・だから、その・・・。」
「落ち着いてくださいよ。その後、どうなったんですか。」
「・・・それぞれが聞いた言葉を繋げた結果
『入って来るな。絶対に許さない。1人も逃がさない。』って・・・。」
ここで補足だが
そのダムの経緯は良くあるものだ。
とある村を丸ごと潰し、その上に建てられた場所。
だが、そのダムにとって最悪だったのは
潰した村には且つて、その周辺では有名な神社が祀られていた。という事だ。
ダム工事自体は、地鎮祭など正規の手続きを踏んだ上で行われたそうだが
ダム完成のその年から既に、多数の身投げが行われている場所として有名なのだ。
神仏の怒りを買った場として、毎年生贄でも捧げるのか?と言わんばかりに人が死ぬ。
それ故に、私はその場には決して訪れない。
人の手に負える場所ではないからだ。
「とんでもない事をしてくれましたね。頼むから飯島を返してくださいよ。」
「・・・。」
「嶋崎さん?聞いてますか?俺の身内を返してください。」
「・・・申し訳ありませんでした・・・。」
「聞けば、大平さんは最後まで止めてたそうですね。
・・・どうせ皆、酒の席だし水差すなとかで聞く耳持たなかったんでしょ?
流れや勢いって、恐ろしいですね?嶋崎さん。」
「・・・。」
「まぁ、詳しい事を話してくれた事には感謝します。もし、飯島が見つかっても
・・・二度と彼女には関わらないで貰いたい。」
そう言い残し、私はその場を後にしたのだ・・・。
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