骸行進

メカ

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視える友人「絢女」の話

長い一軒家 3

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頭上に重く圧し掛かる、上蓋を空けると白い天井が見える・・・。
梯子を上り中を確認すると、絢女はデジャブに襲われる。

・・・そうだ、蓋を開け放ち登り着いた一室は先ほどまで見ていた一室。
「キッチン」だった。

「・・・え?」

だが、先ほど確認した「キッチン」には
床下収納の蓋などもなく、ただのフローリングだった。
にも拘わらず、先ほどまで居た「キッチン」に入って来たのだ。

そこで、絢女は瞬時に状況を把握した・・・。

「まさか・・・全く同じ造りを再現・・・。」

その読みは当たっていた。
室内の配置は左右こそ真逆だったものの、全く同じ造りだ。
まるで鏡にでも映したかのように。

更に彼女を恐怖の底に叩きつけたのは
各部屋には何体かのマネキンがあったそうだ。

「キッチン」には、女性のマネキンが流しの前に立ち
「脱衣所」には、カゴに入った衣類。
「浴槽」には、男性のマネキンと子供のマネキンが・・・。
「リビング」の掘り炬燵には、老夫婦を模したマネキンが。

まるで、生活の一部をそのまま切り取って来たかのような光景。

・・・「異常」。あまりにも「異常」な光景。

玄関を確認すると、土間も再現されていたらしい。
だが、扉はなく一面壁だった。

この時点で、絢女は直ぐにでも引き返す事を考えたそうだ。
しかし、彼女を引き留める一つの疑問・・・。

「もう二軒分のスペースは・・・?」

そう、祖母が生活で使っていたスペースを入れても四軒分のスペースを使った
大がかりの増改築だ。
絢女は、この有り様からもっと嫌な想像が浮かんできたという。

「他も似たような・・・事に?」

だが、先ほど同様に
部屋の中などには、次に通じる扉は無かったそうだ。

諦めて帰ろうとキッチンへ向かった時
背後から音がしたという。

ズズゥ・・・。という何かをこする様な音。

間違いない。

『襖』の開く音だ・・・。

一瞬で、前進の血の気が引く。

それと同時に、ペタ・・・ペタ・・・。と
素足でリビングをゆっくりと歩く音。

絢女は瞬時に脱衣所へ逃げた。
息を殺し、気配さえも消した。

足音の正体は、ゆっくりとキッチンへ向かい
そして、再びリビングへ戻っていく・・・。
その後、またしても「襖」の音が鳴り、静まり返る・・・。

「今だ。」

逃げるなら今しかない。

絢女は一目散に、米山さんの待つ車まで大急ぎで戻ったのだという。

車に乗り込むと、息を整えるより先に
逃げる様指示を出し、実家を後にした。

米山さん宅へ戻り、事情を説明。
終始、絶句していた米山さんを他所に
絢女はこの話を、我々の属していた心霊系のライングループへと流した。
他のメンバーの意見が聞きたかったのであろう。

話を聞いたメンバー達と共に、凡そ3日間
その話題の議論がなされていたのだ・・・。
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