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筆者(メカ)の経験談。
修行の開始と合間で・・・。 5
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お祓い失敗を経て、晩の事だ。
最早、空腹の感覚すらない。
あるのは、慢性的な腹部の鈍痛と吐き気。
そして、お祓い失敗の際に出来た右半身の蚯蚓腫れ。
横になっても、起きていても
絶えず焼ける様な痛みが右側を襲っている。
蔵の中、横になりながら
もう見慣れた天井と電球を眺めながら呆然と時が過ぎていくのを待った。
だが・・・ここに来て修行の成果なのだろうか
これまで聞こえていた声と今聞こえている声の質が明確に違うのだ。
これまでの声や物音というものは
まるで、ラップ越しに話しかけられている様な・・・ラジオ音源のような・・・
どこか無機質な感じのものが多かった。
しかも、人やモノとすれ違いざまに「ほんの一瞬」聞こえるものだった。
しかし、横になっているその時
蔵の外から聞こえる声が明確に「この世の者ではない」事を認識していた。
声事態ははっきりと鮮明に覚えている。
だが、その内容は覚えていない。
10代前後、声変わり前のやや高めの男の声。
全部で3人か・・・。
何かを話し合うように、時にはけらけらと笑い声が遠退いていく。
不思議と恐怖は無かった。
そもそも、自分が今
起きているのか、寝ているのかすら曖昧だった。
「ねぇ!・・・ねぇってば‼」
真横で、突然響いた声に一瞬驚いた。
だが、そのお陰で意識ははっきりした。
何だと周囲を見渡しても、誰かが居る訳でもない。
・・・その時・・・。
「ゴンッ!」
また、蔵の壁から何かを叩きつける様な音がするのだ。
前回は分からなかったが・・・今回ははっきりと分かる。
この音は「内側から」鳴っている。
先ほどとは打って変わり、悪寒が全身を貫いた。
「頭を打ち付ける音だ・・・。」
何故か、脳内にそんなイメージが出来てしまう。
「ゴンッ!・・・・・ゴンッ!・・・・・ゴンッ!」
私はとっさに、寝たふりをした。
気付かれてはならない気がしたのだ。
どうしてかは分からない。
だが、その音の主は狂喜乱舞しながら頭を打ち付けている。と分かってしまった。
まるで、メタルバンドのヘッドバンキングのように
ニヤニヤとしながら、頭を打ち付けている。
・・・ソレが分かってしまった・・・。
そんな音が前回同様、30分以上も鳴り続けていたのだ。
寝れる訳がない。
そのせいで、わずかな音でさえも何か理由があるのではないかと探ってしまう。
ただただ、怖い・・・その空間の中
逃げ場などないのだ。
早く夜が明けないかと何度願った事だろうか。
携帯の時計に目をやると、午前四時。
「・・・もうすぐだ・・・もうすぐ解錠される。」
言い聞かせるように、毛布にくるまったその時だ。
「早くしないと・・・持って行かれるよ。」
先ほどの声だ。
私に呼び掛けて来た声。
年齢こそ、曖昧だが
女性の声だ。
持って行かれる?・・・何をだ!?
一瞬でパニックになった私は、耳を塞ぎ目を閉じ
小さく丸くなって残りの時間を過ごしていた・・・。
最早、空腹の感覚すらない。
あるのは、慢性的な腹部の鈍痛と吐き気。
そして、お祓い失敗の際に出来た右半身の蚯蚓腫れ。
横になっても、起きていても
絶えず焼ける様な痛みが右側を襲っている。
蔵の中、横になりながら
もう見慣れた天井と電球を眺めながら呆然と時が過ぎていくのを待った。
だが・・・ここに来て修行の成果なのだろうか
これまで聞こえていた声と今聞こえている声の質が明確に違うのだ。
これまでの声や物音というものは
まるで、ラップ越しに話しかけられている様な・・・ラジオ音源のような・・・
どこか無機質な感じのものが多かった。
しかも、人やモノとすれ違いざまに「ほんの一瞬」聞こえるものだった。
しかし、横になっているその時
蔵の外から聞こえる声が明確に「この世の者ではない」事を認識していた。
声事態ははっきりと鮮明に覚えている。
だが、その内容は覚えていない。
10代前後、声変わり前のやや高めの男の声。
全部で3人か・・・。
何かを話し合うように、時にはけらけらと笑い声が遠退いていく。
不思議と恐怖は無かった。
そもそも、自分が今
起きているのか、寝ているのかすら曖昧だった。
「ねぇ!・・・ねぇってば‼」
真横で、突然響いた声に一瞬驚いた。
だが、そのお陰で意識ははっきりした。
何だと周囲を見渡しても、誰かが居る訳でもない。
・・・その時・・・。
「ゴンッ!」
また、蔵の壁から何かを叩きつける様な音がするのだ。
前回は分からなかったが・・・今回ははっきりと分かる。
この音は「内側から」鳴っている。
先ほどとは打って変わり、悪寒が全身を貫いた。
「頭を打ち付ける音だ・・・。」
何故か、脳内にそんなイメージが出来てしまう。
「ゴンッ!・・・・・ゴンッ!・・・・・ゴンッ!」
私はとっさに、寝たふりをした。
気付かれてはならない気がしたのだ。
どうしてかは分からない。
だが、その音の主は狂喜乱舞しながら頭を打ち付けている。と分かってしまった。
まるで、メタルバンドのヘッドバンキングのように
ニヤニヤとしながら、頭を打ち付けている。
・・・ソレが分かってしまった・・・。
そんな音が前回同様、30分以上も鳴り続けていたのだ。
寝れる訳がない。
そのせいで、わずかな音でさえも何か理由があるのではないかと探ってしまう。
ただただ、怖い・・・その空間の中
逃げ場などないのだ。
早く夜が明けないかと何度願った事だろうか。
携帯の時計に目をやると、午前四時。
「・・・もうすぐだ・・・もうすぐ解錠される。」
言い聞かせるように、毛布にくるまったその時だ。
「早くしないと・・・持って行かれるよ。」
先ほどの声だ。
私に呼び掛けて来た声。
年齢こそ、曖昧だが
女性の声だ。
持って行かれる?・・・何をだ!?
一瞬でパニックになった私は、耳を塞ぎ目を閉じ
小さく丸くなって残りの時間を過ごしていた・・・。
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