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長編特集
ツキマトウ 3 「女の声」
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「菊池」の務めていた工場で、多くの声を聞いた私であるが
その「菊池」に憑いている「二人の男」がなぜ「事故死」していたのか
それを知る切っ掛けとなったのが「女の声」である。
菊池と共に、工場前で聞いた無数のガヤの中
一際大きく聞こえた声がある。
その声は、まるで我々の隣で共に並んでいるかのような距離感で
「ツキナイ」と言ったのだ。
その言葉が、私の脳裏で瞬時に「ツキナイ」=「付き無い」=「不運」と繋がった。
この工場に無数にいる彼等の中で、なぜこの「二人の男」が「菊池」に「憑いたのか」。
それは即ち、彼等もまた「不運な男達」だったのだろう。と察したのだ。
更に、ここで私は「菊池」と再会した時
目眩を起こし、倒れそうになった一瞬で聞いた声が
「この女の声だ。」と確信したのだ。
そして、数日後の事だ。
X氏から、メールが届いた。
「こんにちは。○○(筆者氏名)君。
ご友人のお話を綴ったメール、拝見しました。
良ければもう少し、詳細を知りたいので、不運が起きる前の生活と
今現在の生活についてご友人に聞いてみてください。」
私は指示の通り、菊池から更なる情報を得て、X氏に返信した。
新たに分かった事。
それは、菊池がその工場で勤め始めたのは、彼の父が入院する一か月前であった。
何でも、彼は高校を卒業してから、職を転々としていたらしい。
それも、殆どが何かのトラブルに巻き込まれる形で・・・。
だが本人は、それも社会の荒波だと納得し、仕事に邁進していたそうだ。
・・・だが、今回ばかりは毛色が違った。
後に彼はそう語っていた。
そして・・・。
X氏は意外な一言を発した。
「彼は多分、もっと前から(命を)狙われていると思う。
今回、なぜ此処まで酷くなったかはまだ、視えてこない部分も多いけど
恐らく、彼に憑いている男性たちは関係ないんじゃないかな。」
X氏の見立てで話を進めていくと
尤も疑わしきは「女の声」である。
その「女」について、調べようと本腰を入れた時、事件は起きた。
とうとう、菊池が入院してしまったのだ。
1年という長い期間「拒食状態」の続いていた彼は
そのツケか、栄養失調などの不調により搬送されてしまったと連絡が入ったのだ。
後日、彼のお見舞いに行った私であるが
残念な事に、彼の病状は深刻な物でしばらくの間入院が必要になった。
それ以降の調査は、彼の助力なしで単独の調査になる。
当事者の協力なしに、素人の私がこういった物を調べるのは
とても時間と労力の居る作業となってしまうのだ。
だが、全くの手掛かりなしとも言えない状況は
私にとっては救いの一言だったであろう・・・。
その「菊池」に憑いている「二人の男」がなぜ「事故死」していたのか
それを知る切っ掛けとなったのが「女の声」である。
菊池と共に、工場前で聞いた無数のガヤの中
一際大きく聞こえた声がある。
その声は、まるで我々の隣で共に並んでいるかのような距離感で
「ツキナイ」と言ったのだ。
その言葉が、私の脳裏で瞬時に「ツキナイ」=「付き無い」=「不運」と繋がった。
この工場に無数にいる彼等の中で、なぜこの「二人の男」が「菊池」に「憑いたのか」。
それは即ち、彼等もまた「不運な男達」だったのだろう。と察したのだ。
更に、ここで私は「菊池」と再会した時
目眩を起こし、倒れそうになった一瞬で聞いた声が
「この女の声だ。」と確信したのだ。
そして、数日後の事だ。
X氏から、メールが届いた。
「こんにちは。○○(筆者氏名)君。
ご友人のお話を綴ったメール、拝見しました。
良ければもう少し、詳細を知りたいので、不運が起きる前の生活と
今現在の生活についてご友人に聞いてみてください。」
私は指示の通り、菊池から更なる情報を得て、X氏に返信した。
新たに分かった事。
それは、菊池がその工場で勤め始めたのは、彼の父が入院する一か月前であった。
何でも、彼は高校を卒業してから、職を転々としていたらしい。
それも、殆どが何かのトラブルに巻き込まれる形で・・・。
だが本人は、それも社会の荒波だと納得し、仕事に邁進していたそうだ。
・・・だが、今回ばかりは毛色が違った。
後に彼はそう語っていた。
そして・・・。
X氏は意外な一言を発した。
「彼は多分、もっと前から(命を)狙われていると思う。
今回、なぜ此処まで酷くなったかはまだ、視えてこない部分も多いけど
恐らく、彼に憑いている男性たちは関係ないんじゃないかな。」
X氏の見立てで話を進めていくと
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とうとう、菊池が入院してしまったのだ。
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後日、彼のお見舞いに行った私であるが
残念な事に、彼の病状は深刻な物でしばらくの間入院が必要になった。
それ以降の調査は、彼の助力なしで単独の調査になる。
当事者の協力なしに、素人の私がこういった物を調べるのは
とても時間と労力の居る作業となってしまうのだ。
だが、全くの手掛かりなしとも言えない状況は
私にとっては救いの一言だったであろう・・・。
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