骸行進

長編特集

合コンで。 ２

程なくして、美樹さんから1通のメールが届く。

それは「自宅が荒らされたかもしれない」というものだった。

その事実に彼女は恐怖し、合コンメンバーへ助けを求めるメールを出した。

この時、谷ちゃんは自身にも降りかかった「イタズラ」を思い出したそうだ。

8人は、良く飲みに集まっていた店へと集合する。
最初に口を開いたのは、合コンを立ち上げた友人「浅野（仮名）」だ。

「美樹ちゃん、話は皆からも聞いた・・・空き巣かもしれないって・・・？」

「そうと決まった訳じゃないんだけど・・・ね。」

彼女が言うには
自宅の鍵が施錠されていなかったそうだ。
此処までなら「おっちょこちょいだなぁ」で済む話だった。
しかし、明らかに複数の家具が移動していたそうだ。

人間、慣れた場所での違和感は根本的に恐怖でしかない。
それが、1か所ならまだしも、複数の違和感を感じる自室など
それはもう自室とは呼べない・・・。

そして・・・谷ちゃんも自身の経験を話す。

「実はさ、俺も最近引っ越したんだけど・・・その理由がさ・・・。」

全ての話を聞き終えた一同は最早、飲む気分などではない。

「そ、それで美樹ちゃんは警察に相談したの？」

「うん。明日、部屋の検証が入るって・・・。」

「早いに越した事は無いよ。それを聞けただけ安心だよ。」

「でも、今夜はどうする訳？独りじゃ流石に・・・ねぇ？」

一同が、うなりを上げる中
谷ちゃんはその机で、妙な胸騒ぎを覚えたそうだ。

合コンメンバー二人の被害・・・。
偶然だろうか？いや、偶然でそんな事が立て続けに起こるはずがない。
犯人は少なくとも、この合コンを知っている者だろう。
そして、被害が2人で終わるのだろうか？

そういった事を考えた時、ストレスからかｃ胃の痛みに襲われたという。
結論から言えば、その後半年がたち被害はメンバーの内、6人にも及んだ。

そして、この頃から
合コンメンバーは次第に、集まりが鈍くなった。

無理もない、立て続けに起こった怪事件。
被害を受けていない二人は怯え、メンバーと距離をとるようになった。
さらに言えば、残されたメンバー6人も
集まれば事件の話で、もはや合コン処ではない。

止まない被害。
捕まらない犯人
その犯人は、知人かも知れない。
その疑心暗鬼から抜け出せないまま、皆孤独に陥ったのだ。
ある者はメンバーを疑い、暴言を吐き散らすようになった。
またある者は、外出が恐怖に変わり引きこもりとなった。

そうこうしている内に半年もの時間が過ぎ最早、空中分解間際だった。

・・・美樹さんのある一言を聞くまでは・・・。