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視える友人「絢女」の話
夜逃げ その1
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数年前の話だそうだ。
絢女はある「建物」に出向く用事があったそうだ。
その「建物」とは「幽霊団地」だ。
彼女の地元では有名な「団地」。
其処に、一人の友人が住んでいるのだという。
しかし、その「団地」は有名であるにも関わらず
住人たちは皆、口を揃えて「何も起きたりはしない。」と証言するそうだ。
そして、あまりにも面白半分で来る者が後を絶たない為
その団地は、今現在も大改装を施し、全ての棟をオートロックに切り替える
工事が進んでいるそうだ。
事の始まりは、一人の住人が突如失踪した事だった。
住人の話によると、その人物が働いていた会社が倒産。
それと同時に、その人物にも負債が生まれる結果となり闇金に手を出した。という。
結果、昼夜を問わぬ取り立ての訪問。
今のご時世では「暴力的な行為」こそ見受けられなかったそうだが
あの手この手で当人に連絡を取るべく、団地の大家にも接触を図っていたそうだ。
しかし、ある日から取り立ての業者は一切訪れなくなったそうだ。
後の警察の調べで、業者が訪れなくなった理由が
その「住人の失踪」だったそうだ。
最初こそ、ガラの悪い連中の出入りがあった以上「何かあったのではないか。」と
囁かれていたそうだが、その噂を一蹴するように
闇金業者がその人物の部屋を訪れるようになったそうだ。
悪評を恐れた大家により、闇金業者・警察・大家の立ち合いの元
その住人の住む部屋に入る事となった。
彼等が目にしたのは、奇妙な光景だった。
机の上には、一人分の食事が用意されていたそうだ。
しかも、暖かいままだったという。
それを見た業者が、部屋中をくまなく探したそうだが
住人は居なかった。
次に、警官が業者を発見した住人がベランダなどから逃走したのではないか?と
窓から確認したそうだが・・・
その部屋は団地の最上階に位置する6階だった。
当然、逃げる事など不可能である。
最後に残っていた大家だが・・・終始、青い顔をしていたそうだ。
納得のいかない闇金業者は最後まで悪態を付きつつも
警察の指示によって身を引いた。
大家と警官だけとなったその部屋で、大家は語る。
「お、お巡りさん。僕が変なのかなぁと思うんですけど・・・この暖かい料理。
新しいですよね・・・?」
「その様ですが?」
「でもね・・・冷蔵庫の中の物・・・腐ってるんですよ。」
「はい?」
「あ、いえね。ここ1~2ヶ月、ここの人は家賃を滞納してて
ガスは愚か、水道も電気も止まってるんです。・・・それなのに
ついさっきまで此処に居たような感じじゃないですか。」
大家の言いたい事も分かる。
しかし、現実的に考えればそれくらいの矛盾など幾らでも言い訳が立つ。
実際に、この時も警官によって「出前でも頼んでいたのではないか?」と
相手にもされなかったそうだ。
・・・だが、大家だけが・・・
机に並べられた一人分の食事を見て
ある違和感をずっと覚えていたそうだ・・・。
絢女はある「建物」に出向く用事があったそうだ。
その「建物」とは「幽霊団地」だ。
彼女の地元では有名な「団地」。
其処に、一人の友人が住んでいるのだという。
しかし、その「団地」は有名であるにも関わらず
住人たちは皆、口を揃えて「何も起きたりはしない。」と証言するそうだ。
そして、あまりにも面白半分で来る者が後を絶たない為
その団地は、今現在も大改装を施し、全ての棟をオートロックに切り替える
工事が進んでいるそうだ。
事の始まりは、一人の住人が突如失踪した事だった。
住人の話によると、その人物が働いていた会社が倒産。
それと同時に、その人物にも負債が生まれる結果となり闇金に手を出した。という。
結果、昼夜を問わぬ取り立ての訪問。
今のご時世では「暴力的な行為」こそ見受けられなかったそうだが
あの手この手で当人に連絡を取るべく、団地の大家にも接触を図っていたそうだ。
しかし、ある日から取り立ての業者は一切訪れなくなったそうだ。
後の警察の調べで、業者が訪れなくなった理由が
その「住人の失踪」だったそうだ。
最初こそ、ガラの悪い連中の出入りがあった以上「何かあったのではないか。」と
囁かれていたそうだが、その噂を一蹴するように
闇金業者がその人物の部屋を訪れるようになったそうだ。
悪評を恐れた大家により、闇金業者・警察・大家の立ち合いの元
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彼等が目にしたのは、奇妙な光景だった。
机の上には、一人分の食事が用意されていたそうだ。
しかも、暖かいままだったという。
それを見た業者が、部屋中をくまなく探したそうだが
住人は居なかった。
次に、警官が業者を発見した住人がベランダなどから逃走したのではないか?と
窓から確認したそうだが・・・
その部屋は団地の最上階に位置する6階だった。
当然、逃げる事など不可能である。
最後に残っていた大家だが・・・終始、青い顔をしていたそうだ。
納得のいかない闇金業者は最後まで悪態を付きつつも
警察の指示によって身を引いた。
大家と警官だけとなったその部屋で、大家は語る。
「お、お巡りさん。僕が変なのかなぁと思うんですけど・・・この暖かい料理。
新しいですよね・・・?」
「その様ですが?」
「でもね・・・冷蔵庫の中の物・・・腐ってるんですよ。」
「はい?」
「あ、いえね。ここ1~2ヶ月、ここの人は家賃を滞納してて
ガスは愚か、水道も電気も止まってるんです。・・・それなのに
ついさっきまで此処に居たような感じじゃないですか。」
大家の言いたい事も分かる。
しかし、現実的に考えればそれくらいの矛盾など幾らでも言い訳が立つ。
実際に、この時も警官によって「出前でも頼んでいたのではないか?」と
相手にもされなかったそうだ。
・・・だが、大家だけが・・・
机に並べられた一人分の食事を見て
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