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タクシードライバー 「藤原さん(仮名)」の話
県境の橋で。
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今回お話するのは、ここ最近で起きた
知人「タクシードライバーの藤原氏」が経験した物である。
その日、彼は
急遽、地方への出向となったそうだ。
というのも、本来
その仕事に就くはずであったドライバー仲間が「件のウイルス」によって
出勤できなくなった為である。
乗客は3人。
親子連れ。
都内から、地方の田舎へと帰省する為、タクシーを呼んだのだという。
聞けば、家の中で唯一の運転手である父親が、足を負傷し運転できない状態であったそうだ。
終始、気さくな家族との会話を楽しみつつ、彼は見知らぬ土地を走った。
目的地が近付くにつれ、乗客の家族に道順を確認しながらの走行だ。
ここで、良く言うセリフではあるが
「行は良い良い。帰りは怖い。」
目的地の平屋に付き、乗客を降ろす頃には日も暮れ始めていたという。
乗客が見えなくなった事を確認すると
彼は、ナビを弄り、帰路を検索した。
走行を始め、Ⅰ時間ほど経った場所。
其処は、県境の川に掛かる橋だった。
辺りはもう暗く、街灯も点いていたという。
この話を聞いた時、彼は私に対してこう告げた。
「いやぁ、最近はあんな街灯もあるんだねぇ。噂には聞いてたけどさ。」
「はい?・・・どんな街灯だったんですか?」
「・・・青い光の街灯だよ。」
これを聞いた時、私は瞬時に理解した。
「青い光の街灯」
皆さんは、ご存じだろうか?
これは、ここ数年で全国的に試験的に取り組みがなされている
「自殺防止」の為の街灯なのだ。
と、いうのも
青い光というものは、人心を落ち着かせる効果が見込めるのだという。
しかし、皆さんがこれを日常で見る事は少ないであろう。
何故なら、そこら辺の橋などに設置されている代物ではないからだ。
この「青い光の街灯」は
例年、自殺者が後を絶たない場所に設置される。
踏切やダム・陸橋・山林の道など・・・。
つまり・・・藤原氏が通ったであろう橋も、例に漏れず自殺者が多い橋という事だ。
その橋に差し掛かった時、一人の青年が橋の中央付近に見えたそうだ。
「噂に聞いている」とドライバーの中でも浸透しつつあるその街灯の端で
最早先も見えない闇の中、車のヘッドライトに照らされた青年。
藤原氏も「まさか」とは思ったそうだが
端の入り口で車を止め、青年の元に歩み寄っていく事にした。
残り100メートル前後の距離。
「君、大丈夫かい?」
そう声を掛けた瞬間だった。
青年は飛び降りたそうだ。
慌てて、下を覗き込むも姿はない。
混乱した藤原氏は、タクシーに戻り車を発射させようとした。
「○○駅まで・・・。」
サイドブレーキのレバーに手を駆けた時、後ろから聞こえたそうだ。
バックミラーを確認すると
そこには、先ほど飛び込みを図った青年がポツンと座っていた。
「お、お客さん・・・冗談は止してくださいよぉ~・・・本当に心配したんですよぉ!?」
「・・・すみません・・・○○駅まで・・・。」
青年は軽く会釈するように謝り目的地を伝えた。
だが藤原氏は、近くの交番を目指したという。
その交番で、青年を預け帰路に着いたそうだ。
が、しかし・・・。
その日の新聞で・・・。
あの青年が、2年前に飛び降りを図って亡くなっていた事が分かったそうだ。
その日、川の下流で遺体が上がっていたそうだ。
知人「タクシードライバーの藤原氏」が経験した物である。
その日、彼は
急遽、地方への出向となったそうだ。
というのも、本来
その仕事に就くはずであったドライバー仲間が「件のウイルス」によって
出勤できなくなった為である。
乗客は3人。
親子連れ。
都内から、地方の田舎へと帰省する為、タクシーを呼んだのだという。
聞けば、家の中で唯一の運転手である父親が、足を負傷し運転できない状態であったそうだ。
終始、気さくな家族との会話を楽しみつつ、彼は見知らぬ土地を走った。
目的地が近付くにつれ、乗客の家族に道順を確認しながらの走行だ。
ここで、良く言うセリフではあるが
「行は良い良い。帰りは怖い。」
目的地の平屋に付き、乗客を降ろす頃には日も暮れ始めていたという。
乗客が見えなくなった事を確認すると
彼は、ナビを弄り、帰路を検索した。
走行を始め、Ⅰ時間ほど経った場所。
其処は、県境の川に掛かる橋だった。
辺りはもう暗く、街灯も点いていたという。
この話を聞いた時、彼は私に対してこう告げた。
「いやぁ、最近はあんな街灯もあるんだねぇ。噂には聞いてたけどさ。」
「はい?・・・どんな街灯だったんですか?」
「・・・青い光の街灯だよ。」
これを聞いた時、私は瞬時に理解した。
「青い光の街灯」
皆さんは、ご存じだろうか?
これは、ここ数年で全国的に試験的に取り組みがなされている
「自殺防止」の為の街灯なのだ。
と、いうのも
青い光というものは、人心を落ち着かせる効果が見込めるのだという。
しかし、皆さんがこれを日常で見る事は少ないであろう。
何故なら、そこら辺の橋などに設置されている代物ではないからだ。
この「青い光の街灯」は
例年、自殺者が後を絶たない場所に設置される。
踏切やダム・陸橋・山林の道など・・・。
つまり・・・藤原氏が通ったであろう橋も、例に漏れず自殺者が多い橋という事だ。
その橋に差し掛かった時、一人の青年が橋の中央付近に見えたそうだ。
「噂に聞いている」とドライバーの中でも浸透しつつあるその街灯の端で
最早先も見えない闇の中、車のヘッドライトに照らされた青年。
藤原氏も「まさか」とは思ったそうだが
端の入り口で車を止め、青年の元に歩み寄っていく事にした。
残り100メートル前後の距離。
「君、大丈夫かい?」
そう声を掛けた瞬間だった。
青年は飛び降りたそうだ。
慌てて、下を覗き込むも姿はない。
混乱した藤原氏は、タクシーに戻り車を発射させようとした。
「○○駅まで・・・。」
サイドブレーキのレバーに手を駆けた時、後ろから聞こえたそうだ。
バックミラーを確認すると
そこには、先ほど飛び込みを図った青年がポツンと座っていた。
「お、お客さん・・・冗談は止してくださいよぉ~・・・本当に心配したんですよぉ!?」
「・・・すみません・・・○○駅まで・・・。」
青年は軽く会釈するように謝り目的地を伝えた。
だが藤原氏は、近くの交番を目指したという。
その交番で、青年を預け帰路に着いたそうだ。
が、しかし・・・。
その日の新聞で・・・。
あの青年が、2年前に飛び降りを図って亡くなっていた事が分かったそうだ。
その日、川の下流で遺体が上がっていたそうだ。
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