骸行進

メカ

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幼馴染の女性「飯島(仮名)」の話

棚の奥

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今回お話する内容は、私の幼馴染「飯島」の体験談だ。

ある年の話。
彼女がアルバイトとして働きに行っていた「物流倉庫」で起きた出来事。
その中でも彼女は、少し特殊な場所に配属になったそうだ。

倉庫本館を奥に抜け、道を一本挟んだ別館で
彼女は、「返品物」の仕分けを行っていたそうだ。
聞けば、クレームなどで送り返されてきた品物を送り元に返送する部署だったそうだ。

棚が合わせ鏡の様にズラッと並び、番号によって振り分けられ
その日、何処の棚を使うか、各自の申告制だったそうだ。
約2メートルほどの高さの棚が、100~200メートルも奥に続き
棚から出て廊下の角を曲がり、別の列が奥へと続いていたそうだ。
倉庫の造りとしては
Uの字型になっていたそうだ。

その日、早く来た者から順に、出入口に近い棚を取られ
遅く来た者は倉庫の奥の棚を使わざるを得ない。

しかし、一日の人数では、凡そ奥の棚まで使う事は無く
どんなに、物が多い状態でも
倉庫の折り返しに差し掛かった所で、その月の発送が掛かる為
月初にはまた、入り口付近からのスタートになったそうだ。

故に、倉庫の最深部には
備品などが積まれていたそうだ。

そんな、ある日の事だった。
彼女が普段通り、仕事をこなしていくと
対岸に位置する棚の方から、音がしたそうだ。
しかし、わざわざ見に行くだけの余裕もないし
職員の誰かが、その棚を使っていたのだろうと思い、気にしなかったそうだ。

だが、その日以降
ふと気づくと、反対側の棚から音がする様になっていたという。

それから数日。
作業中の事だった。
備品を取りに、奥へ向かった飯島はここである事に気付く。

「こっち側、今日は使われてないんだ・・・。」

しかし・・・
皆さんにはここでよくよく思い出して欲しい。
この倉庫のシステムとして、月の終わり頃に発送が掛かり
棚は空になる。
つまり、入り口に近い列の棚を使うという事は
反対側の棚は「用なし」である。
わざわざ、対岸の棚まで渡り歩き作業をする方がおかしな話である。

そう、飯島も自身の持ち場に戻り作業を再開した時
その矛盾に気付いたのだ。
故に、棚で仕切られているとはいえ
対岸の棚から物音が聞こえる事など「あり得ない」のだ。

その日の仕事終わりに私の元に連絡が届いたのだ。

私は、直ぐに

「奥の棚は使わない方が良い。」とだけ忠告した。

正直な所、写真を見た訳でもなければ、現場を直視した訳でもない。
それ以上のアドバイスが出来なかった。というのが本音だ。

・・・しかし・・・。
その年の暮れ。
想像以上に荷物が多く、とうとう対岸の棚まで使わなければ作業が出来ない程になったそうだ。

そして、飯島はその日
「何かを見た。」

だが、その「何か」を彼女が私に告げる事は無かった。

年明け、彼女は別の仕事に転職した・・・。
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